第7話 僕のあだ名

2試合分空いて僕達の3試合目がもうすぐ始まる

試合前のアップが始まった


「おっ来たか。待ってたぞ。」

佐々木コーチが言った


見ると4年生の松島空がいた

8人ピッタリになってしまったので佐々木コーチが呼んだそうだ

弟のカイがいつも4年生の試合にも出ていて空と仲が良く何度もうちに遊びに来ているので僕とも仲良しだ


佐々木コーチがポジションを発表しだした


「トップは空。」


今度こそシュートを決めてやる

僕は力強く返事をして立ち上がった


「あっ悪い悪い。松島の空。青井は、青空はベンチ。」


「青空ベンチだって。ちょー爽やかじゃん。」


ユウキが笑って言った

つられてみんなも笑った

恥ずかしいのもあり僕も笑った

その後凄く苦しくなった

4年生を呼んでまで僕がベンチに座る意味が本当に分からなかった


ただただ悲しくて苦しかった


「ふざけてないで早くしろ。」

僕は村上コーチが怒鳴ったのを初めて見た


「笑うな。レギュラーを奪ってやる位の気持ちを持て。」

僕にも怖い顔で言ってきた


「僕みんなとサッカーしたいだけなんでレギュラー奪うとかよく分からないけどこれからも頑張ります。」

ちょっとビビりながら言った


村上コーチはハッとした顔をして

「ごめん。俺ちょっと変だったね。さっきの試合、本当に良かったぞ。」

そう言って僕の頭を撫でた


いつもの村上コーチに戻った



その後の事はよく覚えてない

試合も勝ったのか負けたのかも分からない

ただただ悲しくて悔しくて苦しかった

そしてこの日から

僕のあだ名は『青空』になった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る