エピソード:26 円城高校生徒会奮戦記?2 

(生徒会長:及川充視点)

 あともう少しの筈だった。ほんの数メートル近ければ、俺のスキル:敵スキル無効化で桜田香の転移は阻害できた筈だったのに、そうはならなかった。人質を取られたのに躊躇わずに転移されたのも意外だった。それだけお荷物に思っていたのかも知れない。


「ちっ、役立たずが」

 大森が日高という生徒を蹴り飛ばした。日高は地面を蹴り転がされてもへらへら笑っていた。何もかもあきらめた乾いた笑いだったけれど。

「さて、これからどうする?戻ってくるまで待つのか?」

 西田洋介が当然の質問を尋ねてきた。

「鑑定で見て、一度転移したら24時間待たないと転移出来ないんだったな?」

「ああ。だけど、転移出来るのは、一度行った場所か、思い浮かべられる誰かの居る場所だ。戻って来るのがこことは限らない。むしろ、可能性は低いだろ」

「どうして?人質も取ってるのに」

 亞璃紗の疑問を今井は笑い飛ばした。

「一人で逃げるきっかけが欲しかったんでそ。人質に取られたってのに躊躇い無く逃げたんだから」

「その思い切りの良さのせいで、俺達はここからひいこら歩いて戻らないといけなくなった。やれやれだ」

「忍耐の神の加護の効果でパーティーメンバーの持久力上げて、同じく跳躍の神の加護の効果でぴょんぴょん飛び跳ねて楽に移動できてるから何とかなってるが、ずっとは使い続けてられないしな」

「それに、元の神の加護レベルを下げる事になるのが、地味に効くかも知れないしね」

「それな」


 俺達は休憩を挟んでから移動し始めたけれど、人質として加えた二人がパーティーメンバーとしては認められないようで、出だしから足枷になった。

「殺そうよ。こんなんじゃ、いつになったら帰りつけるかわらかないじゃん」

「バカ言うなよ。桜田香先生が、二人をキーにして転移してくる可能性はまだ残ってるんだ。逆に言えば、二人がキーに出来なくなってると知った時点で、戻ってくる可能性は極端に落ちる」

「ま、もっと簡単にステータス画面の表示から生死は確認出来るしね」

「という訳だ。お前等、きりきり歩け。痛い目を見たくなかったらな」


 二人は、途中でばらばらに逃げ出されても面倒なので、亞璃紗に魅了させておく事にした。

 ただ、ここで加護レベルとスキルレベルのバランス調整の難が出た。今すぐに問題が出ているという訳では無いけれども、桜田香が助けを求めに行ったのが七瀬綾華だったら。そして七瀬綾華が本当にやってくる事を想定するなら、看過できない問題になる可能性があった。


 それはスキルレベルの上げ方だった。その法則は、メダルを5枚以上集め、かつ元々の神の加護を3以上に上げないと開示されない。メダルを5枚以上集められているのが全体のごく少数なせいもあるだろうけど、どこの掲示板にも掲載されていない情報だった。もちろん、俺達も情報を開示しなかったけれど、掲示板に書き込まれても自動的に消される可能性まで考えられた。

 メダルを5枚以上集める。つまり総数は6だ。自分の元々の加護を得てる神様のメダルのレベルを3以上に保っていないと、スキルのレベルは上げられない。しかも加護のレベルを7以上に上げたとしても、現状では、3までにしか上げられなかった。(一時的に亞璃紗からメダルを借りて試してみた)

 加護レベルにより新たに出てくるユニークスキルはばらばらなようで、レベル2で出てくるものもあれば、5になってようやく出てくるものすらあった。

 自分の場合は、加護レベル5で法則支配が出てきた。加護レベル次第で、複数の法則を同時に加減したり変更出来るようになる。加護レベル1のままだと、1つの法則しか同時には手を加えられなかった。

 俺の得たスキル:敵スキル無効化は、スキルレベルを伸ばせば、射程が伸びた。レベル1だと自分を中心した範囲5メートルに相手がいないと無効化出来なかった。レベル2で10メートル、3で15メートル。

 獲得したメダルが5枚なので、2枚を加護レベルに、2枚をスキルレベルに使って、両方をレベル3に。それから忍耐の神のメダルも有効化して使っていた。はっきり言って、これが無ければ不慣れな山中の移動でとっくにばてていただろう。

 亞璃紗はメダル3枚で加護レベルを4、2枚でスキルレベルを3まで上げていた。魅了スキルは、レベルを上げる事で一度に魅了できる対象の数を増やせた。魅了できる対象とは、ほぼ近接していないと無理なのが痛いところでもあるがスキルの特性上仕方ないだろう。魅了が通るかどうかは、相手とのレベル差やステータスを総じたランク差が影響するようだった。いくらか加護レベルによるブーストがかかるようだったけれど、まだ低レベルな内は高位な存在を魅了するのは厳しそうだった。MPを込めればそれだけ魅了できる可能性は高まるようだったが、魅了はMP消費が重めで、考え無しに連発し続けられるものではなかった。レベルがまだ7前後の自分達だと、知性だけにステータスポイントを入れたくともそう出来ない事情もあった。


