第5話 天国から地獄

日曜日、今日も地区の大会だ

今日こそはと気合いを入れて来た


結果、1試合目1対1でPKで勝ち2試合目は2対1で勝った

3試合目の前半が終わり4対0で勝っているので佐々木コーチは機嫌が良いのだが僕もトモキもずっとベンチだった


今日はエースのケースケが絶好調で得点の全てをケースケが決めている

エースのケースケとキーパーのダイスケは県の選抜に選ばれている程の実力だ

後半が始まり暫くすると


「トモキと空、準備しろ。出るぞ。」

佐々木コーチが言ってきた


僕は久しぶりの試合で凄く喜んだがトモキは不安そうな顔をしている

僕はトモキの背中を叩いて


「頑張ろう。」

と言ったが本当は僕も緊張していた


フィールドに入り一生懸命ボールに向かって走った

近くにボールが来たので思い切り蹴った

ボールはフィールドの外に出てクリア成功だ


ピッピッピー


試合終了のホイッスルがなった

どれ位の時間だったんだろう?

上手に出来たかな?

僕は心臓がバクバクしていた


早く父さんに知らせたい

喜んでくれるかな?

僕はウキウキしながら帰った



家に着くと僕はただいまも言わずに


「父さん、今日は試合に出れたよ。」

と喜んで言った


「本当か?やったな!」

父さんも凄く嬉しそうだ


父さんが母さんにどうだった?と聞いた


「試合終了前の1分ちょっと出ただけだからよく分からないけど空が嬉しそうだから良かったんじゃない?」


それを聞いた父さんは呆れた顔で


「1分で喜んでる様じゃやってる意味が無い。才能無いからやめろ。」


1番喜んでくれると思った父さんに言われた事で頭が真っ白になった


「辞めない。」


小さな声で言ったので聞こえなかったみたいで続けて


「どーするんだ?練習行くのか?」


僕は小さく頷いてグラウンドに行ったがやる気が出なくて怒られてばかりだった



天国から地獄に落ちた日だった

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