第17話 DVをする男の特徴
「いや、無理無理無理無理」
「いや、だって、日南さんは美人だし、しっかりしてるし、飯島君とのカップルなら、お似合いな気がするんだけど」
「無理ですよ、そんな。あんな気のきつい人、僕には、無理に決まってるじゃないですか。どんどんやせちゃいますよ。ストレスたまっちゃって、逆に、もっと大変な目にあいます」
飯島の否定の仕方は、尋常じゃなかった。飯島にとって、仕事のストレスは、上司の日南にしごかれることからきているのだろう。
(憎しみが、愛情に変わることは無いのかしら)
そんなことを考えつつも、結局、芽衣は、日南を推すことを諦めた。
「あら、それは飯島くんが、やさしすぎるからかな。例えば、田宮さんくらいなら、日南さんとお似合いかな。田宮さん、妻子持ちだけど」
芽衣は、方針転換して、田宮と日南の関係を崩すヒントを探ることにした。
「田宮さんでも無理でしょ。僕より、やさしいですもん、あの方」
「そう? でも、恋愛のこととなると、ヒトが変わるかもよ、田宮さん」
「ああいうタイプの人は、そんなふうにはなりませんよ。DVっぽいことやってるやつ、まわりでも何人か知ってますけど、あんな根っからの明るい人はいません。絶対、違いますよ」
「そうかなあ」
「そりゃ、そうですよ。DVやるヤツの特徴、知ってます? ヤツら、元々、暴力的な性格を内面に持ってて、普段は、それを抑え込んでるんです。だから、普段は極端に優しそうに見えるヤツもいますけど、表情や目を見れば、わかります。DVするようなヤツは、いつも冷たい目をしてますから」
「田宮さんには、あてはまらないってこと?」
「田宮さん、めっちゃ、やさしいけど、あれは、心の底からにじみ出てますよ。笑ってる時の目を見て、冷たいな、とか、思ったことありませんよね? だから、絶対、ありえないですよ」
飯島の見解に矛盾するところは無かった。むしろ、納得させられた。
となると、田宮がタカアシガニのように日南を拘束するような不倫関係は、そもそもあり得ないような気もしてくる。
謎は、謎のまま。けれど、現場を見たのも事実で、芽衣の中にある二人への不信感は、そのまま残った。
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