 それは自分達のパーティー構成と能力の歪さにあった。今回のデスゲームを勝ち抜くにはおそらく過剰なほど恵まれている筈なのだけど、前衛をこなせるのは大森くらいしかいなかったので、ステータスの割り振りもその役割に沿ったものにしてもらった。ただ、彼女の持つ「欲しがり」という加護スキルは、相手のステータスの一部かスキルをランダムで奪えるというものだったけれど、彼女の知性の低さがMPの低さでもあり、せっかくの複数スキルを得ても運用が困難だった。

 彼女が奪って得ていたスキルは光魔法と水魔法。光魔法はヒール、水魔法はウォーターボールが使えたがMP消費は7と5。

 本当は彼女にもっと殺させた方が得られたステータスポイントは多かったのだろうけど、経験値なども絡むので、彼女一人にだけ殺させていく訳にもいかなかった。

 彼女は5枚分のメダルのポイントを、欲しがりに3、光魔法と水魔法スキルの有効化に1ずつ振っていた。本来ならスキルを有効化するという手順も無い筈なので、そのコストという事で割り切った。物理攻撃無効のスキルは常時発動(パッシブ)でMP消費もスキルレベルも無い為、ポイントをつぎ込めないしその意味も無かった。



 街を出る時に、彼女には長剣と盾と皮の鎧を、自分と西田には皮の鎧と短剣を、亞璃紗と今井には解体用を兼ねたナイフを買っておいた。

 農村を出て山の方へと分け入っていくと、当然の様に魔物達と遭遇し、慣れない内はそれなりに苦戦した。今井が、大森がボコったゴブリンをテイムして少しは楽になるかと思ったが、当然ながらあまり強くなかった。

 オウル・ベアーという梟なのか熊なのかはっきりしない魔物と遭遇すると、ゴブリンは逃げ出そうとすらしたけど今井に強制されて嫌々前に出たもののあっさりと殺された。

「こいつテイムするから殺さないでね!」

 と言われたものの、手加減するのもむずかしい相手だった。明らかに自分達よりもランクやレベルが上に見えた。大森が果敢に立ち向かってくれたけど、無造作に振られた右手の一撃を受けただけで盾が半壊した。大森の反撃の一撃は、毛皮だか羽だか判別がつかない体表に傷を付けられなかった。


「亞璃紗の魅了か、今井の支配は効かないのか?」

「たぶんレベル差とランク差のせいで、レジストされてる」と亞璃紗。

「支配もテイムも弾かれてる!多少は痛めつけないと無理ぽい!」と今井。

「洋介、あいつのレベルは?スキルとかは?」

梟熊オウル・ベアー、レベル15!ステータスは上から15,17、5、7、3で計47、ランク4だが5に近い!スキルは、風の刃と飛行だ!」

「ミツル!相手の体表だけ何とかしてくれ!攻撃が通りさえすれば何とかする!」

梟熊オウル・ベアー、お前の体表は剣を拒めない!」


 魔物によって性質なんて千差万別だ。それが分厚い皮なのか、それとも表面をコーティングしてる脂質で刃が滑ってしまうのか、いちいち分析してそれぞれの法則を変質させたりしてたら手間と時間がかかりすぎるし、MPも保たない。

 だから、こちらが望む法則性を強制するのが一番効率が良いと学んだ。ただ、レベルやランクが自分より上だと、基本MPが5しか減らない筈の加護スキル「法の支配」1回の行使で倍の10もかかった。

 大森の刃は確かにダメージが通るようになった。だけど相手の攻撃が鋭くてなかなか踏み込めない。自分と西田洋介の短剣での攻撃だとかすり傷しか付けられてなかった。


 今の自分達の弱点がもろに出てしまっていた。

 相手の防御を弱められたとしても、攻撃力ダメージソースがほとんど無い。今井がこいつをテイムするか支配下におけるかすればだいぶ改善されるにせよ、今井の支配は前提条件が厳しすぎて、魅了されててもダメ。通常のテイムされていてもダメ。正面からボコって弱めて言うこと聞かせられる状態にしないとおそらくダメという、強力な筈なのに、今のところ使い物になっていない加護スキルだった。

 自分の敵スキル無効化も同じ。相手がスキルや魔法を連打するタイプならともかく、こういった力押しメインだと使いどころがほぼ無くなる。風の刃は見えないし早いので、狙って無効化するのもほぼ無理だった。


