第2章53 ラウンド終了

「ナァアァアアアイス!!!」

「うおおぉおぉ!!!!」

「「やったあぁあああぁ!!!」」


 4人の絶叫が木霊する。コメントも凄まじい速度で流れて3人を祝福していた。


 いや恐れ入った! 白樺さんも柊さんも朝顔さんも、ここぞの勝負時で最高の能力を発揮した。特に白樺さんは同じ役割として褒めずにはいられない。


 プロ相手に自分たちの思惑を通しきったんだ。俺が理想とする”盤面を支配して圧し潰す”というIGL像そのままの美しいとすら思えるものだった。


 柊さんと朝顔さんも最終戦のフィジカルは凄まじかったしな。あれが常時出せるようになったらと思うとちょっと背筋が寒くなるな。


「僕、いくね」


 久遠は3人に合流するべく通話を抜けた。


「順位は、順位はどうなったの?」


 ひよりに促され、俺は画面を切り替える。俺の配信画面にこのラウンドの最終結果が表示された。



久遠視点


 Triumphを取った瞬間、気づけば僕は我を忘れてH4Y4T0達と大喜びで叫んでいた。


 3人とも、間違いなく今まででベストのパフォーマンスを最後の勝負所で発揮した。その勝負強さとメンタルには脱帽だし、ゲーム開始直前に勝ってくるという約束を果たしてくれたことを思い出して自然と目に涙が溜まる。


 けど、まだ結果は分からない。僕は我に返ってすぐにチームの待機所にアクセスし、試合の結果画面を開いた。


「僕、行くね」




白樺 結視点


「「やったあぁああぁぁぁ!!!!」」

「おっしゃああぁ!! 見たかあぁぁあ!!」


 勝った瞬間、気づけば叫んでいた。私だけじゃない。美月も、雫も、勝つしかない戦いを制したことで感情が爆発してる。


 今までで一番のオーダーが出来た確信があった。なんで出来たのかは全く分からないけど。それに美月と雫のフィジカルも凄かった。3人が全力を出し切って勝ち取ったTriumph。嬉しくて、気づけば自然と頬を涙が伝っていた。


 ただ、いつまでも喜んでいられない。私たちはまだ突破が決まったわけじゃないから。私は目から零れた涙を払う。


「みんな、見よう」

「そうだね」

「はい」


 結果画面のボタンにマウスカーソルを合わせる。さっきまでの喜びはどこかに消え失せて、今度は緊張が私の胸に押し寄せていた。マウスを握る手は小刻みに震え、心臓が張り裂けそうなほど早く強く鼓動を刻む。


 この1か月と少しの間、全てをTBに捧げてきた。美月と雫と一緒に、どんな練習も手を抜かずにやり抜いた。


 足りないのは分かってます。でも、どうか…お願いですから私たちを次に進ませてください。


 美月と雫と、久遠ともっと戦いたい。H4Y4T0さん達…ひよりと戦いたい。


 私は震える指先でクリックして結果画面を開いた。



 10位:BASARA Gaming 順位ポイント:16P  キルポイント:16P 総計:32P

 11位 結月 雫久 順位ポイント:16P キルポイント:15P 総計:31P



 …そっかぁ…届かなかったんだぁ。

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