8日目(月曜日 仮)薪ストーブの部屋の午前「Schon」
翌日、私が決めた月曜日の朝、25本の薪割りをした。
ゼロからの火起こしをしたあの日以来、20本では心もとなかったから、毎日25本の薪割りを自分に課していた。
朝食と洗濯を済ませた私は、黒い服の男が台上に置いていったキューで玉撞きをやってみることにした。
昨日は、このビリヤード台は黒い服の男専用ではないか、と思ったが、こうして、キューを置いていったのだから、私がやっても構わないだろうと判断させてもらった。
黒い服の男が使っていたキューは、最早、素人に毛が生えた程度の私が見ても素晴らしいキューであることが一目でわかった。
キューを握るグリップから真ん中のジョイントに掛けて、6本の剣の装飾が施され、グリップの下部スリーブと呼ばれる部分にも凝った美しい装飾が施されていた。スリーブに掘られた文字を見ると「Schon」とあった。ショーンと言えば、カスタムキューを作っているアメリカにある工房のはずだ。値段は日本円で1本10数万から20万円台ほどだったと思う。
もちろん、私は、こんなキューで玉を撞いたことはなかったから、白い手玉を目の前にして素振りをしている段階で緊張を覚えた。
こんなお高いキューでブレイクするのは、はばかられたので、私は15個のボールをラシャ上に適当にばら撒いてから、撞きやすいボールから狙っていくことにした。
やはり、このキューは違う。
手玉を撞いた瞬間からキュー先を前に伸ばしていく僅かな時間の中でも、思ったようにボールをコントロールできる予感のようなものがした。
私は、黒い服の男がやっていたような一人で
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