「洋介、お前の加護スキルで何とかならないか?」

「このままじゃ手詰まりだしね。大森さん、相手の攻撃を何とか3回避けて、それから攻撃して!」

 洋介の加護スキルの賭博は、使いどころが難しい。状況を完全にコントロールできる場合ならともかく、同格以上との読めない戦場だと、途端に使える幅が狭まる。

 大森が自分より素早い相手の攻撃を剣で払ったりしながら何とか3回避けてから攻撃すると、今までよりだいぶ深い手傷を与える事が出来た。ただ、それは相手の警戒レベルをだいぶ引き上げてしまったようで、反撃の風の刃を大森は剣で受けたものの、その場から吹き飛ばされて木の幹に打ち付けられ、口から吐血した。

 もっと余裕を持って俺達を殺せる筈が思わぬ手傷を負って怒り狂い、短剣なんかで攻撃できる状況ではなくなってしまった。


「どうする、ミツル?逃げるのか?」

「相手の方が素早いし飛べるんだろ?なら、ここは踏ん張りどころだ。洋介、お前は、俺の試みがうまくいく方に賭けてろ!MPのありったけでだ!亞璃紗は大森を後ろにひきずって離れておけ。今井は俺についてこい!」


 ああ、久しく無かった事だけど、俺は今興奮していた。殺されるかも知れないという状況で、この上無い充実感を感じていた。

 俺は、梟熊の表皮にかけていた法の支配を解放し、別の法の支配をかけた。

「お前にかかる重力の法則を強める!」

 MPが10減り、梟熊にかかる重力を強めた。おそらくは2倍。梟熊の動きが段違いに鈍くなり、俺はさらに繰り返した。

「お前にかかる重力の法則を強める!さらに!さらに!さらにさらにさらに!」

 3回目で立っているのも怪しくなり、5回目で膝を突き、6回目で地に伏せて動けなくなった。これで最大100あるMPは残り20となった。

 

「まだ逆らう気がありそうだな。さらに重力の法則を強める!」


 これで梟熊は地面にめり込んで完全に身動きが取れなくなった。俺もMPが底をつきかけてふらつきかけたけど、相手に一度でもレジストされて自由を取り戻されれば全滅は必至な場面だった。


「今井、決めろ。ここで役に立たないようならお前はもう要らない」

「わかってる。お膳立てありがとー!」


 今井が伏せっている梟熊の鼻先の位置に両膝をつき、振りかぶった解体用ナイフを梟熊の額に突き立てた。いや、突き立てたかのように見えても、ダメージは1も入ってないだろう。

「服従を、受け入れなさい。受け入れるまで、私は続ける!」

 ガッ、ガッとナイフの刃を突き立てる音がいつまでも続いた。刃先が目や鼻先へと滑る事もあった。眼球ほじくり出そうとする方が脅しとしては効いたかも知れないが、テイムして使おうとしてるのだから、体は損なえない。それも魔物テイムのむずかしいところだった。


 数分に一度、今井は支配と叫び続けた。その五度目でようやく、今井のナイフは止まった。俺はもうとっくに立ってられなくなって地面に腰を下ろしながら、何とか法の支配を保っていた。


「うまくいったんだろうな?」

「うん。もう大丈夫だよ。重力の支配とやら、解除して上げて」

「大森が戦線復帰してからな。大森、だいじょうぶか?」

「なんとかね。自分で自分に何度かヒールかけてやっとこ。骨折してなくてラッキーだったね」

 大森が具合を確かめるように肩を回しながら戻ってきたので、梟熊に対する重力制御を解いた。これでもし今井の支配が解けたら全員死ぬしかなかった。


「さ、立ちなさい、オーちゃん!」

「オーちゃん?」

「なんて安直な」

「かわいいのは認めるけど。名前だけ」

「役に立てば何でもいい」

「役には立たせるよ。ミネちゃん、オーちゃんにヒールしてもらってもいい?」

「MPあんま残ってないから一度だけな」

「うんうん、仕方ないねそれは。ありがとー!」


 それからは、だいぶ楽になった。自分達で戦闘をする機会が無くなるほどに。というか、こいつがここらのボスだったのか、魔物がほとんど寄りつかなくなって、逆に経験値稼ぎが滞るくらいだった。


 梟熊を狩った後は皆疲労困憊で動けそうも無かったので、翌日から桜田先生との追いかけっこは続いた。惜しい所まで追いつめてもまた逃げられる繰り返しに、同じやり方を繰り返しても埒があかないと、手持ちのメダルの加護スキルなどをいろいろ試したり、梟熊を回り込ませるなど試行錯誤を繰り返して、最後には、桜田先生と二人の生徒の分断に成功。彼らを人質として捕らえ、ようやく彼女を捕獲できる。そう思って彼女を視野に捉え、あと十秒、いや五秒もあれば彼女の転移を阻害出来ていた筈が、その姿は無慈悲にかき消えてしまった。



