第1章35 Ragnarokの化け物
「はい、今回はVtuberの楠 日和さんと一緒に出場させてもらいます」
「あ、ぶいあどの楠さんですね。そういえばお二人は最近、楠さんのコーチングをやられてますよね」
「そうですね。なんで薄々予想がついた人もいたかもしれないですね」
「なるほど。教え子との参戦というわけですね。それだと中途半端な順位は取れないですね」
「そうですね。見てる人たちなら分かってくれてると思うんですけど、楠さんほんとにめちゃくちゃ頑張ってくれてるんで。今回の大会でその成果を出して勝ちたいと思ってます」
「Setoさんから見て楠さんはどんな方ですか?」
「っすねぇ。頑張ってます。気合と根性はガチでありますね。あとは本番までにどんだけ仕上がるかだと思います」
「ありがとうございます。なんか師匠と弟子って関係性がすごくいいですね」
「でしょ? 波石さん知らない? この3人の配信、ってかH4Y4T0と楠さんを見て癒される視聴者続出してるんだけど」
「ちょっ、弥勒さん?」
いきなり何言ってんのこいつ!? 10万人以上が見てるんだが!?
「いや~、ひ~ちゃんもすごく頑張ってるし、H4Y4T0も面倒見がいいから見ててほっこりするんだよね。Setoもなんだかんだしっかり教えてるし」
「実は僕も見てますよ。楠さんどんどん上手くなってますよね」
「へぇ~知らなかったです。ほんとにいい師弟関係なんですねぇ。もっとお話しを聞きたいところではありますが、進行に戻らせていただきます。お二人ともありがとうございました。本番、頑張ってください」
「ほんと波石さんありがとうございました」
「ありがとうございましたぁ~」
通話を切ってから深い深いため息をついた。まったくとんでもないフリをされてしまった。
てか俺たちとひよりを繋いだの弥勒さんだから見てて当然か。今まで何も言ってこなかったってのは今日ぶっこむためだな…。覚えてろよ。
俺たちの発表も終わったことで、公式配信では出場者一覧を纏めて改めて注目チームを紹介している。
どこも大体パンデモ2人か、パンデモ1人とグランデ1人は揃えてきてる。カジュアル大会とはいえ雰囲気はかなりガチめだ。
中でもやはり、RagnarokのTB部門がリーダーを務めるチームはどこも優勝候補だ。
こないだの世界大会で世界3位となり、アジアの頂点に君臨するチーム。化け物の中の化け物の3人。
”神の子”
RagnarokのIGLを担うのが泥C。アジアでのプロリーグから世界大会を通して、キルムーブを主体とした攻め攻めのオーダーで世界3位に導いた司令塔だ。
火力が飛びぬけたチームの特性を活かしたムーブでキルポイントを乱獲した。俺がTBのオーダーの中で一番意識しているのが彼だ。
G1Nはもともとは別のFPSでプロとして活躍した伝説のプレイヤー。
日本のチームがなかなか結果を出せていなかったタイトルで、世界大会準優勝という結果を残して世界の度肝を抜いた。
e-Sportsの歴史の教科書があれば間違いなく刻まれるほどの大偉業だった。
そのゲームでは、G1Nが耐えて守り抜いた場所が”G1Nエリア”と呼ばれるようになり一般化してしまうほどの影響を残している。
そんな彼だが、ゲームを変えてTBに参戦し、持ち前のゲームセンスとエイムですぐに頂点に上り詰めた。チーム最年長の25歳で、纏め役としても高い能力を発揮しているらしい。
そして、Ragnarokの顔ともいえるプレイヤー。フィジカル最強は誰かという話題が出れば名前が挙がらないことはない。
前回の世界大会でもモストキルを獲得し、夥しい死体の山を築き上げたのが”魔王”Aceだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます