第1章51 神速
眼下に広がるのは荒涼とした砂漠地帯。ところどころにオアシスが存在し、その辺りだけに青々と草木が生い茂り、渇きと潤いが対極的に映る。
飛行船はマップ中央を左から綺麗に横断する航路を取っている。すでにランドマークが近い部隊は続々と降下を始めていた。
俺たちのランドマークはほぼマップの中央。飛行船が真上に差し掛かろうというところで俺たちも一気に飛び降りた。
「さぁ、第2ゲームまで使用されるマップが”王家の谷”。各チームがそれぞれのランドマーク目掛けて散り散りに飛び立ちました」
「カスタムのランドマーク争いも熾烈でしたねぇ。中央の激戦区の王墓はAceのチームが取ったんでしたっけ?」
「はい。”魔王と忠実な
「そうですね。広い割に建物がほぼないので点在するボックスからかき集めるしかないんですけど碌なバリア落ちないんですよね。あれ次のアプデで修正入らないかなぁって思ってるんですけど。ただそこを構成でカバーしてますよね」
「はい、アルセーヌを採用して物資不足を解消しました。物資が渋いなら他から掠め取ればいいっていう発想が面白いですよね」
「Setoがアルセーヌ、楠日和がセイメイをピックして、H4Y4T0がロビンフッドという構成ですね。H4Y4T0が索敵特化のキャラをピックしたことで安定性が高いです。あと、見てたら分かるんですが、ほら、もう移動始めましたよ」
「ほんとだ。全員バリア白ですよ? てか他のチームはまだ物資を集めている真っ最中です」
「武器は?」
「とりあえず持った」
「あたしも」
「おし、俺が安地読んだら動くよ」
序盤2試合、王家の谷での俺たちのコンセプトは”神速”だ。
マップの各地には次の安地収縮の円を表示してくれるギミックが点在している。このギミックを使うことで読みに頼り切ることなく正確な安地を知ることができるので、立ち回りが有利になる。
ランダムな出現となる場所もあるなかで、ヴァーラ神殿跡地は確定で存在するというのが数少ない魅力だ。というかこれ以外ゴミだ。
あと、このギミックを使えるキャラが限られてるんだよね。チームの構成を考えたうえで、俺が使うことにしたロビンフッドはこのギミックを使えるってのもデカかった。
ギミックを起動して5秒ほどのロード演出がなされ、取得した安地情報がミニマップに表示される。
数秒前に第1収縮は表示されているので、得られる情報は第2収縮だ。位置は…南東側か。
「移動する。走れぇ!」
「しゃあ、ガンダ(ッシュ)あぁあ!」
「ほんと今でも怖いよこの装備。漁るの40秒って」
アイテムが渋いなら時間をかけて漁ってもしょうがない。
そこはアルセーヌでカバーして、ロビンフッドで収縮を読んで、一目散に終盤まで生き残れるであろう地点を予測してひたすらダッシュ。さすがに白のバリアは落ちてるから着ないよりはマシ。
撃てる武器が拾えれば十分という割り切りまくったムーブだ。
カスタム中はとにかくひよりに漁りを早くすることを徹底的に叩き込んだ。
「遅い遅い遅い遅い!」
「40秒で支度しろぉ!」
「無茶言わないでよぉ!」
開けるボックスとそのルートを教えて、それ以外には目もくれるなと厳命した。
たとえ紫バリアが遠くに見えてもそれは蜃気楼だ。ここは砂漠だぞ?
俺なんて安地の読み込みでひよりよりも漁れるポイントは少ないんだ。
実際今だって白バリア、回復はミニバリアエナジー2つのみ、拾えた獲物はピストル2丁。弾は適当に拾ったから装填できるやつじゃない。
はは、草。
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