《光束(ライト・チューブ)》

光束ライト・チューブ》。

 宇宙空間に存在する、直径1天文単位(地球の軌道が丸々入る太さ)のチューブ状の領域。長さは少なくとも銀河系全域に達するほどあり、しかも束の数は幾つあるのかわからないほど多い。

 長さは巨大だが、宇宙の大きさから見て、あまりにも細いために観測に引っかかりづらい。高時束領域とも呼ばれる。


光束ライト・チューブ》内では時間が外よりも早く進む。

 内側の中心軸に行くほど時の流れる速度が早く、中心軸では外よりも1万倍にも達すると言われている。


光束ライト・チューブ》内の、例えば外よりも1000倍早く時間の流れる地帯を光の速度で1000年かけて旅した場合、1000光年先に辿りつける。このとき、外の世界では1年しか時間が流れていないので、外の世界ではまるで1年で1000光年を旅したように見える。

 当然ながら、宇宙船では1000年の時間が流れているので、そのままでは乗員も全員1000歳になっている。しかし、光速度で移動する宇宙船の中では時間の流れが遅くなるので、宇宙船の時間が1/1000になるように飛べば、1000年飛んでも乗員は1年しか齢を取らない。

 このように、《光束ライト・チューブ》内を光速度で飛ぶ宇宙船で移動することで、1000光年を1年で旅することができるようになる。

光束ライト・チューブ》は、何故か・・・生命の発生する恒星系の近傍をかすめるように存在することが多い。このため、《光束ライト・チューブ》は人工的に造られた空間なのではないかという説が存在する。


 宇宙航行種族とは、宇宙航行が可能になり、この《光束ライト・チューブ》を発見することのできた種族を言う。

 テラリアンが《光束ライト・チューブ》を発見したのは太陽系外に旅立ったボイジャー探査機が消えた(経年劣化で故障した)ことがきっかけである。


※いわゆる「精神と時の部屋」のような場所で1年修行して、元の世界に戻ったときに3日しか過ぎていない、というようなエピソードがある。

 その話を聞いてからずっと気になったのは──。

 部屋のなかで彼らは1年で何歩歩いたんだろう? その移動距離は累積すればどれくらいの長さなんだろう? そんなことだった。

 そこから、時間の早く流れる部屋を延々と細長く飴のように伸ばして──たとえば100光年とか──その中を旅してから、向こうの扉からひょいっと出れば、外の世界では超光速で移動したように見えないだろうか? と、こう考えた。

 もちろん100年旅をすれば100歳になってしまうのだけれど、そのぶん、ウラシマ効果でカウンターを充てればいいじゃん、と。

(蛇足的補足)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る