お人形さん

夢の中に、お人形さん出て来た。

ハワイとかタヒチとかの、黒人の可愛い女の子。

腰蓑をつけて踊っているダンサーの女の子みたいなお人形。

髪には可愛い赤いお花をつけている。


ボクを見つけると、ピューッとボクのところに飛んできた。

ボクは優しくお人形さんを受けとめていた。

でも、お人形さんは、めっちゃ泥んこだった。

ボクを見て、笑ってるんだけど、体も顔も泥んこだ。


翌朝、ボクは、裏庭に行ってみた。

なんとなく。

裏庭には自転車とかを置いてある倉庫あって、倉庫の横は、草の生えた草むらになっていた。


ボクは、草むらの中に入ってみた。

地面のほうをあちこち探してみた。


そしたら、何か、ちっちゃなお人形さんのような感じの物、落ちていた。

拾ってみたら、夢に出てきたのと同じ、黒人の可愛いダンサーさんのようなお人形さんだ。


お湯で優しく洗ってみた。

泥んこだったお人形さんも、泥も落ちて、きれいな体と顔になった。髪の毛もきれいになった。


お人形さんは

「ありがとう」

って言ってるみたいに、笑顔をボクに向けている。


空里に見せたら

「うわ~、可愛い~」

って言ってた。

お人形さんも空里のことを嬉しそうに見て笑っていた。


部屋に戻って、タンスの上に、お人形さんをちょこんと座らせた。

今にも躍り出しそうな感じの、躍動感ある可愛い女の子のお人形さん。


お人形さんに向かって

「ジャンプしろ~、こっちにジャンプしろ~」

って念じてみた。

そしたら、ススッと、ほんの少し、体を動かしたような感じした。


その夜、寝ていたら、夢に、またお人形さん出て来た。

タンスの上から、ピョンとボクに抱きついてきて

「ありがとう~」

って、めっちゃ可愛い声で言っていた。


翌朝、空里といっしょに、お人形さんを見ていた。

「可愛いね~」

って、空里も言っている。


そしたら、お人形さんの腰蓑、一瞬フワッと揺れた。

髪の毛も、一瞬フワッと揺れた。

「あーっ、お人形さん、踊ってくれたんだーっ!ぜったい、そうだよーっ」

って、空里もめっちゃ喜んでいた。

2人のために本当に踊ってくれたんだと、空里もボクも思っている。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る