第18話 異変 1
「赤ちゃんさん、よく寝てるね」
「そうね。あれだけの治癒魔法を発動したのだから疲れたのでしょうね。聖属性の事はよく分からないけど相当な魔力消費だと思うもの」
「そうだね。ゆっくりと休んでてね♪」
何だろう?
少し遠い所で、ミルルカとエルカ母様さんの声が聞こえている様な・・・
そうか・・・僕は寝ていたのか。
あの後、ミルルカ達が撤収を開始したところまでは覚えてはいるんだけど・・・・・ここは?
「さて、エルカ、ミルルカ話と言うのは?」
あれ? クルカ婆様の声が聞こえる。
そうか、ここはクルカ婆様の家か。
じゃあもう集落に戻って来ていたという事か。
あの後どうだっただろう?
皆、元気になってくれると良いけど・・・・・・
「クルカ婆様、赤竜の事なのです」
「・・・・やはりその件か、それでどうなのじゃ?」
「はい、例年より活動時期が早過ぎます。それに遭遇したエリアは赤竜からすれば寒いはずなので滅多に近寄る事はないはずなのですが」
「それが現れたと?」
「はい、しかも3体の赤竜を確認いたしました」
「3体じゃと?」
「私達が知る限りで赤竜の行動は例年にない動きをしています」
「なるほどの・・・ミルルカはどう考える?」
「・・・・始めは気にしてませんでしたけど、赤竜と遭遇したと聞いて一つ思い当たることがあるわ」
「それって、最近ミルルカが言っていた事?」
「そうよ母様。最近この奈落の私達が生活している階層の気温が高くなっているんじゃないかということ」
「確かにの、箱庭で採れる薬草や果物の収穫が例年よりあがっていると言っておった」
「他の魔獣の数も多いと報告があがってます」
何だろう?
三人で何やら深刻な顔つきで話し合っている様だけど、何か問題が起こっているのだろうか?
「それで今回の赤竜との遭遇です。この時期、冬眠から覚めたばかりの赤竜は最下層のマグマだまり付近でしか活動範囲しないはずです。けれどこの気温が高いせいで、我らが住むこのエリアに例年より早く姿を現したのではないかと」
「ふむ、気温が高いせい・・・ではどうして気温が高いんじゃ?」
クルカ婆様がミルルカに目を向けている。
それに気付いたのか、ミルルカは少し考えた素振りを見せてからクルカ婆様へ向き直った。
「たぶんだけど、そのマグマだまりの活動が活発になってるんじゃないかな?」
「なるほどの、しかし地上の気象が異常に気温が上がっているとかは無いのか?」
「それは関係ないよ。いくら地上の気温が高くても、この数キロ下の奈落の底に影響するとは考えにくよ」
「だとすると、わしらのこの足の下の事を調査する必要があるの」
三人の話しはつまり、ここより更に深い場所でマグマの活動が活発化して来ているんじゃないかと?
『それってやばくない? つまりマグマが噴き出る可能性があるってことなんじゃ?』
「ミルルカ行ってくれるか?」
「もちろんよ! こういった調査とか私が一番得意だものね」
え? 以外だな。
あの身体能力から考えたら体育会系だとばかり思ってたけど、もしかしたらミルルカって頭も良いのか?
「すまんな。調査隊の編成はエルカに任せる。今回の事もある。十分な準備をしておくんじゃぞ?」
「分かってる、お婆様。ちゃっちゃと終わらせて帰ってくるから。それに私達には赤ちゃんさんが居るから大丈夫よ!」
「ああその事じゃが、赤ん坊は連れていけんぞ?」
「え?」
『え?』
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