第80話
翌朝、いつも通り太陽がまだ登る前に起きたクリストフは1人で辺りの安全確認を行った。
特に異常がなかったためそのままキャンプ地に帰ったクリストフはそこで一人の男が素振りをしているのを見つけた。
「おはようございます」
「ああ、クリストフ殿。おはようございます」
「どうしたんですか」
「身体を動かしてないと不安なので少し運動を」
アルカンシェルはまだ暗い中でいい汗を流しながら素振りを続けている。
クリストフはそれを横目で見ながら昨晩狩ったうちの一匹の猪の解体を始めた。
猪の解体が終わった頃に続々と人が起き始め、クリストフはその解体した肉を従者たちに渡して木の上で瞑想を始めた。
瞑想を始めて30分程が経ったとき、朝食ができたと言われたクリストフは朝食を食べるために木から降りた。
朝食を食べ終わった後、少し運動をする時間があったクリストフはロアネスとともに少し運動をし、その後馬車は出発した。
★
2日目の昼前、王国と獣王国の分かれ道に着いた一同はそこで少し早めの昼食をとることにした。
「そろそろお別れですね」
「そうだね。また会えるかな?」
「年も近いですし、なにかの行事で合う可能性は十分あると思いますよ」
「そうかなぁ?そうならいいけど……」
メルトはクリストフと別れるのを悲しそうにしている反面、裏では何かを隠しているような顔をしている。
「そういえばあのエルフの子は何なの?」
「あの子はロアネスです。エルフの王、クローゼ様から学園に入れて欲しいと言われたので一緒に王国まで帰ります」
「……そう。……そうなのね」
何やら不安そうだがクリストフはそれを放っておき、別の話をする。
「メルトさん。別れたあとの護衛はどれくらいいます?」
「……えっとね。アルカンシェルとあと2人で3人ね」
アルカンシェルという実力者がいれば安心は出来る。
だが万が一のため、クリストフは自分の私兵をメルトの護衛に付かせると提案をした。
初めは遠慮をしていたメルトだったが、それを近くで聞いていたアルカンシェルが「ありがたくもらっておいたほうがいい」と助言を受けたメルトはその提案を受け入れた。
クリストフの私兵。
正しく言うとボルザーク家の私兵。
その者たちはボルザーク家の分家の者たちを中心に構成されており、その実力はバーグのお墨付き。
12名からなるその兵は魔法師5名、剣士7名で構成された混合部隊。
全員が互いの得意不得意を知り尽くし、協力しながら戦うため、少数だがメルトの安全はほぼ確実のものになる。
「護衛が終われば知らせろ。では任せたぞ」
クリストフは私兵に今回の任務を伝える。
「わかりました。必ず成功させます」
「ではそろそろ別れの時間だ」
「クリストフ様もご無事で」
「ああ。お前らもな」
私兵との話が終わったクリストフはその場を離れた。
★
「じゃあ、またいつか会いましょう」
「はい」
クリストフとメルトは各々の国に帰るため、道を別にした。
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