シークレット・フロア
そうすれば、広がったのは予想通り巨大な一部屋だった。
あまり装飾は無く、言ってしまえば殺風景な正方形の個室。
迷宮主の姿は、無い。そこまでは良い、想定内だ。
だけど────
「誰もいない……なんてこと、有り得るのかしら?」
「いや、有り得ない。ていうか、迷宮主が殺されたなら、迷宮自体も無くなってるはずだから……」
やはり、想定外の何かが起こっている────と、考えるのは、少々早計である。
理由は二つ。
一つは、先に来たパーティが迷宮主に殺され、その迷宮主は何かしらの能力によって、今は姿を隠している可能性。
そして、もう一つが。
「
「うわーっ!? ビックリした!」
突然、俺の脳内を読み取ったかの如く発言を、耳元で囁いたのは月ヶ瀬先輩だった。
えっ、な、何!? 何でここにいんの!?
バッ! と勢い良く振り返れば、月ヶ瀬先輩のパーティの三人もそこにいる。
どうにも俺達並の速度で、彼らも辿り着いたらしい……えっ? 有り得ないだろ。
「えっ、いや……え? 早くないですか……?」
「あはは……近道をたくさん見つけれたのもあるんだけど、ちょっと助言しすぎちゃって……」
「ああー……まーた甘やかしたんですか……」
頼られるとどうしても120%で応えてしまう、月ヶ瀬先輩の本領が発揮されてしまったようだった。
そんなんだから、どんどんフラストレーション溜まるんですよ……とチクチク言葉をぶつけながらも、お前らも甘えてんじゃねーよ、という目を三人へと向ける。
こういった積み重ねが後から、お前らじゃなくて立華くんの方に向くんだからな。マジで気を付けて欲しい。
いや、その立華くんと月ヶ瀬先輩は、現在特に深い親交がある訳では無いのだが……。
こっからね! こっからあるかもしれないし!
「ていうか、やっぱり
「うん、間違いないんじゃないかな……迷宮主の気配は無いし。それにほら、魔法陣出て来てる」
「あー……マジだ……」
部屋の中央に現れた、魔法陣がクルクルと回っている。
ゲームでも見た覚えがある形だ。つまり、あれは転移用の魔法陣。
しかも良く見なくても、使われた痕跡が見て取れる。
「これ、行かなきゃですよね……」
「こーらっ、露骨に嫌そうな顔しないのっ」
コンコン、と俺の頭を軽く叩いた月ヶ瀬先輩が、自分のパーティへと戻っていく。
何だか凄い嫌な予感がするな、と思いつつも、軽く準備を整えてから行こうか、と俺は立華くん達に声をかけた。
ご神託チャット▼
◇名無しの神様 ばーーーーーーー----か
◇名無しの神様 はい解散! 解散解散!
◇名無しの神様 っぱボケナスはボケナスだったな
◇名無しの神様 スヤスヤ立華ちゃんで草
◇名無しの神様 いつまで寝とんねんこいつ
◇名無しの神様 丸々半日は寝とったぞ
◇名無しの神様 面白すぎるやろ
◇名無しの神様 ボケナスの本領発揮しててダメだった。そろそろ本気出せや!
◇名無しの神様 安定のボケナスすぎるんだよ馬鹿が
◇名無しの神様 ワイらの期待を返してくれや、頼むからよ
☆転生主人公 うるさいうるさい! あんな反動あるなんて知らなかったし! 教えろや!
◇名無しの神様 おめーーーーが気合で耐えるしか無いんだよ、TSの反動はよ!
◇名無しの神様 迷宮出ちゃったら元通りなんやぞ? もっと気合入れろや!
◇名無しの神様 でも何だかんだ日之守占領してたからな、起きてるよりずっと良かったんやないか?
◇イカした神様 ワイのメス立華ちゃんフォルダもかなり満たされたしな
◇名無しの神様 言い方キショ……
◇名無しの神様 でもスヤスヤ立華ちゃんお姫様抱っこ日之守のスクショ、最高だぜこれ……
◇名無しの神様 大分濃いファンが増えてきたな
◇名無しの神様 てかシークレットフロアってなんや?
◇名無しの神様 何や知らんのか
◇名無しの神様 迷宮主撃破後に滅茶苦茶低確率で現れるエリア。危険だけどその分経験値だったりアイテムが旨い、まあ、ボーナスステージみたいなもんだな。
◇名無しの神様 はぇ~
◇名無しの神様 ちなエリア自体は狭いんやがボスもいるから倒さないと迷宮から出れん
◇名無しの神様 え……?
◇名無しの神様 危険って、どのくらいなんです……?
◇名無しの神様 基本的にランクの一個上だから、この場合はランクAのレベルやろなあ
◇名無しの神様 く、クソゲーじゃん……
◇名無しの神様 おっと、今更かァ~?
◇名無しの神様 蒼花は神ゲーとクソゲー、両方の性質を併せ持つ♡
◇名無しの神様 今ヒソカいたな
【安心安定の】蒼天に咲く徒花 バグキャラ日之守甘楽 攻略RTA【ボケナスでございます】
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