ーーー

(橘亞璃紗視点)


 桜田香を取り逃した晩は、少しだけ移動してから休んだ。捕虜にした二人は私が魅了した状態で逃げられないようにした。

 生徒会メンバー内部の雰囲気は、桜田香を追っている間もぎすぎすしていたけれど、逃がした後は最悪になっていた。


 いつ壊れてもおかしくない雰囲気だった。

 覚悟はしてきた。いずれ殺し合わないといけない運命なのは全員が承知していた。それは出来るだけ後回しにすると約束しあっていたとしても、それぞれにとって最善のしかけるタイミングは違ってくる。互いのメダルの相性もあるし、倒す順番も重要だ。それに、こんな山中でもどうにか活動できてるのは、絵里が支配下に置いた梟熊の力もあるけど、美祢の水魔法のおかげも強かった。

 もちろん、充が全員の志気と体力を保っていたし、私も彼を全力でサポートしてきた。戦闘では役立たず気味の西田も、鑑定はサバイバルに必須級のスキルとして役立っていた。どの植物や動物が食用にしても安全か安全でないか。そんな生き字引がいなければ、私達はとうに行き詰まり、追跡そのものが継続出来ていなかっただろう。


 その夜、高ぶって苛立っている充を鎮める為に、他のメンバーが寝静まった頃に少し離れた場所で、した。もちろん声を立てないようにとか気を付けてたけど、美祢も西田もこっそりと近寄って覗いてきていた。美祢は充が、西田は私が目当てだった。まったく、いつまで経っても諦めが悪い。

 集団転移前からの人間関係のしこりが、いつになく煩わしく感じた私は、二人に見せつけるようにいつもより激しく悶えてみせた。



ーーー

(大森美祢視点)


 ああもう、ほんと、ミツルのアレ、たくましくて素敵!早く私の、私だけのモノにしたいのに!けれど、ミツルとアリサは相思相愛。アリサが生きている限り、私の方を振り向いてくれる可能性は無かった。

 このデスゲームは天の恵みだった。合法的に?、アリサをこの手にかけられるのだから。とはいえ、彼女のスキルと私のスキルの相性は悪かった。例え彼女と二人きりの時に狙っても、返り討ちにあう可能性は低くなかった。

 スキル:敵スキル無効化は抽選会場に一つしか無かった。ミツルは殺せないから奪えない。だから私は、いずれ、スキル:魅了を無効化できるアイテムなりスキルなりを誰かからか入手するつもりだった。

 アリサを狙ってる西田と共闘の約束もしてるけど、今はまだ我慢の時だ。いずれ絶対に機会はやってくる。そう信じて、私は自分の指先で我慢するのだった。



ーーーー

(西田洋介視点)


 くそっ、充の奴、見せつけやがって!俺の方が先に亞璃紗と出会って、俺の方が先に彼女を好きになったのに!

 俺の方が少しだけ充より試験の成績は良かった。だが、それ以外ははっきりと充の方が上だった。外見も体格も人気も家柄も将来性も、そして最終的に亞璃紗を惹き付けるだけの魅力も。

 俺は中学も亞璃紗と一緒だったのに、まともに告白出来なかった。ふられて終わるのが受け入れられなかったから。けれど充は、一年の一学期から亞璃紗と付き合い始めてしまった。俺が生徒会に立候補したのは、生徒会長に立候補した充とともに亞璃紗が副会長として立候補したから。少しでも亞璃紗の側にいる為だった。

 大森美祢は、俺と同じ境遇にいた。女子にしては大柄で体格も良かった彼女は、スポーツ万能で女子にも人気があったが、ずっと充に憧れていたものの告白できないままだったらしい。特待生として迎えてくれるという高校を袖にしても円城高校を選んだのは、ただ少しでも充の側にいたかったから。だから彼女も生徒会に立候補した。

 俺達二人は、そう時間をかけずに互いの立場を理解し、共闘を約束した。約束は、異世界に拉致されてきても有効なままだった。いや、むしろ、最終的に勝ち残れる可能性の方が低いのだから、どうにかしてそれまでに一度でも互いの想いを果たすために協力しあう事を誓ってさえいたが、二人に与えられた異世界の神の加護と、取得していたスキルの組み合わせが最悪過ぎた。俺と大森が二人で協力しても、充と亞璃紗を負かせる戦略を立てられないまま日々は過ぎていた。

 桜田香先生の追跡行は、何らかのチャンスになりそうだったけれど、今のパーティーの状態からすると充の脱落はそれだけで深刻な戦力低下を招きそうでもあった。転移で逃げた桜田香先生が誰を連れて帰ってくるのかは未知数だったし、そもそも生徒達を見捨てたのなら戻ってくる可能性は低かった。


