第1章34 Sleeping Leo参戦


 波石さんの言う通り、ストリーマーやVtuberに加え、コスプレイヤー、漫画家、メジャー歌手、アイドルなどなど。


 様々なジャンルから有名人が参加している。それだけTBが人気であることの証左でもあるし、こういった繋がりのない人とも遊べるのがゲームの醍醐味だよね。


「さて、弥勒さん。簡単にご紹介させていただいたんですけど、最後の3人が発表されておりませんが」

「はい、今回のスペシャルゲストですね。もちろんこれまでの参加者もスペシャルなんですけど、今一押しの方々をお呼びしてます」

「へぇ~、有名人ってよりは話題のプレイヤーってことですかね?」

「うん、芸能人枠じゃなくてガチの方だね」

「おぉ~、私もまだ知らされていないので視聴者の皆さんと同じでワクワクしてます。それではお待たせしました。今回のスペシャルゲストのご紹介です!」


 映像から画面が切り替わり、プレイ映像が映し出された。


 俺とSetoのキルクリップだ。スナイパーで敵の頭をぶち抜いたり、1人で敵を3タテしたりする映像がカッコいいBGMに乗って流れていく。


 中にはSetoの名が知れ渡るきっかけになった伝説のクリップも使われている。まぁあれはやばいよな。海外の有名プロ2部隊をほぼ1人で潰したんだ。相手のリアクションも含めて現時点のTBベストクリップの5本指には入るだろう。


 配信のコメ欄を見てみると、やっぱりそのクリップが決め手になったのか誰が参加するか察した人たちが結構いた。


『何この紹介、かっこよ』

『やっば』

『Sleeping Leo?』

『SLじゃん!』

『SL』

『若手最強キタァァァァ』

『出た伝説』

『OMG』

『チーターやん』

『これホントえぐい』

『Setoだぁぁぁぁぁ』


 後半はTBCSU-18の大会が使われていた。ちょうど波石さんとレインさんの解説だったし使いやすいよね。


 最後に優勝して3人が抱き合って喜ぶシーンが流され、俺とSetoの宣材写真が写されて動画が終わった。


 弥勒さんに仕事とかで使うからと撮っておいたやつだ。当時使っていた自作のユニフォームを着て腕を組んで撮ってもらった。


 俺とSetoは既に配信と通話を繋いでミュートにした状態で待機している。


「さぁ、ご覧のとおり、今回のスペシャルゲストは、先日開催された18歳以下のアジア大会を制したSleeping LeoのH4Y4T0選手とSeto選手でございます。いや~すごいですねぇ。今一番注目の若手選手じゃないですか。私とレインさんは実況・解説でしたから思い出深いですよね」


「そうですねぇ。本当に圧倒的でしたからねぇ。他のチームもどこも強いんですけど、全く寄せ付けずに蹴散らしたって感じでした」

「まさに鎧袖一触という感じでした。Seto選手のとんでもない火力が目を引くんですが、H4Y4T0のオーダーも素晴らしいですよね」


「はい。あそこはH4Y4T0選手のワンマンオーダーだったと思うんですけど、ほんとに展開を読む力が抜けてますねぇ。指揮官って言葉がぴったりです」

「弥勒さん、すごい人を呼びましたね」

「でしょ? 波石さんも言ってたけど、今一番乗ってる若手プレイヤーだから声かけさせてもらいました」


 3人が思い思いに俺たちの印象を語ってくれているし、コメントでも概ね好意的に受け入れてくれているみたいだ。


 知らないって人たちにはこれからご挨拶するわけだし。スタッフさんから間もなくですと指示があったので、俺は居住まいを正した。


「さて、そんなお2人と通話が繋がっているようです。さっそくお呼びしましょう。H4Y4T0さん、Setoさ~ん」

「は~い、H4Y4T0です。聞こえてますか?」

「はい、しっかり聞こえております」

「こんばんは~、Setoです。よろしくお願いしま~す」


 Setoもちゃんとスイッチを切り替えてるみたいだな。人見知りするやつだけど、取材とかのときはちゃんと受け答えはできる。そういう仕事モードじゃないときにコミュ障が発動するんだよね。


「よろしくお願い致します。お二人ともお久しぶりです」

「お久しぶりです。大会のあとのインタビュー以来ですかね」

「はい、こうしてRagnarok Cupに参戦ということになりましたが、今のお気持ちはいかがですか?」

「そうですねぇ。大会に参加するのは久しぶりなんで、すごいワクワクしてます」


「Setoさんはいかがですか?」

「っすねぇ。H4Y4T0と一緒でとにかく楽しみですね。暴れたいと思います」

「ありがとうございます。H4Y4T0さん、今回はどういった経緯で参加することになったんでしょうか?」

「はい、えっと経緯としては弥勒さんに声かけてもらってですね。弥勒さんには日ごろからお世話になってるんで、恩返しと思って決めました」


「その流れでストリーマー部門に加入してくれてもいいんだぞ~」

「それはまたおいおい考えさせてもらうということで」

「何やら引き抜き工作が目の前で行われてますね。ところで、お二人が参戦することは分かったんですが、あと1人は誰になるんでしょうか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る