証言者が何人か出てきて、それぞれの視点で語ります。
ここがとにかく素晴らしい。
セリフとしての記述でありながら、実に表情豊かな表現なのです。
説明口調になることなく、証言者のキャラクターまでも描き出します。
そして園遊会の場面すらも、ありありと思い描くことができる表現力。
この部分を読むだけでも、かなり堪能できます。
しかし、醍醐味は証言者がそれぞれ語る内容にあります。
証言者たちが言及する場面はバラバラなので、
頭の中でパズルのピースを組み上げるような感覚になります。
必然的に足りないピースが出てきて、
ここにミステリーとしてのゾクゾク感が生まれます。
裏になにかあると思わせる演出が巧みなのです。
そしてオチに至ることで、
全てのピースがはまり、一つの物語が完成します。
この快感!
あなたも、ぜひ味わってみてください。