 それでも、充を倒せるくらいの誰かがもしやってきたのなら、その時は、好機だ。今は充が立っている位置に俺が立ち、充が味わっているそれを味わうのは俺になる。その為になら俺は何だってやる。そう、何だってやるんだ。

 そう決意しながら、俺は右手の動きを速めた。


ーーーー

(今井絵里視点)


 しっかし、あいつら正気かよ。いくらオーちゃんがいて生半可な魔物は近寄ってこないっていっても限度があるだろうに。

 まぁ、それだけ溜まってたんだろうけどな。今襲ったら勝てないかな~。勝てないだろうな~。オーちゃんを支配下に置いた時なら及川は倒せただろうけど、亞璃紗までは微妙。あんな状況で及川を殺してたら、手負いとはいえ大森に殺されてただろうし。


 生徒会は、異世界に拉致されてくる前から微妙な人間関係バランスだったけど、こっちに来てからかなり揺らいでた。最終的には一人しか生き残れないんだから、亞璃紗と充のペア以外は絶対に裏切りあう。美祢は充を、西田は亞璃紗を殺せないし、殺した相手を絶対に殺そうとする。つまり自分が殺すのなら、美祢か西田からになるのだけど、それは充と亞璃紗を楽にしてしまう。


 はー、面倒だな。やるなら全員いっぺんに、しかないのか。オーちゃんを得るまでは無理ゲーだっただろうけど、今なら可能性はある。例えば、あいつらが盛ってたりシコってたりする間、私とオーちゃんが離れて、魔物達に襲わせれば?

 それ自体はうまくいく可能性があったけど、かおりん先生が助っ人を連れてきてそいつが強かった場合、私とオーちゃんだけだと適わない可能性がある。充とかのメダルを手に入れられれば私もだいぶ強化される筈だけど、それでも微妙だ。

 さらに、かおりん先生のメダルを誰が得るかという問題もあった。全員のメダルが6枚ずつになってるから、次は充の番だった。もしあの転移の力を充が手に入れたら、充(と亞璃紗)はいつでも逃げ出し放題だし、こちらを襲いたい放題という、力関係が完全に崩壊する事が目に見えてた。


 やっぱり、かおりん先生が連れてくる助っ人次第かな。そいつにかおりん先生が殺されてくれればまだ良しとしよう。殺されずに連れてきたら、そいつに出来ればこっそり協力して、充をどうにかしよう。充のメダルを手に出来れば、たぶん亞璃紗の力も何とかなる。他の二人はオーちゃんだけでも何とかなりそうだしね。


 数日前、レベルトップだった七瀬綾華のレベルが16から一気に26まで上がった事で、中央大陸掲示板では公然と、共同して彼女を倒そうという動きが広まっていた。ただ一部では、彼女が十頭ものレッド・ドラゴンを倒して死体を持ち帰ってきたという噂が広がったものの、さすがにそれは無いだろという否定=好戦派と、それが本当ならもう無理だろという肯定=慎重派とに分裂していた。ただ、彼女のレベルはさらに29に上がっていて、静観していても差が広がる一方ならどの道殺されるのが確定してるだけに、どちらも結局は戦うしかないのはわかっているようだった。

 そこに自分達が乗り込んでいって主導権を握ったら?いや、無理だろう。自分達が東大陸の生徒達を食い散らかした事はもう周知の事実。今度もまた同じ事をすると思われて信用されないだろうしね。実際、機会があればやらないかと言われれば絶対やる。やってから七瀬綾華と対決しようとするだろうな。うん。間違いない。


 しばらくすると嬌声は止んだ。さすがに明日もずっと歩かなきゃいけない事がわかってるから切り上げたようだ。

 美祢と西田から戻ってきて、後から充と亞璃紗も戻ってきた。いちおう男子用と女子用で分けられてるテントに戻ってきたんだけど、お前等、くさい!

 寝たふりをしてたから我慢したけど、殺意が沸いてきて止まらなかった。


 翌日。移動に関しては、木のツタとかで縄をでっちあげて、それで人質二人を縛ってオーちゃんの首にかける事で、移動速度を上げる事が出来た。日中はだいぶ距離を稼げた。体力とかの消耗を避ける為に戦闘も避けた。移動中の魔物との遭遇はオーちゃんに吠えさせればそれだけでたいていの相手は逃げていったし。


 かおりん先生が逃げていった翌日の夜が一番危ないだろうという事で、午後は早めに休憩に入りキャンプを設営。夕食も済ませて仮眠も取ってHPもMPも万全の体勢を、かおりん先生を取り逃した時間帯までに整えた。


