第16話VSタンタンコロリン
タンタンコロリンが雄叫びを上げるとお供のトレントがこちらに向かってきた。
タンタンコロリンは後方で様子を見ている。
「こちらも行きますわよ!」
「オッケーねむさん!」
ねむは敵の数を減らすためにグロックを連射してお供のトレントを狙う。絵理歌はタンタンコロリンの足止めをしつつ倒せるようなら倒す作戦だ。
晴香と史は魔法でお供のトレントを狙いねむの援護に入る。
「オラオラオラオラオラオラアアア! ハチの巣にしてやりますわー!」
「史ちゃん先輩、ねむちゃんが怖いよ……」
「あらあら、ねむちゃんたらトリガーハッピーなのかしら。私たちもやるわよ!」
銃を手にしてテンションが上がりグロックを撃ちまくるねむを見て晴香と史は若干引くが、気を取り直してトレントに魔法を撃ち込んで着実にトレントの数を減らしていった。
タンタンコロリンは枝を腕のように使い絵理歌目掛けて自身の果実を投げつける。投げられた果実は「わははは」と笑いながら向かって来るのでなかなかにホラーだ。そして、落ちて潰れた果実は粘着力を持ち絵理歌の動きを阻害する。
絵理歌は飛んできた果実を躱して粘着液を回避するが距離を詰められないでいた。
「なかなか面倒な相手ね」
「絵理歌さんお待たせしましたわ!」
お供のトレントを片付けたねむがグロックでタンタンコロリンの枝の果実を狙い撃ち潰していく。
すると、自身の果実の粘着液が絡まりタンタンコロリンは動けなくなった。
「ありがとうねむさん! 決めるわ!」
絵理歌は粘着液の広がる地面をジャンプで飛び越え、タンタンコロリンの胴体に気を込めた飛び蹴りを放つ。
タンタンコロリンを壁までぶっ飛ばしたがまだ息があるようだ。
「これでしまいですわ!」
ねむは壁に飛ばされたタンタンコロリンにデザートイーグルを撃ち込む。ドパアンと大きな銃声が上がり胴体に風穴を開けると、タンタンコロリンは前のめりに倒れて迷宮に吸収された。
ドロップアイテムはタンタンコロリンの木材と魔石。
「いたたたた! 体が痛いですわあ!」
「ねむさん大丈夫? 景さんの歌は身体能力は上がるけど体の強度はそのままだから、気で強化せずに無理すると体を壊しちゃうよ」
「そういう事は先に言ってくださいですわー!」
タンタンコロリンを倒すとねむは体が痛いと転げ回った。
銃撃にテンションが上がりすぎてはっちゃけてしまい、上がった身体能力で体に負担を掛けすぎたのだろう。特にデザートイーグルの衝撃が致命的だったようだ。
「目的のタンタンコロリンの木材も手に入れたし、今日の探索はここまでにして四階層に出てから帰還しましょうか」
「そうですね、無理せず帰りましょう。ねむさんこれを飲んで、回復ポーションだよ」
「うう、絵理歌さんありがとうですわ……」
史の提案に絵理歌たちは得心し、ドロップアイテムを回収して四階層の転移魔道具で迷宮入口に出る。
ねむは回復ポーションを飲んで少し落ち着いたが全快はしなかったので、帰路は絵理歌がおぶって宿に帰った。
「すまねえねむちゃん。あたしの歌が体の強度まで上げられたら良かったんだが」
「景のせいではないですわ。わたくしがはっちゃけすぎたのが悪いのです」
「それじゃあ私たちはロータス武具店に行って来るから。ねむさんはゆっくり休んでね」
宿に帰りねむをベッドに寝かせる。
景が看病すると名乗り出たので任せることにし、残りの三人でロータス武具店に向かった。史の槍の素材であるタンタンコロリンの木材を手に入れたので渡しに行くのだ。
気と魔力を通せる木材なので木剣と木槍も作ってもらう予定である。
「ちわー! 素材取って来たよー!」
「いらっしゃい! 一日で取って来るとはさすがディステル会だね!」
「リリーちゃんウチらのパーティー名知ってるの?」
「客にみんなの話をしたら一発だったぜ。有名なんだな」
晴香が元気よくドアを開けるとリリーが店番をしていた。
リリーにはディステル会は名乗っていなかったが、どうやら客に絵理歌たちのことを聞いたようだ。有名になればシスル女学園関係者が向こうから会いに来る作戦は順調に進んでいる。
有名と言われて晴香は「いや~、それほどでも~」と嬉しそうにしている。
「槍の素材はあたしが受け取っとくよ」
「後、タンタンコロリンの木材を使って木剣と木槍を作って欲しいんだ」
「オッケー、それならあたしが作れるよ。素材持ち込みだから二つ合わせて銀貨八枚だね」
リリーにタンタンコロリンの木材と、木剣と木槍の代金銀貨八枚を渡す。
木剣と木槍はリリーが手ずから作ってくれるそうだ。
「木剣と木槍は明日にはできるからいつでも取りに来なよ。刀と槍は五日は掛かるかな」
「オッケー、じゃあまた明日来るね」
ロータス武具店を後にし、今日手に入れたドロップアイテムを換金するため冒険者ギルドに向かう。
薪は一束大銅貨三枚、十八束あったので合計銀貨五枚と大銅貨四枚。魔石は金貨二枚。
今日はあまり稼ぐことができなかったので、明日はもっと深い階層まで潜ろうと話し合った。
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