第6話 四罪

【冥界・四罪苑しざいえん


共工きょうこう「カンちゃん、こんちゃん見てない?」


驩兜かんとうこん? 見ていないな。どうかしたのか?」


共工「いや、見てないならいいや。サンちゃーん、こんちゃん見てなーい?」


三苗さんびょう「キョウちゃん奇遇だね、俺も鯀を探してんだけど」


共工「え、サンちゃんも? サンちゃん、こんちゃんに何の用なの?」


三苗「俺はね、これ付けてほしくて!」(女物の髪飾り出す)


共工「流石サンちゃん、こんちゃんの可愛さ分かってるぅ」


三苗「へへっ、だろー? ところでキョウちゃんは鯀に何の用なん?」


共工「ふふーん、よくぞ聞いてくれました! 僕はね、これです!」(メイド服出す)


三苗「ひょー! 絶対鯀に似合うやつだー!」


共工「でしょでしょー! 」


驩兜(今どこから出したんだ……)


【思ってても口に出さないので、いつもツッコミ不在である】


共工「それにしても、こんちゃんどこ行ったんだろ。外かな?」


ガラガラガラッ


鯀「……ただいま」


共工・三苗「あ! おかえりー!」


鯀(ビクッ)「……あ、う、うん。ただいま……」


共工「こんちゃん、出かけてたんだね」


鯀「あ、うん。てつくんとごま団子食べ放題行ってて……。あ、これお土産と……えっと、驩さんいる?」


驩兜「おかえり、鯀」


鯀「あ、驩さん。えっと、餮くん……というか、窮奇きゅうきさんからこれ……」


驩兜「窮奇から? 箱……と、手紙?」


奶酪ナイラオとやらを作ってみた。毒味しやがれ、クソ兄貴』


【奶酪とは、中国伝統のミルクプリンのことである】


三苗「窮奇、何だって?」


驩兜「甘味を作ったらしい」


共工「うーわー、出たよ、ブラコン」


驩兜「窮奇はブラコンじゃないぞ。毒味と言って渡されたんだぞ」


共工「いーや、ブラコンだね。だって、食いしん坊で何でも食べてくれる饕餮とうてつくんがいるのに、わざわざお兄ちゃんのために作る?普通。どうせ、今回もカンちゃんの分だけでしょ?」


驩兜(箱の中を確認)「……一つだけだな」


共工「ほら、ブラコンじゃん。……ま、そういうカンちゃんも満更でもないから別にいいけど」


驩兜「? よく分からんが、ありがとう」


共工「褒めてないし! てか、僕はあのブラコン野郎嫌いだから。こんちゃんのが可愛いのに、饕餮くんのが可愛いとかマジでどうかしてるわあいつ」


三苗「あっはは、人の事言えねぇけど、キョウちゃんの鯀への愛マジで異常だよな」


鯀「ははは………………ってちょっと待って。三ちゃん、その手にあるものは、な、何……?」


三苗「およ? あ、これ? 可愛いっしょ、これ鯀に……」


鯀「無理です断固拒否ですやめてくださいお願いします」


三苗「あっはは! めっちゃ早口! いいじゃん、似合うって!」


鯀「嫌だよ、ぼ、僕男だよ?」


共工「……こんちゃん、無理に付けなくてもいいよ」


三苗「え、キョウちゃんに裏切られた!?」


鯀「あり、がとう、共さん……」


共工「いいのいいの。だって……」(肩ガシッ)


鯀「?……っ!? ちょっ……!?」


共工「この距離になれば僕の思い通りだから……」(ニヤッ)


鯀「ひっ、やめ……いぎゃああああああああああ!!!!」


【数分後】


共工「ふっ、今日もいい仕事した」


三苗「キョウちゃんナイスすぎる」


鯀「さ、最悪…………」(メイド服と三苗が用意した髪飾りとメイク済)


驩兜「似合ってるぞ、鯀」


鯀「嬉しくないから……。も、もう、服返してよ、共さん」


共工「い・や♡」


鯀「うー……恥ずかしいよこんな格好……」


三苗「…………メイドプレイありだな」(真顔)


共工「ありだね」(真顔)


驩兜(少し見てみたさはあるな)


鯀「やめてくださいお願いします本当にお願いします」


【仲のよすぎる四人。後に、彼らが神界をおびやかすことになろうとは誰も知る由もない_____】

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