中学生

中学生になった。

家でママに

「パパに中学の制服姿を見せてきなさい」

って言われて、リビングにいたパパのところに行って、制服姿を見せに行った。

「わ~お!あやめっちも、もう中学生なんやなあ~!早いもんや!びっくりや!でも中学の制服姿、めっちゃ似合ってるな!」

ボクは女子の制服で中学に通うことにした。

小学校の時の担任の先生は、中学に連絡してくれて、ボクのことは女子として中学でも考慮してくださいって、言ってくれてたみたいだ。


由菜ちゃんも同じ中学だ。

しかも1年3組で、同じクラスになった。

由菜ちゃんも

「うわ~、あやめっちと中学でも同じクラスになれた~、やったあ、めっちゃ嬉しい~」

って喜んでる。


中学の入学式は桜もいっぱい咲いていて、めっちゃきれい。

小学生の時に、通り抜けで見た時よりも、きれいやな~って思うようになった。


「この中学では、クラスごとに旗を作っているので、みんな、この1年3組の旗のデザインを描いてきてください~」

って先生に言われた。

「みんなで投票して、推しのいちばん多かったデザインを1年3組の旗に決めますからね~」


そう言われて、ボクも旗のデザイン画を描いた。

ペガサスの飛んでるような感じのデザインにした。


みんなのデザイン画を見て、推しを決める日になった。

とりあえず最初に、ぜんぶのデザイン画をバーッと見ていった。

順番に見ていく中で、めっちゃカッコ良きデザインのやつ1作あった。

ボクはそれを推そうって思った。

ボクのではないけれど。

ボクのより良いと思った。


案の定、投票してみたら、ボクも良いって思ったデザイン画は、いちばん推されていた。

結局、そのデザイン画に決まった。


でも何よりも嬉しかったのは、ボクのデザイン画を推してくれた子も何人かいたことだ!

ボク自身は、旗に決まったデザイン画をいちばん良いな~って思ったし、推してる子もいちばん多かったけれど、ボクのデザイン画も良いって思ってくれるなんて!

めっちゃ感動した!

人に推されるのって、こんなにも良きことなんや~って。

人に推されるのって、こんなにも感動することなんや~って。

それをほんまに、めっちゃ実感した。

だから、今回、1年3組の旗を決めるってことをやったのは、旗を決めること以上に、その過程の中で、人に推されることの感動を体感することにこそ、その目的あるんちゃうかな~ってくらいに思った。


ボクのを推してくれた子は、天馬みたいなものを好きだったり、ギリシャ神話の世界を好きだったり、なんかそういう感じの、ボクと似たような感性を持ってる子なのかな~って感じた。


決まったのは、やはり、空を飛んで行くようなイメージの斬新でシャープな感じのするデザイン画だった。

動物ではなくて、抽象的なイメージのデザイン。

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