第1章60 序盤終了

 全滅したことで画面に表示される”Game Over”の文字。やがて画面が切り替わって俺たちを倒した部隊の視点に切り替わった。


「いや~きつかったなぁ」

「しゃあねぇ。ここまでは安地ゲーだし。真ん中に近いとこが勝って外れたら負けみたいなもんじゃん?」

「だよね。それに悪くはないんじゃない?」


 順位を確認すると、5位で終わったみたいだ。元々収縮が始まるときに半分くらいだったから、俺らとの戦闘以外でも減ってたっぽいな。


「てか5位なら上出来かな。ひよりがスティッキー刺せてなかったら6位だっただろうし」

「あれガチナイスだぞ」

「ありがとう。もっとキルポ取れたらよかったんだけど」


「いやいや気にすることないって。あれで順位も合わせて2ポイント稼いだんだ。褒められこそすれ気に病むことなんてないよ。助かった」

「ならよかった! 次も頑張ろうね!」


 第2ゲームで俺たちは順位とキルで6ポイントを積み増した。第1ゲームで17ポイント持ってるから合計で23ポイントだ。


カスタムから序盤2試合は中盤までチームが犇き合うから、最終安地にどれだけ近いところにポジションを取れるかが順位に直結する傾向が顕著だった。


 だから俺の選択はとにかくどこよりも先入りして、中位以上は必ず確保するっていう堅実なムーブを取ることにした。


 全チームもキルポ上限が6ポイントだから、2試合目までは順位のアベレージをとにかく意識する。


 平均5位以上を掲げていた俺としては、1位と5位で序盤2試合を終えられたのは理想的な試合運びと言っていいだろう。


 ちょうど第2試合も決着したところだ。勝ったのは…佐々木さんがいるとこか! 


 すげぇな。あそこはたしかパンデモ枠の元競技のゼウスさんが引っ張ってたはずだ。


 G1Nさんと同じタイミングでRagnarokに移籍してストリーマー部門に所属してる。


 G1Nさんと当時組んでたチームでリーダーやってて、古株だから”重鎮”とか”大将”って呼ばれてる。


 ちなみにSetoはいつかゼウスさんと遊ぶのが夢って言ってたくらいの大ファンだ。


「ゼウスさんとこが勝ったかぁ」

「さすがは大将」

「佐々木さんのファンの子たち喜んでるんだろうなぁ」


「視聴者9割女の子だっけ?」

「そうそう。TBのこと全く知らない子たちが今回たくさん見てるんだって」

「TBの実況で? えっぐぅ」


 3人で話しながら勝利者インタビューを聞いていると、


「佐々木さんはそういえば今回の大会を凄く楽しみにされてたとか」

「はい、そうなんですよ。実はこないだの大会見てからSleeping Leoの2人のファンになっちゃって。今回2人が参加するって聞いてめちゃくちゃテンション上がってました」


「「「うえぇぇぇぇええぇ」」」


 思わず大声が出てしまった。え、ファン? 俺らに? 俺らがじゃなくて? あの超人気アイドルグループのセンターが?


「たくさんのファンを抱える佐々木さんがファンになるって、あの2人も今頃驚いていることでしょう」


 いやガチで。今度家族に自慢しよう。



「はい、第2試合を見事勝利した、”騒げアリーナ”の皆さんでした。さて、レインさん。これで序盤2試合が終わったわけですが、ここまでご覧になっていかがですか」

「そうですねぇ。とにかく固い、ガチガチの2試合だったなと。第2収縮終わった段階であんなに部隊が残ってるなんて普通あり得ないです。それだけキルポ上限が戦略に大きく影響したと言えますね」


「なるほど。確かにいかに安地の真ん中近くにいられるかっていうのがそのまま順位に反映されていたような気がします」

「はい。これだけ混み合えば動くと射線が通るんで、オーダー出してる人たちからすると簡単なんですけど、違いを生み出しにくいですよね」


「確かに。収縮とともに外側のチームが減っていくという流れがカスタムから続いてましたね」

「そうですね。ただ次からマップも変わりますしキルポ上限も引き上げられます。ここからは各チームのIGLの腕の見せどころになりますね」


「はい、ありがとうございます。それでは、第2試合までの結果を反映した順位表をご覧いただきましょう。こちらです」

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