走り幅跳び

相変わらず、放課後の陸上部の走り幅跳びをやっているのはボク1人だ。

毎日、砂場に向かって、1人でひたすら飛び続けるの、日課になっている。


まだ3メートルを跳べていない。

いつも2.89メートルとかの辺だ。


今日は2.98メートルいった。

3メートルまで、もうすぐ。


「あやめっち、どや?」

今まで来てくれたことのなかった先生。

今日、初めて、見に来てくれたんちゃうか。

「どや?って、ちゃんと跳んでますよ~」

「なんぼくらい跳んでるの?」

「もうすぐ3メートルですね」

「そうか!じゃあな。他、見てくるわ」

またリレーとかのほうに行ってもうた。


「まあ、跳んでるとこ、先生に見てもらってても、しゃあないし...」

そう思って、また今日も跳び続けた。


「今日は由菜ちゃん、教室の窓から見ていないな~」

って思ってたら、由菜ちゃん、ボクのところに、タッタッタッて走って来た。

「あやめっちの跳ぶとこ、見といてあげるわ」

って言って、砂場の横に座っている。

「よしっ、これはカッコ良いとこ見せなあかんな」

って思った。

助走をしっかりつけて、そして

「とりゃあああああ」

って声をあげて跳んだ。

「おおーっ、これは、いったんちゃうかーっ」

っていう跳んだ感触あった。計ってみたら、3.08メートルやった。

「やったあ!3メートル超えたで~!由菜ちゃん来てくれたおかげや~、ありがとう~」


「ブブーッ」

って由菜ちゃんは言った。

「え?なんで?」

「踏み切りの時、ラインから足、出てたよ~」

「も~、ほんまに?そんなん、ええから...」

「ええことないよ!あかんでしょ」

「も~、きびしいな~」

「あたりまえでしょ、そんなん。はよ、もう1回跳んで」

「は~い」


「あっ、そうや!あやめっち、踏み切って跳んでから、空中で前方宙返りすればええんちゃう?」

「そやな~、それええかも!記録でるかも!やってみよか!...って、なに言ってんの!あかんよ!...前方宙返りは禁止されてるんやから...」

「あっ、そうなんや!前方宙返りは反則なんや!知らんかった...やっぱりな」


「よ~し、もう1回跳ぶで~」

由菜ちゃんの前やから、わざと助走をめ~っちゃ長くとって走った。

そして

「うおりゃあああああ」

って言いながら跳んだ。

ドテッと後ろにお尻をついてもた。


「さて、何メートル跳べたかな~」

って、由菜ちゃんは計測しようとしてたから

「計らんでええねん!お尻ついてもうたんやから、そんな、いってるわけないやろ」

「あっ、そうなんや...なんや~つまんないの。計測したかったな。今、世界記録って、なんぼなん?」

「たしか、8.95メートルやったかな!」

「うわ~、あやめっちの3倍やないの~、すごいな~。いつか、あやめっちも、9メートル跳ばな!」

「そやな!...って、そう簡単に跳べるかいな。でも9メートル目指そ」

「まずは3メートルやな」

「よしっ、オリンピック出よ。走り幅跳びで」




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