「最悪の可能性としては、七瀬綾華を連れてくる事か」

「ドラゴン十頭を一人で狩ってきたって噂、本当なのかな」

「グリフォンとか、その上の個体とかを複数使役してるって話も出てるよな」

「円城高校の生徒間で以上に、現地ではすごい有名人になって、近隣領主の覚えも大変に良いって話だ。その意味でも敵に回すと厄介だな」

「どの神様の加護を得てるかはわからないけど、じゃあスキルは魔物テイムって事?」

「その可能性もあるが、当人の人となりを知ってる誰かが、絵描きの神様じゃないかって推測してた」

「絵描き?それがどうやってドラゴンとか倒せるの?」

「もしかして、描いた対象を実体化出来るとか?」

「何それ!強すぎるじゃん!反則チートだよ!」

「今井、お前が叫びたくなるのも分かる。それを、スキル:複製を使って増やしてるのが、あの異常なレベル上げ速度の正体じゃないかって推測されてる」

「ただ、それがスキルであれ加護スキルであれ、生来の個体でない限り、俺のスキル:敵スキル無効化で対応できる筈だ」

「敵スキル無効化が一回でMP7消費、法の支配が5消費で、充の今の最大MPが100だったっけ?」

「そうだ。敵スキル無効化の射程は15メートル。法の支配もほぼ同じくらいなのを覚えて忘れないでくれ」

「相手のMP次第だけど、向こうは一人、こっちは五人。総MP量なら圧倒してる筈だろ」

「そう単純な計算になるなら良いんだがな・・・」

「魔石か。確かに予備MPタンクに出来るって話あったけど」

「俺達集めて来なかったしな・・・」


 ろくに魔物を倒さなかったのもあるし、魔物の死体を切り刻んで魔石を取り出すというのが生理的に受け付けられなかった。

 今ならオーちゃんにやってもらえるけど、オーちゃんが一緒になってからは雑魚魔物すら倒せていなかった。


「今からでも狩りに行かせる?」

「今更ゴブリンの数体とか倒せたところで焼け石に水にもならないだろ。それよか作戦だ。グリフォンとかに乗って高度を取られたら、こっちには攻め手が無い」

「オーちゃんは少し飛べるっていっても、ほとんど跳躍して滑空できるってレベルだからね・・・」

「相手の顔が見えるくらいの高度なら魅了できるかも。レベル差が20近くあると、たぶん通らない可能性が高いけど」

「まぁダメ元で試してみてくれ。洋介は、相手が出してくる魔物の鑑定をして、ステータスやスキルなんかを読みとって伝えてくれ。加護スキルの賭博は、どう使う?」

「むずかしいな。その状況で、どんな内容に賭けてどんなリターンを伸ばすのが最適なのか、もし不可避なダメージとかが来るなら、それを軽減させる方に使った方が良いだろうな」

「そうだな。そこら辺は臨機応変に任せるけど、場合によっては指示も出すからな」

「分かった」

「今井のオーちゃんが敵を引き付けて、大森が遊撃。俺が機会を選びながら法の支配や敵スキル無効化を使っていく。西田や亞璃紗や今井は、都度状況に応じたサポートを頼む」


 当然と言えば当然の指示なので、誰も反対はしなかった。及川充はそれなりに優秀なのだ。出だしで教師陣も加えた大グループを形成したのも、その大半を食らい尽くしたのも、大成功だったと言える。ただ、一番貴重な魚を食い逃してしまったのは、余裕ぶり過ぎていたせいだけど、そこまで責めるつもりは生徒会の誰にも無かった。自分たちもその判断を支持していたのだから。


 それからじりじりと時間が過ぎていった。時々、充と亞璃紗、西田と美祢が、ひそひそと会話するくらいで、夜になって、かおりん先生を逃がしたくらいの時間になった、そのほとんど直後。


「来たな」

「メダルの反応は、二つ?片方のはいくつか持ってそうね」

「全体マップだと、わからんな。これ使い物になるのか?」

「油断するな。おそらく空から来るぞ!」


 こちらはたき火以外にも、いくつか篝火を用意していた。誰もスキル:夜目か、暗闇でも見通せるような加護を持っていなかったから。相手の目印になってしまうとしても、それは仕方あるまい。


「どんどん近づいてきてるな。速い!」

「グリフォンか何かに乗ってるんだろう。この速度だと、一時間もかからないくらいか」

「今井、そいつ梟熊ってくらいなら夜目は効く筈だ。上空を警戒させとけ」

「もうさせてるよ」


 メダルの反応としては、かおりん先生の一個と、もう片方が、数個分の塊って感じだけど、たぶん自分達よりも数は少ない。だけど、強者から感じるプレッシャーみたいなのがだんだんと接近してきてるのを誰もが感じ取って口数が少なくなった。

