6年生女子

ボクはちっちゃい頃から女の子みたいだった。

5年生になったら、学校にいる時いつも

「あやめっち女の子みたいで可愛い~」

って言って、6年生の女子から追いかけまわされている。

廊下を歩いていたり、校庭にいたりしても、6年生の女子に見つかると、いつも

「きゃあきゃあ」

言いながら、追いかけて来る。

そして、ボクに追いつくと

「あやめっち、つかまえたで~」

って言って抱きついてくる。


校庭とかで追いかけまわされていると、校舎の教室の窓から、由菜ちゃんはいつも、そんなボクのことを笑って見ている。

「あやめっち~」

って言って、窓から手をふっている。

それを見て

「あ~、由菜ちゃん、もしかして6年生女子たちと、つながってるな~」

って思った。


放課後、砂場に向かって走り幅跳びをしている時も、助走している時とかに抱きついてくるから

「今、走り幅跳びやってるから、邪魔せんといて~」

って言ったら

「あっ、そうやったんや、走ってるだけなんかと思った...ごめんね~」

って言って砂場で飛ぶところを見ている。

「いっしょに飛んでもええ?」

って聞くから

「ええよ」

って言ったら、しばらくいっしょに砂場に向かって飛んでいた。

「走り幅跳びも面白いんやな~」

「そやで」

「もうすぐ小学校も卒業して中学生になるから、想い出にいっしょに飛んどくね」

って言いながら、ボクのあとをいっしょに何回も飛んでいた。

それから砂場の横に座って、ボクの飛んでるところを見ていてくれた。


バレンタインになったら、由菜ちゃんもハート型のアーモンドチョコをくれたけど、6年生の女子もボクのところに、いつものように走って追いかけてきて

「はいっ、あやめっち。チョコあげるわ」

って言って、ジャンプしてボクに抱きついてから、また走り去って行く。


卒業式も近づくと

「はいっ、あやめっちにあげる。ちゃんと使ってね」

って、ミッキーマウスのタオルをボクにくれた。

「わたしだと思って、ちゃんと使うんやで」

「ありがとう」

「放課後に、あやめっちの走り幅跳びを見れなくなるの、めっちゃさびしいわ」

「中学生になったら、また色んな部活もあるよ」

「まあ、そうやな。1年したら、あやめっちとも、また中学で会えるかもしれへんしな」


ボクの1年先輩の6年生の女子も、もうすぐ中学生になるんやなあ。

ボクはまだ来年も小学生やから、あと1年間は、もうちょっと今の小学校でいろいろやっておこう。

って思う。

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