第17話
妊活4日目。夜斗の謎技術により、葵の妊娠が確定した
当然性別は判らないが、村雨も葵も悲しげで嬉しそうだ
「葵さんは検査があるから、このまま待機だ。村雨は…そうだな、夜斗と飯でも行ってくれ」
「「ういーす」」
「はーい」
部屋から出ると目の前に漣が待機していた
入れ替わるようにして診察室へと入っていく
夜斗はふと、何故自分が呼ばれたのかが気になったが良しとした
翌日。4月15日
「夜斗、覚悟はいいか?」
「よくない。何故俺が手術を…。免許どころか知識もないのに」
夜斗は夜暮に連れてこられた集中治療室にて、手術着を身に着けて立っていた
村雨には言えない秘密の手術だ
「非合法手術なんだから今更だ。やるぞ、俺たちなら可能だ」
「ったく…。報酬はもらうからな」
夜斗の目の前に横たわるのは葵、夜暮の前にいるのは漣だ
夜斗は無免許かつ無知のまま、受精卵摘出を行う
夜暮はそれを漣に移して着床させる
それぞれの役目を確認し、頷きあった
「開始だ」
「ああ」
夜斗の手捌きは初めてとは思えないほどのものだった
夜暮が本気で医学を勧めるくらいには、プロと遜色ない
しかし夜斗からしてみれば、工具を使い機械を直す感覚だ
ある意味最高に危険である
「術式終了。患者の損傷はない。完璧だ」
「二度とやりたくねぇ…。つかなんで俺死のリスクと逮捕のリスク同時に背負ってんだよ…」
夜斗は村雨のように絶縁体質ではない
かといって放電用の保護具もつけていない
なら何故大丈夫なのか?という問題が出てくるが
「道化師…。本当に便利だな」
「まぁな…。疲れるけど」
道化師
現代における、真似の天才だ
天才というより、異能の類とも言える
これにより、村雨と同じく絶縁体質を一時的に取得し、触れても問題ないようにしていた
しかし夜斗はこれを5時間程度しか実現できないため、それを超えれば感電死のリスクがある
「夜暮」
「んぁ?」
「…村雨に話すのか?これを」
「さてな。漣がどうするかなんて俺にはわからん」
言外に「俺は話さない」と告げた夜暮は、換気装置を止めて麻酔を外した
意識が戻るまで5分程度。夜斗は既に手術室の外で休んでいる
「…夜暮」
「起きたか。手術は成功した。今後お前は妊婦扱いとなる。下手なことはするなよ」
「わかってるよ。…私の子じゃないのが残念だけど」
「生物学上はな。法的にはお前の子だ。そして、気持ちの面は…知らん」
夜暮はそう言って、葵が目を覚ますのを待った
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