 やがて、その存在が自分達の頭上何百メートルとかで止まった。そこで滞空してるのはメダルの反応としてはわかるけど、ほとんど点にしか見えない。


「先に言っておくけど、オーちゃんにあそこまで飛ばせるの無理だからね」

「魅了スキルも、完全に射程外って反応よ」

「わかった。・・・って、何か、落ちてくる?」

「一つなら、充のスキルで、って増えやがった!」

「二個、四個、八個、十って、よけろー!」


 私もオーちゃんに担いでもらって何とかよけた。

 落ちてきた何かは、真っ赤に溶ける溶岩みたいな?何かで、地表でべっちゃりと飛び散った溶岩は、ずるずると地面で寄せ集まって人の体に、いや溶岩の巨人の体になった。


「マグマ・ゴーレム!ランクは、4!七瀬綾華のスキルで複製された物だ!」

「もう3つ消したけど、これ全部消すとMPがやばくなる。今井、梟熊で何とかならないか?!」

「やらせてみる、けど・・・」


 試しに風の刃を打たせてみた。腕を切り落とせたけど、地面に落ちたそれはすぐに足下から吸収されて、腕が再生?されてしまった。


「こいつ、やばいよ!傷ついてもすぐ再生しちゃうぽい!」


 それに、高熱を放ってるので、支配下に置いてるオーちゃんが近寄りたがらなかった。わかる。私でもマグマに飛び込めって言われたら全力で拒否するもの。


「それに、こいつらたぶんマグマそのものぽいから熱すぎてオーちゃんも近寄りたがらない!」

「こいつを殴れってのはさすがに無理だぞミツル!私も剣で切りつけてみたけど、意味無さそうだ!」

「くそ、亞璃紗はどうだ?何体か魅了できればそれだけでしのげるかも」

「やってみる・・・!できた、できたわ!とりあえず3体魅了出来たからそれを他のに、って、どうして?!魅了したのは消されたわ!」

コントローラー操縦者より、オーナー保有者のが権限が上なんだろうね。でもこれでさらに厄介になった。向こうはたぶん複製し放題・・・」

「見て、上!」


 さっきのと同じくらいのが十個と、さらに大きい何かが七個ずつ、さらに落ちて来ていた。


「でかい方のは、ジガド・マグマ・ゴーレムの複製。さっきのよりランクは一個上だ。法則を何か一つはいじるしかないぞ、ミツル!」

「じゃあ、お前はマグマは急速に冷えて熱を失っていく方にでも賭けとけ!」

「・・・分かった!」


 最初の落ちてきた複製マグマ・ゴーレムは残り4体で間近に迫ってきていた。その背後からはさらに大きなのが七体と同じ大きさのが十体迫ってきていた。


「この俺の周囲では、マグマは急速に冷えてその熱を失っていく!」


 充が叫ぶと、間近に迫ってきていたマグマ・ゴーレムの動きが急速にぎこちなくなり、放たれている温度がどんどん下がっていった。


「これなら!オーちゃん、砕いていって!」

「クルォォォッ!」


 オーちゃんが次々にマグマ・ゴーレムを砕いて三体を倒すと、美祢ももう一体の胴体に深い切れ込みを入れて砕いた。


「よしっ、これなら!」

 と彼女が言った瞬間。どこからか飛んできていた風の刃で彼女の両足が断たれて、美祢は地面に倒れ込んだ。


「グリフォンだ!こいつらもランク4!風の刃と鎧を使うが、今はとにかく動き回るか、伏せるしか!」


 大きなマグマ・ゴーレムと対峙してたオーちゃんが集中砲火(風?)を浴びて、細切れになって地面の染みとなってしまった。


「どうするんだ充!もう前衛が」

「わかってる!お前がどうにか支えてろ!」

「お、俺が?」

「他にいないだろ!」

「亞璃紗が魅了すれば」

「やったけど、魅了したのはすぐにまた消されちゃうのよ!」

「それで相殺と考えるしかないかって!グリフォン達をどうにか出来ないと、このまま終わるぞ!」

「手出し出来ないところに敵が、っていつの間に背後の方に降りてきてるぞ!急げ!」

「でも美祢は?」

「もう無理だ!見捨てろ!」


 もう駆けだしていた充が離れていった事で、マグマを急速に冷えさせる効果は無くなり、自分の足を切り口にくっつけてヒールでつなげようとしていた美祢は、大きなマグマ・ゴーレムの足に踏まれて地面と混じり合ってしまった。


 この場で彼女のメダルを回収しておきたかったので、あの魔物をテイムしようとして、何度目かで成功した!

 目前に迫っていた他のマグマ・ゴーレム達の邪魔をさせ、その間にメダルは拾えた!やった!

