第3話

電車の中は駅と同じ。

神様、退屈だろうな。

僕はカメラロールに一枚だけ

保存された君の写真を見ている。

君が窓辺で外を眺めてる。

目を細め、泣きそうな表情で

何故この写真を残したのか?

二人で行った海での水着姿とか

もっと赤裸々な写真もあったのに。

僕はそれを眺め、同じように目を細める。

この行動の意味、そこにある結末、

何が僕をここまで突き動かしているのか?

とにかく君に会いたいと

そんな衝動、そんな空腹。

僕は自分の意志でこの電車に乗った。

昨日と違う僕のこの行動は

きっと神様も気づいていないだろう。

車内はずっと同じような雰囲気。

でも今日だけは誰もが僕のように

誰かを想って何処かへ

いつもとは違う場所へ

向かっているのかもしれない。

電車は人を飲み、吐き出しながら

僕を目指す駅に届けてくれた。

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