第0.7話 繋がれし三つの世界 その1
異世界に関わる教科のオリエンテーション、場所は第三体育館。
僕達中学生は二人の先生からある映像を見せられた。
その映像には、かつてこの世界と異世界が接触し同盟を組んだ歴史と、第三の世界が誕生した歴史が記されている。
僕達は照明が消えた体育館で、ステージに挙げられた大きなスクリーンを見上げた。
先生が合図を出して、スクリーンに映像が写り出した。
映写機が動く音と共に、映像が始まった。
最初にスクリーンに写ったのは現代より前の世界、かつての地球だった。
ナレーションが語り始めた。
「かつて、世界はこの世に一つしか無いと言い伝えられていた。
地球に住んでいたこの世界の人類は他の
しかし今からおよそ100年以上前、この世界の人類に転機が訪れた。
この世界の人類は太陽系とは別の時空に存在する世界..."異世界"を見つけたのだ。」
映像にはどこかの研究室で、白衣の人達がモニターにこの世界とは違って見える世界を見てる様子が写っている。
「最初は異世界の存在をモニターで観るだけだったが、未知なる世界に期待を燃やした人類は異世界に足を踏み入れるために実験を始めた。
そして数年後、多くの実験をえてついに人類はこの世界と異世界をつなぐ空間の穴を開く事に成功した。
この世界のトップの人類は十分な数の自衛隊を率いて空間の穴の向こう、未知なる世界に踏み出した。」
世界のトップと思われる人が自衛隊を率いて、
この世界に開かれた空間の穴に入って行った。
画面が白くなりスクリーンに写ったのは、この世界の建造物が見当たらない、別の世界だった。
「空間の穴の向こう側に広がっていたのは、科学の建物が無く広い緑の自然がおりなす大地だった。
そして未知なる大地で人待っていたのは異世界に住まう住民達だった。
異世界の住民は人類はもちろん、耳の長い種族や動物の部位を生やした種族、人類とは違う様々な種族が異世界で暮らしていた。
異世界の住民は開かれた
そして人類と異世界の住民が接触し、争いが起ころうとした。
しかし我々の世界のトップに立つ者が人類の前に出て、異世界の住民に語りかけた。
『異世界の住民の皆さん、我々はあなた方と争いをしに来たのではありません、あなた方の世界と交流を刻むために参りました。
我々の世界では国同士の争いは好みません。
どうか敵意をおさめ、我々の言葉に耳をかたむけて下さい』
我々のトップの言葉を聞き、異世界のトップが現れ住民の敵意を沈めた。
そして異世界のトップは我々のトップと対面した。
『私達も、あなた方の世界との争いは望みません。
私達異世界の住民は、あなた方の世界にこの手で触れるのを心待ちにしていました。
もしよければ同じ席につき、互いの世界について語らせて欲しい』
異世界のトップは我々の世界を快く受け入れた。
そして空間の穴の前で二つの世界のトップが固い握手をかわした。
こうして我々の世界と異世界の間につながりが生まれた。
それから数年後、我々の世界に異世界のある国の組織が訪れた。
我々の世界のトップは国民を一ヵ所に集め、初めての『世界集会』が開かれた。
その場にいない人々もテレビや様々なネットワークを通じて世界中でその様子を見ていた。
我々の世界のトップは、この世界の歴史を変える一大発表をすると告げる。
そしてこの世界の人類の前に、異世界の民が姿を現した。
『この世界の人類の皆さん、我々はこの世界とは別の宇宙からやって来た異世界の民です。
この世には、地球の上にたてられたこの世界とは別の時空に異なる地球、異なる文明、異なる種族、異なる世界が存在するのです。
それが我々が住まう世界、あなた方にとっての異世界、その名を、[
まさに、歴史を変える発表だった。
当時の人類にとって、どれほどの衝撃だったのだろう。
その発表のあまりの非常識さに、聞いていたほとんどの人類は事実を信じる事が出来ず、ある者は笑い飛ばした。
しかし二つの世界のトップは、この世界の反応を予測していた。
『この世に異世界が存在する証拠をお見せいたしましょう』
その合図でその場に設置された装置が動きだし、数年前我々の世界と異世界
穴の向こうには数年前と同じ我々の世界とは空気が違う異世界の景色が写っていた。
『これがあなた方の世界と私達の異世界を繋ぐ空間の穴です。
私達はこの空間の穴を、[
しかしテレビやインターネットで発表を聞いていた人類達は、空間の穴の存在を国のトリックだと疑い、まだ異世界の存在を確信出来なかった。
『我々がお見せする証拠はこれだけではありません。我々の世界のさらなる技術をお見せしましょう!』
その合図がインターネットを通して世界に届き、世界中の、装置が付けられた各地の名所に、発表の場と同じ異世界に繋がる空間の穴が開かれた。
そう、最初に我々の世界に空間の穴が開いてから世界集会の発表の間の数年間で、世界各地に最初の穴と同じ空間の穴を開く技術を広げていたのだ。
アメリカ、中国、ドイツ、世界中で異世界に繋がる空間の穴
そしてたどり着いた場所で人類は、テレビやインターネットで見ていた空間の穴が目の前に開かれた事実を脳裏に焼き付けた。
これによって我々の世界のほとんどの人類が、異世界の存在がこの世に実在する現実を、その目に焼き付ける事となった。
『これからこの発表を聞き、我々が判断した[選ばれし人類]の皆さんに、私達が住む異世界
その発表に、異世界の存在を知ったばかりの人類は歓喜した。
かつて誰もが夢見て、現実には無いと伝えられた異世界の地に立つ事が出来ると、人類は未知なる世界に期待を膨らませた。
そして迎えた出発の日、トップ達によって選ばれた世界各国の代表者達が、世界各地の
『それでは選ばれし人類の皆さん、私達が住む異世界、
各地で選ばれなかった人類が見守る中、選ばれし人類は、まだ知らない未知の世界に飛び込んだ。」
再びスクリーンが白くなり、僕達が知らない世界、
先ほどのシーンとは違い、異世界に漂う不思議な空気、僕達が知る町並みとは違う景色をじっくりと観客に見せた。
「トップ達と選ばれし人類は異世界
『改めて皆さん、私達の世界
まずは皆さんをこの大陸の王国、[スタトニア王国]にご案内しましょう。』」
大陸、スタトニア王国、そして
気になる要素をちらつかせながら映像が進んでゆく。
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