町別リレー

6年生になった。

小学校の運動会で、町別リレーっていうのある。

1年生から6年生まで、代表選手を各学年1人づつ選んで順番に走ってリレーする。

町別にリレーのチームを6人編成する。

ボクは6年生としてリレーのアンカーで走ることになった。

ボクは6年生の中でも、町内でいちばん走るの速かったから。


1年生から6年生まで順番にならんで行進しながら入場した。

由菜ちゃんも嬉しそうに手をふって応援してくれている。

1年生からスタートした。

1年生はまだまだ可愛いもんやから、みんな同じような感じで走っていってた。

2年生3年生となるにつれて、だんだん差も開いてきた。

ボクの町は4年生でトップに躍り出た。

そして、そのまま5年生もトップで走り続けていた。


ボクは5年生からトップでバトンを受け取った。

そしてそのままトップで走っていた。


だけど、他の町の6年生代表のランナーに1人、小学生なのに高校生なみに背の高い子いる。その子の走る歩幅めっちゃ長い。


徐々に追い上げてきた、そのランナーは、半周くらいのところでボクに追いつきそうになってきた。

ボクも抜かれないように一生懸命に走ったんだけど、ゴール前で追い抜かれてしまった。


結局、ボクの町は、6年生のボクのところで2位になってしまった。

みんな

「あ~あ」

って感じで残念がっていた。


由菜ちゃんはボクのところに来て

「あの子に抜かれるのはしょうがないよ~。世界中の小学生の中でも、いちばん速いんやから...ムリムリ...そりゃ抜かれるわ...だいたい、あやめっちは、走り幅跳びの選手なんやから...」

って言ってくれた。

「今日の町別リレーでは、さすがに走り幅跳びは披露出来なかったな~。あの子、速すぎたから...」


そのあとは、ずっと、リレーのことを考えていた。

ボクも走るの速いけど、もっと速い子もいるんやなあと。

どうやっても、とても、かないそうにない子、どうやっても、かなわないような子も、やっぱりおるんやなあと。


そして、あの、ボクを抜いて走って行った、あの子のことを想った。

きっと、中学生になっても、もしかしたら中学生でいちばん速いくらいに走ってるんやろな~。

高校生になっても、高校生の中でいちばんくらいに速く走ってるんやろな~。

そして、もしかしたらオリンピックとかにも出場してるのかもしれへんな~。

あの子やったら、世界の舞台でも、ぜったい金メダルも取ったりしてるかもな~。

そんなふうに考えていた。






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