第134話 シエンナ姫の結婚式

 なんだかんだと時が流れて、シエンナ様の結婚式の当日が来た。

 うららかな春の日で有る。

 喜ばしい日が天気の良い日で良かったですね。


 朝から式に呼ばれているお父様とお母様を転移陣前までお見送り。


 ライリーからの結婚祝いは、何と馬車にはめ込めるスプリングの座面。

 シエンナ様は公爵家に嫁がれるし、家紋付き馬車をこちらで勝手に作れないので、座面のみである。

 カバーとか好きにカスタマイズして欲しい。


 女神風デザインのラピスラズリのドレス姿のお母様は、やはり女神のように美しい。

 お父様も正装がめちゃくちゃかっこいい。


 出発前に宝珠でお二人の麗しい姿を記録してから、宝珠を返す。

 素敵な結婚式の記録をお願いします。

 私はまだ社交界デビュー前の未成年なので、弟とお留守番。


 石鹸、シャンプー、リンスの販売してるライリーの商社の名前を「シャッツ」と名付けている。

 新たに化粧品開発部門を作ろうかな。

 作業員だけじゃなくて研究員が欲しい。求人を出してみようか。

 日焼け止めに使える植物も見つけたし。


 留守番をしていると、王城から使者が来た。

 何事かと驚いたけど、第二王子から、ケーキで命を救ったお礼は直接言われてたけど、贈り物が後から来たのだ。


 私の顔を見て宝石の種類などを決めようと思ったらしいけど、弟君のギルバート殿下と贈り物が被ると気まずいらしいので、長方形の板の形状の特殊加工水晶を2つ下さった。


 錬金術師が作った物らしい。

 スマホみたいな形をしてる。

 なんと記録の宝珠と同じ使い方ができるらしい。


 やった、自分用記録の宝珠ゲットした!

 お母様にいちいち借りずに済む!


 しかも白いスクリーンいらず、そのまま、板状の水晶に記録した映像が映る。


 ……ゲーム機の代わりに出来そうじゃない……?

 これって更に改造したら乙女ゲーム作れたりしない?

 映像にシナリオと音楽を付ければ……。


 紙芝居ゲームみたいな単純なやつ、簡単な選択肢付きくらいなら分岐出来るやつで出来るかな。

 ──流石第二王子様、珍しい上に貴重な物を二つも下さった。


 画像とシナリオを融合。セリフ、行動選択、ルート分岐をさせる命令を組み込む……。

 ……メアトン工房の天才錬金術師に相談してみようかな。

 お手紙を書いてみよう。

 でも、その前にやる事がある。



 * *


 親のいない間に、水着を縫う。


 撥水加工の生地は、以前王都で群青と紫と白と緑色のを買っていた。


 お父様のは群青の生地で、もちろんブーメランのビキニタイプではなく、男性用は短パン型。

 お母様は紫の生地でビキニにパレオ付きで優雅に。

 ダイエットに良いですって言えば着てくれるのではないかと思ってる。

 水の中で歩くダイエット方法が有るし。


 それに最初に着るのはライリーのプライベートプール内だし、あまり見る人いないし。


 私のは白い生地で上下分かれてるビキニだけど、可愛いフリル付き。


 ギルバート殿下用に緑色の生地で短パン型。

 ほら、夏に本人の誕生日にライリーに来るから、一緒にプール遊び出来るようにね。


 王族を巻き込んで、新たな流行って事にしちゃうのよ。

 夏に凉を求めて水着で泳ぐのはスタンダード! 基準、標準、定番! って事にしちゃおう作戦。


 水着を渡してみて、着れない、無理って言われたらその時はその時よ。


 でもローウェがあっさり水着着て川に入ってくれたから、イケるのではないかと私は思ってる。

 ローウェとお父様のが同じ群青色なので、お父様のには、模様を刺繍で入れてある。

 端っこに、ヤシの葉みたいな柄。

 男性用水着にヤシの葉みたいなデザイン多かった気がするし。



 お昼はライリー城の留守番組も、春の花盛りの庭園にてシエンナ姫の結婚を祝う。

 祝い事なのでピザと焼肉を食べた。


 城主夫妻がいないので、小規模パーティーだけど、パーティーにはやっぱりピザや焼肉だよね。

 使用人達も食べ物や飲み物の準備が終われば参加出来るプチパーティーである。

 無礼講です。

 

 焼肉用には醤油や果物や香辛料を使った美味しい特製のタレを作ってるから、ちゃんと美味しいのよ。

 ちなみに焼肉のお肉は牛肉。


 野菜は城内菜園で作ってる間引いたベビーリーフのサラダが有る。


 庭園にバーベキューセットを配置して肉を焼いて食べる。

 リナルドは果物を食べる。



 「シエンナ王女殿下のご結婚を祝して! 乾杯!」


 「「乾杯!」」



 乾杯はジュースです。

 騎士は大人だけど護衛任務があるので、やっぱりジュース。

 オレンジジュースとブドウジュースとりんごジュースが有ります。

 

 本日のケーキはふわふわのキャロットケーキ。

 野菜が入ってるだけでヘルシーな気がする。


 弟には焼き肉ではなく、優しい味付けの柔らかい料理を食べさせる。

 かぼちゃペースト入りのかぼちゃパンとキャロットケーキ。

 優しい甘味。

 

 リナルドにウィルが、小さいおててでいちごを手渡し、食べさせている。


「わあ、可愛い〜!」


 絵面が可愛い過ぎるのでスマホ型クリスタルで記録する。



「お嬢様、本日の赤いドレスもお似合いですね」


 ヴォルニーが華やかな笑顔と共に声をかけて来た。


「シエンナ様の結婚生活が、薔薇色でありますようにと、華やかな色にしてみたの」

「なるほど」

 

「このやたら美味しい焼肉のタレ、聖騎士殿が買えるなら欲しいって奥様に言ってました」

 ナリオもピザをお皿にのせたまま、私に声をかけて来た。


 ーーああ、菜の花畑行きで留守にしてた時に、聖騎士様も焼肉を食べたのね。

 この、焼肉のタレで。



「残念ながら売り物じゃないのよね」

「奥様もそうおっしゃって断っていました」

「原材料が全て入手困難ではなく、生産出来るなら作って売り出せるのだけど」

「買えるなら喜ぶ者は多いですよ! 私も買えたら実家に送りますので!」

「そうね、いずれ売れるようにできれば良いわね」


 ──問題は醤油です。

 神様から頂いた醤油は消費すればいずれ無くなる物だもの。

 化粧品開発も良いけど、やはり醤油開発チームも必要だわ。


 開発と言えば……錬金術師宛のゲーム作りの相談の手紙は夜、寝る前に書こう……。

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