これは、白いワンピース姿の少女が、上着から長ズボンまで真っ黒な少年との、短い夏の、一日だけの制約の時間を過ごす、不思議な物語である。
今日はスペシャルサービスデイ。彼女の願いをすべて叶える日。
そんな想いを胸に秘め、少年は少女を窓から連れ出す……。
海に行きたいという彼女の希望に、黒いバイクに二人乗りして夜闇を駆け抜ける。
その後の、ふたりの行動は、恋人同士の甘いそれ! 彼女からのお願いは、とてもかわいらしく、彼の奮闘は微笑ましい。最後に、彼が、花火を観たくないかと彼女を誘う。
そこで……。
なぜ、わがままお願い少女なのか……? どうして、嘘つきな死神なのか……?
わがままも嘘つきも、いい意味では使われない言葉なのに、物語の核心に近づくほどに、ドキドキしてくる。
少女の真実のわがままは届くのか? 少年の嘘は昇華されるのか? 答は、素敵なラストシーンに隠されている……。