月の見える夜

天月 四季

第0話

 世界は動く。流れ行く。それは誰にも止められない。

 或いは流れを変えることはできるかもしれない。

 それでも止めることはできないだろう。

 どんなに望んでも、どんなに嘆いても、どれほど絶望しても。

 たとえそれが破滅への流れだとしても、決して人にはそれを止められない。

 世界が嘆いている。世界が悲鳴を上げている。世界が泣いている。

 たとえ世界が絶望しようとも、人はそれに気づかない。世界の声は、届かない。

 世界は終わりへと突き進む。ゆっくりと、確実に、加速して。

 それでも世界は叫び続ける。悲鳴を上げ続ける。助けを求め続ける。

 たとえ誰にもその声なき声が届かなくとも、懸命に。

 いつか誰かに聞こえるだろうか。いつか誰かに届くのだろうか。この命の叫びが。

 いつか届く日が来たのなら、もしかしたら

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