 すぐにテイムしたゴーレムは消されてしまったけれど、私は充達の後を追った。そしてそう遠くないところで追いついてしまった。彼らの目前からは、十体以上のでっかい燃えるサンショウウオみたいのが迫ってきていた。大きさはワニの五倍ってそれもう恐竜サイズだし、口の中の牙の列が凶悪過ぎる。

「やっと来たか、今井!あいつらを出来るだけテイムしてくれ!」

「やるけど、全部は無理だからね!」

「わかってる!」


 幸い、巨大赤サンショウウオ、というかサラマンダーだった、の動きはそんなに早くもなく、西田が「俺はサラマンダーの攻撃を避ける!俺はサラマンダーの攻撃を避ける!」と連呼しながら短剣で攻撃するふりをしながら連中の気を引いていた。短剣じゃろくなダメージは通りそうになかったけど、あれはたぶん賭博で、成功する度に自分の回避率を上げているのだろう。


 亞璃紗もそんな西田の脇を抜けてきた個体を魅了して、他の個体に噛みつかせたりしていた。その度に魅了した個体は消されてしまっても、トータルとして向こうの数は減っている。自分も、回り込んでこようとしてきている個体を狙ってテイムして、とかやってたら、「サラマンダーの攻撃を避ける!」と連呼してた西田の体が上下に分断されてしまった。グリフォンの風の刃に狙われたのだろう。悲しみは起きなかったけど、これでまた勝率は下がった。あのメダルを拾うのは後回しでいい。


 ふと頭上が気になって見上げると、グリフォンよりずっと大きいグリフォンが二体、現れていた。

「充、なんかヤバいの出てきてるよ!」

「分かってる!もっと近くに寄れ!この近くの重力操作をして、何とか凌ぐ!」


 周囲を魔物達に囲まれ、頭上から迫るグリフォン以上の何かは、こちらから十分な距離を取ったところから、嵐、いや竜巻といった方がわかりやすいか、を発生させた。

「充、あれはヤバイ!」

「分かってる!敵スキル無効!からの!」


 充が竜巻の片方を打ち消した。もう片方、私の方に近いのは?と思ったら


「俺の周囲1メートルは風の影響を受けない!」


 あは、そうだよね。範囲指定が狭いほど、強制力とか成功率は高まるもんね。そう思った時には、私の体はばらばらにされて空へと吹き上げられていった。

 上空には、巨大な深紅のドラゴンがいて、地表に向かって高熱の球を炸裂させた。そこにいた筈の充と亞璃紗の反応が消えた。メダルだけになったのだろう。


 私は、ざまぁ、と心の中で快哉を叫びながら、意識を手放した。



ーーー

(及川充視点)


 今井は見捨てざるを得なかった。竜巻を一個消してもすぐにもう一個打ち出してきたのを見て、もう打ち消しあうのは無理だと諦め、法則支配に賭けた。


「俺の周囲1メートルは風の影響を受けない!」


 亞璃紗は俺の体に抱きついてたから、前後から嵐に挟まれても地面を含めて影響を受けないで済んだ。が、


「充、上!」


 巨大な赤いドラゴンが浮かんでた。またこちらのスキルが届かない上空から、炎か何かを吐こうとしていた。

 俺はとっさに、敵スキル無効化のスキルレベルに回していたメダル2枚を、加護スキルの方に回してレベルを5にして、複数の対象に法の支配を及ぼせるようにした。


「俺の周囲1メートルは風と炎の影響を受けない!」


 間に合った、筈だった。筈、だっただけで、相手のランクの方が明白に上だった為か、ドラゴンが生じた熱と光の球に俺と亞璃紗は飲み込まれた。身体が消滅していく感触を味わっていると、消滅までの刹那の間に、亞璃紗が俺を魅了してきた。


「これであなたは永遠に私のもの」


 唇を重ねられたまま、俺は亞璃紗と溶け合いながら消滅した。


ーーー

(橘亞璃紗視点)


 嵐に挟まれた時点、いやそのずっと前からもう、相手の方がずっと格上で、私達はもうなぶられて殺されるだけの存在だという事が判明してしまった。

 私は少し前に愛の神のアドバイスに従って、信頼の神のメダルを有効化して、その加護スキル:信頼を使ってみた。そして信頼は裏切られた。彼はこの戦いに最後まで生き残ったとしても、私を生き返らせる事はせず、元の世界に戻る事を願っていると分かってしまった。

 だからもう、私にとってこの戦いデスゲームは意味が無くなってしまっていた。

 そして七瀬綾華が私達に死をもたらし始めた時、私は愛の神に質問した。


――あの人の心を、死んだ後まで、私に固定する事は可能?


<可能よ。あなたがその魂の全てを賭けて願うのであれば>


 スキル:魅了を加護スキル:固定化でブーストして、熱と光で充と溶け合いながら彼の魂を私に固定化した。

 最後の最後の瞬間にまで彼の唇と心を味わいながらけた私は、きっと幸せ者だと思う。来世でもきっと、彼と出会って愛し合える事が約束されているのだから。

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