第20話新衣装でファッションショー
冒険者ランク昇格試験の日がやってきた。試験は昼からなので午前中に製作してもらった服と、晴香の刀と史の槍も完成している頃なのでロータス武具店に取りに行き、完全装備で試験に挑む予定だ。
試験内容は戦闘で実力を見ると言うことなので、装備を整えディステル会の力を見せつけてやろうと絵理歌たちは張り切っていた。
絵理歌たちはまず服屋にやってきた。史の提案で一人ずつ製作してもらった服に着替えて見せていくことになる。
トップバッターは絵理歌。
絵理歌の服は上が稽古着をイメージした袖が短めの和風デザイン。下はミニスカートにショートパンツを合わせることで可愛さとパンチラ防止を兼ねている。靴は動きやすいブーツで、爪先と踵には魔鉄製の鉄板を付けている。
「エリちゃん可愛い! 足は出すけどパンチラしないことによって爽やかなエロスを感じるよ!」
「可愛いだけじゃなく
「スカートにショートパンツを合わせることで下品なエロさをなくしているのがポイントですわ」
「あたしはちょっと絵理歌ちゃんと被っちまったな」
絵理歌の戦闘服をみんなで批評するがどうやら高評価を貰えたようだ。みんなに褒められ絵理歌は少し照れてしまう。
続いて晴香の出番だ。
晴香の服は侍スタイル。下はもちろん袴だ。袴には足さばきを隠す役割もあるため晴香には合っているだろう。靴はブーツで坂本龍馬スタイルだ。
「うん、オーソドックスな侍スタイル。これから刀を取りに行くから大小二本差しすれば完成だね」
「とても似合ってるわ。ハルキャンなら袴の利点も生かせるし良いんじゃないかしら」
「若侍みたいでかっこいいですわ晴香さん」
「ブーツで坂本龍馬スタイルなのが良いな。あたしも好きなんだよ」
シンプルな和装で晴香もみんなから高評価を獲得する。日本人なら大体大好きお侍さんスタイルは偉大である。晴香は満足そうに手を振って応えた。
続いて史の出番だ。
史はスリットの入った前垂れが付いた和風ファンタジースタイルだ。スリットから覗く長い足がスタイルの良さを際立たせている。一部で絶大な人気を誇るファッションである前垂れを選択するあたり史は良く分かっている。
「史さん素敵。長身の史さんに似合ってるわ」
「前垂れを選ぶとは、史ちゃん先輩はさすがのセンスだなあ」
「わたくしたちより年上ですから凄く大人っぽいですわ」
「さすがあたしらのリーダーだぜ。かっこいいじゃねえか」
さすがは人気者の会長、センスのあるデザインで史は全員から高評価を獲得する。高評価に史もドヤ顔で応える。
次は景の出番だ。
景はゴテゴテにならない程度にフリルやリボンで装飾した和装とロリータの融合スタイル。自身の小さい体と可愛らしい容姿の利点を最大限活かした、自分の強みを良く理解したセルフプロデュースである。
景は下がミニスカートにショートパンツで絵理歌と被っていると言っていたが、景はリボンの付いたフリフリスカートなので差別化できていた。
「やば……景さん可愛い。……優勝」
「お人形さんみたい……。うちに持って帰って良いかな?」
「負けたわ景ちゃん。これは可愛さの暴力よ」
「――はっ! さすがですね景、危うく卒倒するところでした。相手にとって不足なし、次はわたくしの番ですわ!」
景の衣装に一同大絶賛である。絵理歌たちだけでなく店内の買い物客や店員も「可愛い……」と見惚れる者が現れるほどだった。自分の強みを活かし計算された一着は見る者を魅了する魔性の衣装だ。
それを着る景が顔を赤くして照れる姿が可愛らしさを更に上乗せしていた。
次はそんな景を見て闘志を燃やすねむの出番だ。
ねむの衣装は大正ロマンを感じさせる袴スタイル。頭を飾るリボンは過度な装飾のないシンプルな物だが良いアクセントになっている。着物は少し派手な柄を使用しているが、シックな袴と合わさると不思議と調和が取れていた。愛銃のグロックとデザートイーグルは腰のホルスターに収められている。
「そう来たかねむさん。大正ロマンを嫌いな人っていないんじゃないかな」
「着物の上からでも分かる巨乳……ねむちゃんのおっぱいは二次元かよ」
「同意見よハルキャン。まさに魔乳ね」
「締め付けると辛いって言ってたからな。乳袋作ったのか」
「これは生地の問題ですわ! 薄手の生地で太って見えないようにウエストを締めたらこうなりましたの。それにわたくしの衣装には続きがありますのよ」
ねむはそう言って試着室に入り着替え始める。
着替え終えたねむが出て来ると袴が膝上のフレアスカートに変わり、着物ドレス風衣装になっていた。
「可愛いけど、二着目とかずるいぞねむちゃん!」
「これは自己資金で作りましたの。ずるくありませんわ」
「それならありね。私も作ろうかしら」
晴香のヤジにねむは自腹で作ったと答える。今回の装備はパーティー資金を使っているが、二着目を自分のお金で作るのは自由だ。
絵理歌たちは二着目の製作依頼をして服屋を後にし、頼んでいた武器を受け取りにロータス武具店に向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます