scean4 魔女狩り
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話は三年前に
季節は十月、冬はもう少し先だと言うのに、その森の木々は
夜の闇の中、神殿の柱さながらに見える葉の落ちた樹木。数エーカーほど広がった白い神殿であるが、この
――それが出来るなら、人間ではない。神か化物だ。
暗い森の中、十字架が燃える。目隠しをされた少女が縛られ、
それを取り囲む人垣の中で、ほくそ笑んでいた
「見届けなさい、氷の魔女はここに滅ぶわ。主の名において、
その時、何かが
人垣が騒ぐ
「いったい何ごと!」
ターヤの叫びに応えるものなど誰もいなかった。突然夜闇に包まれたことで、騒がしい声は水を打つように静まり返った。闇に目が慣れず、混乱したのだ。ターヤはすぐさま
人影が四人、男と少女がそれぞれ二人と、巨大な
金色の髪の少女を見るなり、ターヤは叫んだ。
「閃光の魔女モニカ! またしても邪魔立てを!」
「主の名において、『殺すなかれ』はどうなってんの?」
モニカと呼ばれた『魔女』は金髪を耳のやや下の長さで揃えて、まるで道化とも見紛う衣装を身に
奇妙な姿に反して、
「クロム、その子は無事?」
「いいや、モニカ……衰弱して意識がない。魂まで潜ってくる」
「それは禁呪にされてなかった?」
「やらなければこの子が死ぬ。時間稼ぎ頼む」
「任せといて! リズとヴァイス、援護してね!」
ヴァイスと呼ばれた、
「それじゃ遠慮なく……『我は
モニカの体が淡く光りだす。二、三度跳ねると、地を蹴り、走った。あまりの速さに修道士達は反応出来ない。蹴りの一撃で宙に飛んでいく。
三人が敵を相手取る
『――
――
呪文が完成したのと同時に、クロムの体は水中に沈む。クロムの他には見えてすらいない、精神世界が感じさせる海。
クロムの体は形を失い、光る塊に変化してしまう。海中を泳ぐ魚のようにも見えるその姿。
深く潜るたび、通り過ぎる泡。幾つもの泡は過去の象徴だ。内部に記憶が垣間見えてくる。
――少女は生来、見たものを氷漬けにしてしまう能力があった――
――強い感情が引き金になって、『氷の魔眼』が機能してしまう――
――両親はそれを隠して娘を大事に育てた――
――だが
――石を投げられるようにさえなった――
――その内飢饉も娘のせいだと言うことになって、何度も何度も石を投げられる――
泡の奥の奥、小さな魚が沈むのが見える。
クロムの身体が人型に戻り、そっと
「ああ、つらかったね――」
◆◇◆
夜明けの光が森を照らし出し、凍った樹木がきらきらと光る。美しい景色と言ってよかった。
森の中心に残った燃え
「逃げられた……」
少女を助けたクロムらはその後、一晩戦い続けてターヤとその仲間たちを足止めし続け、ついには夜闇に姿をくらませ、逃げおおせたのだ。
ターヤは憤怒し、大声を上げて、修道衣を着た手勢に対して司令を発する。
「ドミニコ
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