第75話 新年のお祝い
新年を祝うパーティー。
たまにはと思って髪をツインテールにしてみた。
そのツインテの結び目は白いレースのリボンで飾る。
二次元作品のキャラクターで散々見てきた髪型にチャレンジ。
暑い季節もツインテールの前にポニーテールにしようと思うからつい、なかなか踏み切れずにいた。
まあ、今は冬ですけど、せっかく新年なので冒険してみようかと。
ドレスは清らかな純白。
新年のお祝いに白いドレスを両親から贈られた。
いつの間に用意されていたのか、綺麗なドレスである。
神様の贈り物のインパクトで渡すのが遅れたと照れ笑いをしていた。
あれは仕方ない。
お母様のご実家の伯爵家からもウィルには御守りに使用可能な魔石が届けられていた。
御守りに加工出来る術者がいれば良いのだ。
私の浄化能力や光属性持ちな事を伝え聞いたと思われる。
私宛には赤いドレスが届いていた。
まるで薔薇の花のような赤。照れる。
後で御礼のお手紙を書かなくては。
先にお父様とお母様から贈られた白いドレスでお披露目。
背面の腰には白く透け感のある生地で作られた大きめのリボンが付いている。
その裾には宝石のような輝きを持つ樹液を固めた飾り石とレースが縫いつけてあり、縫い目はレースで巧みに隠されている。
飾り石は妖精の羽根のように光を受けるとキラキラと輝きを放つ。
色と言えば、今日はお母様の色にするつもりだった。
でも昼には城の外から、領地の騎士も来るから、青銀の髪にするのは、城内の人間だけになった夜にしよう。
* *
亜空間収納の中にあった花が城内のパーティー会場に美しく飾られた。
花瓶の花やテーブル上のエディブルフラワー。
まるで摘まれたばかりのように瑞々しく芳香が立っていた。
会場には騎士やその家族と親戚などが集まっていた。
ほぼ騎士だらけのパーティーで、彼らが領主の前に整列している。
胸に握った拳を当て、騎士達が恭しく頭を下げる。
礼の後に顔を上げ、姿勢を正し、踵を鳴らし、揃え立つ。
そして仕えるべき主人に視線を向ける。その瞳に有るのは尊敬の色。
主の為に血を流す事も厭わぬ証の緋色のマント。
気高い信念と礼服に身を包んだ騎士に誉れの佩剣。
……素晴らしく高貴にして壮観だわ。
騎士最高〜!
軍服系の正装したお父様もマントを靡かせ、かっこ良さが天元突破している。
ブロマイドを売って欲しい。
お母様に連れられて来た、愛らしい弟のウィルを抱き上げている姿も素敵。
思わず記録の宝珠を握り込んでにっこりとしてしまう。
後でお母様に宝珠返すと、それをそっと握り込んで私を美しいブルーグレーの瞳で正面からじっと見つめた後、一言、「少しそのまま」と言い、自らゆっくりと歩いて私の背後に回った。
背面のリボンが可愛いから後ろ姿も撮影されているのねと察した。
お父様や騎士達やメイドさん達が冬の妖精のように可愛いとか言ってくれた。
これが……容姿SSRの力。……力? 魅力?
人前での新年の挨拶を終えたら、一旦自室に戻ってお母様の実家からいただいた赤いドレスに着替えた。
髪型もハーフアップに変更した。
今度はこちらをお披露目。
あまりに華やかな赤なのでまず、自分ではなかなか選ばない。
渋めワインレッドなら着るけど。
あるいはこういう鮮やかな赤は…前世ではTシャツとかでなら着てたけど。
Tシャツなら色んな色が何故か着れたな。
あれはなんでだろう。
今度はお父様や騎士達から
「冬の妖精さんから赤い薔薇の精になったようだ」
などと言われた。
この世界の貴族男性はこのような場で美辞麗句を言えと言う教育も受けているのかな?
照れる。
お母様も本日はブルーグレーの美しいドレス姿で氷の女王か女神のよう。
挨拶に来た男性陣から「女神が降臨したかと思いました」とか、言われている。
その賛美には圧倒的に同意する。
私は連日縫い物で忙しかったので、新年のご馳走は厨房の料理長達にお任せした。
私がこれまで厨房で実演して来たから作った事のある料理や、スパイスもあるし、味も問題無い。
周囲の様子からも料理を食べる人達が笑顔だったり、真剣な顔で黙々と食べてたりするから、本日の料理も美味しいのだろう。
そういえば加護の儀式の時にも会った騎士達の子供も来ていた。
挨拶の時にぼーっと固まってた子がいるけど、緊張したのかな。
領主達への挨拶後に、騎士の子供達もやっぱり料理に夢中になっていたら、知り合いに会うと、両親からちゃんとご挨拶しなさいとか言われている。
微笑ましい。
何はともあれ、新年早々、白や赤のドレスを着て、めでたいのでは?
などと日本人感覚で思ってしまった。
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