第8話 ソースカツ丼
帰りの車の中、僕も母さんも一言も話さなかった
僕は心の中で今日も父さんとの儀式があるのかな?
今日は耐えられないかもしれない
家に着かなければ良いのにと考えていた
結局15分もしないで家に着いてしまった
恐る恐る玄関を開けるとちょうど父さんが出掛ける所だった
「空、悪い。これから出掛けなくちゃ行けなくて今日は練習に付き合えないんだ。それと父さん凄く疲れていて明日も無理かもしれない。ごめんな。」
そう言って出掛けてしまった
僕は心の底からホッとした
また『才能無いから辞めろ』って言われたら『うん。』って言っていたかもしれない
実際僕は今日の事でサッカーを辞めたいと少し思っていた
母さんが作ってくれた晩御飯はソースカツ丼だった
僕の大好物で元気付けようとしてくれたのかな?
「ソースカツ丼食べて次のショーブカツドン。」
母さんがギャグを言ってきた
くだらないと思ったのだが思わず
「ぷっ。」っと笑ってしまった
「試合の後からずっと元気が無かったから笑ってくれて良かった。いつぶりかね?1試合全部出たの?凄く頑張って走ってたね?こんなに走れるんだ?って本当に驚いたよ。」
母さんは嬉しそうに言ったが僕は素直に喜べなかった
「村上コーチが母さんに『空がスペースに走るからそれが囮になってタクミもセイギも簡単にシュートを決められた。本当に良い仕事をしてくれた。』って凄く褒めてくれたよ。母さんも嬉しかったな。」
「村上コーチが?僕にも凄く良かったって言ってくれた。」
僕は思い出して言った
「誰の事か分からないけどダイスケ君も『絶対アイツより空のが上手いよ。』って言ってたよ。」
「えっ?ダイスケが?」
同じ6年生だけどサッカーが凄く上手くて人望も厚くみんなに信頼されているダイスケの事を凄く尊敬していたのでこれは嬉しすぎた
「空の事を認めてくれる人が増えて母さんも嬉しいよ。これからも頑張ろうね。」
「うん。」
僕は笑顔で答えた
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