霊の女の子

ママも剣道部で、剣道を好きなので、ボクも小学校の週1の必修クラブで剣道をやっている。

ママの中学生の時の剣道着をもらって、それを使っている。

ママの剣道着を着てやると、何か上達していくみたいに思える。


部屋にいると、絵をめっちゃ描きたくなる。

ボクは、剣道をやっている女の子の絵を描きはじめた。

別にモデルはママというわけではない。

自分で新たに剣道をやっている女の子のキャラクターを生み出して、それを絵に描いている。


そうすると、やっぱり、その絵を誰かに見られてる気になってきた。

机に向かって絵を描いていると、机の横で、誰かしら立っていて、ボクの描く絵をいつも、ずっと見てくれてる雰囲気を感じてしまう。


ボクも、そんなふうに感じていても

「まあ、いっか。絵の好きな女の子の霊なのかな?」

って、いつも思っている。


学校で先生が

「放課後、陸上やりたい人~?」

って、みんなに聞いてきた。

「は~い」

って、ボクは手をあげた。

その日、希望者は校庭に集まった。

ボクは走るの、めっちゃ好きだったから

「リレーでもやりたいな~」

って思っていた。

そしたら

「あやめっちは走り幅跳び」

って決められてしまった。

それで、その日の放課後、ボクは1人で砂場に向かって、ひたすら飛び続けた。

ふと校舎のほうを見たら、ボクのクラスの窓から、女子の友達が嬉しそうに笑ってボクを見ていた。

ボクと目があって

「うわ~」

って手をふっていた。

ボクは

「もしかして、1人で砂場に向かって、ひたすら飛び続けてるのも、案外カッコ良かったりして...」

って思って、また走り幅跳びをやり続けた。


家に帰って、部屋で絵を描きたくなったから、ボクは、走り幅跳びを飛んでいるボクの絵を描きはじめた。

そうすると、やっぱり横で見られている気になってくる。

ボクは、描いてるノートを広げて、横のほうに向かって、見せるようにしてみた。

「ボクからは見えないけど、横で誰か見てくれてるのかもな~」

って思いながら。

「はい!どう?うまい?」

って聞きながら、ノートの絵を広げて横に見せてみた。


なんとなく

「お上手ね~」

っていう女の子の声、聞こえたような気した。

「まあ、いっか」

と思って、また絵を描き続けた。

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