第3話 砦潜入
門が開かれる、そこにいたのは。
「暗黒騎士だと……。」
「魔物の軍を指揮し率いる暗黒騎士団、噂にはよくきいていた魔王軍討伐に躍起となった国の兵士を壊滅させたとな。」
暗黒騎士団。
闇の力を魔王から受け取った騎士たちの名称。
暗黒騎士はそこら騎士十人分の力があるとされる、暗黒騎士が人間を裏切った騎士なのか果たして違う何かなのかは何もわかっていない。
この暗黒騎士の圧倒的な威圧感から誰もその場を動けずにいた。
「やばいんじゃないか?、このままだと団長とぶつかるぞ。」
あの団長が負けるはずない、しかし暗黒騎士の力量は不鮮明だ。
もしもの団長が負けたりなんてしたら、騎士団は崩壊する。
「……俺たちは砦を攻略し、裏から敵部隊を叩く。」
その提案に全員が黙り込む。
「暗黒騎士が出撃した今、砦の防御は手薄だ。」
「団長たちには頑張ってもらわないといけないがな。」
「わかりました、この命は副団長に預けます。」
「隊長が言うなら仕方ないですね。」
「神撃騎士団の見せ所ってわけだね。」
次々と先遣隊のメンバーたちがアルフォンスの作戦に賛同していく。
もうその作戦に賭けるしかないのかもしれない。
俺は覚悟決めた。
暗黒騎士が馬に又借り、多数の魔物の軍勢を従えておそらく騎士団の方に動き始める。
暗黒騎士を先頭に後ろには馬に乗る人型の魔物らしきものが数体。
そして馬には乗っていない魔物が多数の構成であった。
暗黒騎士の兵隊が出た後も、数体の見張りは配置されている。
見張りの魔物は見るに約四体程、一斉にかかればいけるだろう。
アルフォンスがハンドサインで一斉突撃の指示を出す。
合図と同時に静かに、素早く、敵に向かう。
俺は後ろを向いていた魔物の心臓を一突きで倒す。
カインは首を切り裂き順調に倒していた。
ほかの魔物もアルフォンスとほかの騎士たちが倒していた。
魔物を倒した余韻に浸っていたのは俺だけだったようだ。
先遣隊の皆と門を開き先に進んでいく。
その砦は広く暗い空間であった。
周囲を警戒しながらその場を急ぎながら進む。
暗黒騎士がいなくなったとはいえこの砦にはほかの何かがいる。
そのオーラが砦全体を包み先遣隊にそれを感じさせている。
暗闇の空間をずっと進み俺たちは二階へと足を進めた。
「この砦、魔物が少なすぎはしやせんか?」
「さっきの出撃で大多数が出払っているのだろう。」
「なに、心配することはない。進むぞ。」
階段を上り終えると魔物が待ち構えていた。
「戦闘態勢!」
隊長のその掛け声と共に、騎士二人が矢を放ち魔物をけん制する。
その隙に他の騎士が魔物に斬りかかる。
驚くほど簡単に魔物たちを殲滅する。
その先には門があった。
「砦の中に門って、どうゆうことですか?」
「知らん、だがこの先を進みしかないようだ。」
隊長が門を開ける。
「よく来たな、愚者たちよ。」
そこに待ち構えていたのは、鎧を身に纏う吸血鬼であった。
「へぇ、この吸血鬼が親玉ってわけか。」
「全員気を抜くなよ!」
「戦闘態勢に入れ!」
騎士2人が矢を放つ。
「見え透いた攻撃など効かんわ!」
吸血鬼は矢を避ける。
「甘いぜ!」
「吸血鬼!」
二人の騎士が吸血鬼に斬りかかる。
「うっ!」
吸血鬼は二人の攻撃を避け、騎士を殴り飛ばす。
騎士は壁へとぶつかって倒れる。
「騎士団を……舐めるな!」
騎士が大振りで吸血鬼に斬りかかる。
「愚かだよ、人間は学習しないようだ。」
吸血鬼は騎士の大振りを容易に避け、騎士に剣を振り下ろす。
「冷静に戦えと言ったはずだ!」
アルフォンスが吸血鬼の剣を受け止める。
「ふ、副団長……すいません」
「ディオス、やるぞ。」
カインがディオスに決意を込めた目でそう言った。
「あぁ、任せておけ。」
ディオスはそれに同意し、吸血鬼へと走っていく。
「お前の相手をしている暇はない!」
吸血鬼はアルフォンスを剣で押し返す。
「逃がすかよ!」
アルフォンスは吸血鬼に向かって突き刺す。
「今だ!、畳みかけろ!」
カインの掛け声で同時に斬りかかる。
「ぐあぁぁ!」
吸血鬼に傷を負わせるが、吸血鬼は周りを吹き飛ばし距離をとる。
「傷が浅かったか。」
「完全に入ったんだと思ったんだがな。」
「暗黒の瞬き」
「!、避けろ!」
アルフォンスの言葉で暗闇の何かを避ける。
「ぐ!」
「しまっ!」
騎士数人が暗闇に飲み込まれる。
「紅蓮の矢!」
吸血鬼に渾身の矢を放つ。
「お返しだ!」
吸血鬼は矢を避け、ナイフらしきものを騎士に投げる。
「なっ!、うが!」
騎士はナイフを真正面で食らい倒れこむ。
「おい、大丈夫か!」
しかし返事などなかった。
「人間ごときに私が負けるわけない。」
「死すべし!」
騎士が斬りかかる。
「うっ!」
騎士が身体を斬られ息絶える。
騎士が吸血鬼に攻撃するがまるで歯が立たない。
吸血鬼の攻撃でだいぶ騎士が減っている。
「一旦距離をとるんだ!」
アルフォンスがそう言い、騎士たちが下がり始める。
「はっはっ!、人間今頃恐れるか?」
「くそ!、何か……一体どうすれば。」
「残っているのは何人だ?」
「はい、生き残っているのは数人ほどしか。」
「ならば、魔法でかく乱し攻撃するしかないか。」
「もうそれに賭けるしかない、どちらにせよ負けたら全滅するのは必至です。」
騎士たちが副団長のもとに集まる。
「合図したら攻撃を仕掛けてくれ。」
「わかりました、仲間の無念ここで果たしましょう。」
「吸血鬼は不死効果がありますが、神聖魔法でそれは相殺できるはずです。」
「私は魔法が使えないので、副団長お願いします。」
「わかった、皆ここは私を信じてほしい。」
「隊長大丈夫ですよ、我々は神撃騎士団の一員です例えここで死んでも後悔はありません。」
「すまない、ありがとう。」
「仕掛けるなら今です、吸血鬼を見てください。」
吸血鬼は傷が痛むのか、剣で支えるのが精いっぱいのように見える。
「よし、全員攻撃を仕掛けろ。」
「ふん、貧弱な人間が重なったことで無力で過ぎないぞ!」
騎士たちが攻撃を仕掛け始める。
淡い希望の物語 unknown @unknown-0012
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