第1章62 折り返し
「3位か」
「上出来だろ」
「うんうん、2人の制限も次からなくなるし」
順位表を見て俺たちの見解は概ね一致していた。俺とSetoのキルポも次から算入されるし、キャラピックの制限もなくなる。
初戦でTriumphを取れたこともそうだけど、僅差ながら3位に着けられたのは間違いなくひよりのキルポイントが大きく貢献していた。
2試合目はひよりのファインプレーがなければ6位だっただろうし、ひよりはもう俺たちの助けになれるくらいの戦力に成長してる。
それが見てる人に伝わってるといいんだけどね。
「ただ下も全然僅差なんだよね。まだ最下位でも連続Triumphとかでワンチャンどころか普通に可能性が出てくる。取りこぼさないようにしていこう」
「たしかに、Ragnarokの競技組がこれで終わるはずねぇしなあ」
「そうだね。絶対爆発してくると思う」
さすがは魔王。あの順位でキルポ上限まで倒してるってのが化け物っぷりを証明してる。
あれがもし順位が高くてキルポまでついてきたら1試合で30ポイントだって全然可能性あるし。
まぁそれは俺たちもなくなるわけだけどね。
カウントダウンが終わって飛行船に再び乗り込む。
眼下の光景は先ほどまでの荒涼としたものから、木々が青々と茂った恵多いものへと変わっている。
「さぁ、第3戦の準備が整い、60人が飛行船へと乗り込みました」
「もう折り返しですか。早いですねぇ」
「はい、そしてここから、競技シーンを戦う5人の化け物も”制限”という名の鎖から完全に解き放たれます」
「激しくなりますねぇ」
「楽しみにしていきましょう。第3ゲーム、スタートです」
俺たちはランドマークのウズメ淵に降り立つと散らばって物資の漁りに取り掛かる。
マップ中央寄りのこのエリアは、湿地の上に木で作った道が敷かれ、その上に建物やアイテムの収まるボックスが配置されている。
ここは初日に神田さんのチームと争って勝ち取ったランドマークだ。
カスタム初日、向こうチームにいる有名女優の西野 美羽さんが待機所のチャットで、
『ウズメぶちください ハヤトさん』
って打ってきたときは心臓が止まるかと思った。
「はは、大女優からお願いされてんぞぉ」
「え~っと、サインくれたら喜んでっと」
「お前ぇ!!」
「あっはははははははは、おっ全然いいですよだって」
「よくないわぁ!! Setoも笑ってないで止めなさいよ」
「あっ、ひより何勝手に!」
『ぜったいあげません。どっかいってください』
「おぉ~、超有名人に歯向かっていくぅ」
「サインもらえるとこだったのに」
「張っ倒すわよあんたぁ!」
『おくさんそんなカリカリしないで』
ドッゴオォォォォン!! カンッカラカラ~
あまりの威力に空き缶転げ落ちてますやん。
「おぉい」
「「…はい」」
聞こえてくるのは今までに聞いたことのない低く据わった声。これあれだな。目から色彩が消えてるだろ。気づいたら背筋がピンと立ってたわ。
「有名人だからって浮かれてんじゃねぇよ。プロなんだろ? あたしにやったみたいに分からせろ」
「「イエスマム!」」
次の試合で西野さんにフィニッシャーぶちかましてたけど他意はないよね?
まぁそんなこんなで勝ち取ったランドマークだ。王家の谷で降りたヴァーラ神殿跡地と違い、ここは漁れば普通に物資がちゃんと揃う。
あの渋さを経験してると普通に青バリアが拾えるだけで嬉しい気持ちになるから不思議だよね。
ただ、だからといってぐずぐずしていいわけじゃない。高天原はマップが広い分、安地が端に寄ると真ん中よりでも早い段階で安地外になってしまう。
いい位置を確保したといっても悠長に構えられるってほどじゃないから漁りのルートはここでもひよりに叩き込んだ。
「揃った?」
「あぁいける」
「あたしも。ショットガンが烈火がいいから見つけたら教えてってくらい」
「OK。俺も揃った移動しよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます