第4話

10歳のスキルを賜る日にミリとミリの父親はダンダン伯爵家に呼ばれた。エリザと一緒に司祭から祝福を受けるようにと強制されたのだ。寄親からの指示にミズーリ子爵家は逆らえなかった。


ダンダン伯爵領の司祭がやって来て祝福の儀が行われた。先にエリザが受ける。司祭の前でエリザが傅き、祈りを司祭が捧げるとエリザが輝いた。

「『共感』を授かったわ!」


『共感』のスキルは自分の気持ちに賛同して貰える、共感を与える力だ。ダンダン伯爵も伯爵夫人も喜んでいる。

次にミリが司祭の前に傅いた。

司祭が祈りを捧げるとミリの中に光が満ちた。満ちた光が心に集まって何かになった。なんだろうと思うと答えが帰ってきた。

『影』そう、それは応えた。

心配そうにミリの父親が聞いてきた。

ミリは素直にそのまま答えた。

「『影』らしいです。」

「影?」

「「「影?」」」


ミリの父親だけでなくみんなが聞き返す。ミリにも分からないがそうスキルが言っていた。

突然、エリザが笑い出した。一緒にダンダン伯爵と夫人も笑い出した。困惑していたのはミリとミリの父親だ。


「コホン、スキル『影』はULTRAレアですよ。」

司祭は教えてくれた。このスキルは100万人に一人という希少なスキルなのだそうだ。『共感』のスキルはcommonスキルでありふれているとも告げて、帰って行った。


不機嫌になったダンダン伯爵家の人達に追い立てられ、自領に帰ったミリとミリの父親はまだ困惑していた。

スキル『影』の価値が分からなかったからだ。

スキルの使い方も知らずにミリは王都のデビュッタントを迎えたのだ。


王都の王城には10歳になり、スキルを授受された貴族が集められ、王家主催のパーティが行われる。集められる10歳になった貴族は無料で美味しい料理を味わえる。無論、子供だけでなくその親族も集まる。言わば貴族の子供自慢が始まる訳だ。そして、有望なスキルを持つ者の婚約者探しが行われるのだ。

ミリの兄ロベルトみたいにいち早く有望なスキルを得た者を青田買いする貴族も居る。ただ、ミリは知らなかったがミリの兄ロベルトの場合は裏があった。







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