第7話 秘密基地
転生物あるある言いたいシリーズ その2
小さいうちから主人公の周りに人材多すぎ! 妹とか幼馴染とか領主の娘だとか、お姫さまだとか…だいたい女性が多いような…分かるけれども。主人公が幼い頃からヒロイン候補をあてがい過ぎると大きくなるに、大きくなるにつれて物語の展開上もっと増えて行くパターンしか見えない。そしてハーレムへ…みたいな。
ドラクエのそして伝説へ…みたいな言い方!
ぶっちゃけ読者受けが良いから色々な女性の属性を主人公にあてがうと思うのだが…個人的な体感では“妹属性強し!” それだけ世の中にお兄ちゃんになりたい属性がはびこっている証拠だと思う。もちろんあくまでも個人の感想です。
だけどおかしいんだ…僕の転生したこの村にはいないんだ…。妹も姉も幼馴染も…もちろん村には女の子もいっぱいいるよ。僕と同年代の幼女たちもいっぱい。会話したり遊んだりもするけど…そこまで親密度は高くはなっていないみたいだ…。
というわけでついでに僕の1日を大まかに紹介しよう。朝起きてから、畑の手伝いをしてご飯を食べて小休憩。そして畑以外の手伝いをして陽が傾いてきたら帰宅してご飯を食べて就寝という流れだ。
もちろん1日中ずっと仕事があるときもあるし、仕事がない時もあるので、そういう時なんかは遊びに行ったり自由にできる。
ちなみに家っていっても共同の長屋みたいな建物とか、親しい村人の家に勝手に泊まっている。結構その辺は大らか?なのか子供は村人みんなで育てるっていう感じなのだ。
前世で僕は人間関係が希薄だったのもあって、血の繋がらない子供達も大勢の村人達で暖かく見守りながら育ててくれるこの村がとても気に入ってる。もちろん生活環境なんかは極悪なんだけどね。
昼間の自由時間や夜のご飯を食べた後を“命素”の訓練に費やして、インブジブルハンドが使いこなせるようになってから森に入るようになった。
もちろん森と言っても浅い地域だけだ。森の奥深くに行くほど魔素が濃くなり、強い魔物が出るらしい。魔物であるリフランは奥に行かなければ大丈夫との事。いくらインブジブルハンドが使いこなせるようになったとはいえ、僕はまだ7歳なのででそんな危険を冒してまで森の奥には行かない。
森に入っていつもの場所を目指す。僕の秘密基地だ。秘密基地と言っても大きな木の根っこと地面の間に丁度良い6畳くらいの空間がある簡素な物なのだが…
「ここをキャンプ地とする。」
毎回そう宣言して、さっそく近くの川で身を清める。2〜3日に1回はこの川で体を清めているのだ。むしろ清めるために来ていると言っても過言ではないだろう。
関係ないがある転生物でまぁまぁ栄えている国にお風呂がない設定の物があったのだが…貴族もお風呂を知らないという設定で、自分がお風呂を作ってものすんごい画期的な発明でちやほやされるという話だった…地球でも3世紀の古代ローマ時代でさえもあったのだから中世ヨーロッパ設定でそれは無理があるのでは…お風呂に入る習慣はなくとも、シャワーというか体をきれいにするぐらいは有るのでわ。一番身近な衛生面がどうして一番ないがしろにされている設定なのだと細い目で見ていた。
川で身綺麗にした後は生活魔法で火をおこして、体を乾かしてから動物を狩りにいく。武器は木を削って作ったショートソードと短剣だ。短剣は森に落ちていたボロボロのを拾って、砥石で研いで取手の部分に布切れを巻いたお粗末なものだ。ちょっと使いにはこれぐらいで十分なのだ。
森の浅瀬にはそんな大した動物なんかはいない。この辺りだとウサギやキジ、ヤマドリかな。もうちょっと奥に行くと猪や鹿などのご馳走が狩れるのだが…さすがに大人が2、3人で狩れるような動物を僕一人で狩るのは…まぁ狩れますけど。
何かやっちゃいましたか?
的なテンプレが嫌なので秘密基地でさばいてこっそり保存食として備蓄している。やっぱり1日2食だとお腹が空くからね。それにお肉はなかなか贅沢品なのだ。普段の食事は麦が主食でおかずはあまりないかな。野菜だったり、野菜だったり。
だから自分で獲ったお肉をこれ見よがしに見せびらかしたりはしない。心優しい村人達に黙って自分だけこんな贅沢…などちょっと心苦しいのだが、僕が一人で獲れることがバレたら能力などを説明するのが面倒くさいし…いや、本当はもしこの能力が異端とみられてみんなから白い目で見られるのが堪えられないからかもしれない。あと、迫害されて村から追い出されることが怖いのだ。小心者なのだ。
水溜りのような水場にムクドリがいた。僕はそっと音を立てずに射程距離まで近づく。“命素”を体内で練り上げ1cmぐらいに圧縮する。そして手を拳銃の形に構える。別に構えは何でもいいのだが、人差し指だけではなんかしっくりこないので、試行錯誤した結果人差し指と親指を立てる拳銃のポーズが一番やりやすい。
人差し指をムクドリの頭に照準を合わせて発射する。
「バーン」
獲物に近づくためにそっと近づいたのに声を出すという愚行。しかしそんな心配は無用だ。声に出したのは雰囲気というか気合いというか、“命素”を発射する気分のようなものなので、バーーーーの時点でムクドリの頭は撃ち抜かれている。
“命素”は無色透明なので撃ち抜かれたムクドリの体内には何も残っていない。完全犯罪なのだ。例え僕が人を殺したとしても誰にも気付かれまい…くくくくくっ。
いや、やらんけどね。
ムクドリはそんなに大きくなかったので、羽をむしったり、内臓を出したりした後に火にくべて丸焼きにして美味しくいただきました。
月の位置で多分PM10時くらいか。もちろんこの世界に時計はないのだが、僕は前世の時間感覚を参考にしている。そのほうが分かりやすいからだ。
よし、じゃあ帰るとするか。火の後始末や秘密基地を見えにくいようにカモフラジューして急いで村に帰る。もうみんな寝ていると思うので、そっと家の中に入り寝ている他の子供を起こさずにしれっと混ざって寝た。
7歳とはいえまだ子供の体だ、すん!って寝た…すん!って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます