第1章59 攻防

「いくよ! 張り付き張り付き!」


 3人で一気に駆け出す。待ち構えたように安地内のチームから銃弾が放たれた。全員細かくジグザグと動いて狙いをつけにくくしつつ、なんとか目的地に到達した。


「回復して」


 被弾してバリアが削られたので、バリアエナジーを消費して回復する。ただ、俺たちが回復を使い始めるのとほぼ同時に、先ほど確認したチームも行動を開始していた。


「ひより」

「はい!」


 俺が言うか言わないかでひよりがセイメイの結界を発動。


 さすがだ。これで結界の中に籠れば外側からの銃撃を10秒防げる。ロビンフッドを採用した他のチームはさっきまでの収縮で撃破されてるのをキルログで確認してる。


 あとは無理やり入ってくるかだけど、あいつらもお互い射線通ってるから優先順位が変わるだろ?


 今は建物の壁を背にした俺らとちょうど三角形を作るようにチームが位置どってる。


 先に移動するリスクはあったけど、その分今のポジションはこのなかでは俺らが一番いい。


 詰めてきた2部隊がお互いを撃ち合い始める。結界の中で回復を完了した俺たちも戦闘に参加した。


「射線通しやすい左のチーム狙…結界張ったか。右が詰めてくるから来させるな!」


 俺の指示で交戦が始まる。ただ、相手もゴクウがスキルの”芭蕉扇”を使って風の壁を生み出した。


 この壁は銃弾を通さないし触れるとダメージをー食らう。しかもそこそこの速さで前進するし。ただ通り過ぎればなんということはない。


 それと、さっき仕込んどいたシルフィを一瞬だけ操作してODを叩き込んだ。


 さすがに交戦中にバリアを脱ぐ馬鹿はいない。これでダメージトレードは俺たちに傾く。


「ゴクウ激ロー!」

「ノック!」


 Setoが削ってひよりがダウンを取れた。数的有利は作ったけど。そろそろ結界に守られた奴らの回復が終わるころ。


「ひより、左にOD」

「わかった!」


これでもう少し足止め、てか少しでも削りたい。だけど相手も考えることは同じか。俺らにも爆撃が降り注ぐ。爆撃の落下地点にはエフェクトが表示されるから避けれないこともないけど、さすがに全部は無理だ。


「セイメイもやった!」

「アヌビスやった、右終わった! 次左!」


 俺とSetoで素早く壊滅させて残ったチームと再度交戦。ひよりのODで足止めは出来たけど、結界内で回復したこともあって相手はほぼフルヘルス。


 対してこっちはバリアが全員剥がれかけの状態だ。回復したいけど詰めてきてるから返すしかない。盤面は圧倒的にこっちが不利。


「スティッキー刺した!」

「神!」


 頭の中に浮かぶ”詰み”の文字。それをひよりの声が吹き飛ばした。


 俺とSetoがすぐに反応してフォーカスをスティッキーがくっついているセイメイに合わせる。何とかバリアを削りきった直後に爆発が起きてノックダウン。


 こっちは3人ともバリアが剥がれて肉体ダメージも削れてるけど、数的有利を生み出したのでとんとんくらいまで持ってきた。


 と、ここで横槍が入った。俺たちが背にしていた建物に籠っていたチームだ。


 射線を通してきたことで俺らと合わせて2方向から狙われた相手は耐えきれずに壊滅した。


 けど、それは次の標的が俺らてことでもある。


 俺たちは3人とも激ロー状態。スキルとODも使い切った状況で、さすがに盤面を覆すことはできなかった。


「あ~、ドンマイ」

「ナイファイ~」

「くそ~」

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