第65話 お父様の色
ハンドミキサーと霧吹きの設計図と説明書を書いた。
バドミントンはまだ先送り。
こんな事ばかりをやってると、私、商品企画部の仕事をする人みたいな気がしてくる。
設計図と説明書をお父様に提出した。
それから、マカロニグラタンが食べたくて厨房へ行った。
冬ってマカロニグラタンが食べたくなるから、お昼ご飯はマカロニグラタンにして貰う。
本格手作りホワイトソースを使ったホワイトグラタン。
別に市販のソースが有ればそれで良いけどここにそんな便利な物が無い。
厨房で料理人達の見守る中、グラタンを作る。
鶏肉、マカロニ、小麦粉を入れ、粉気がなくなるまで焦がさないように混ぜながら炒めて美味しいホワイトソースを作る。
材料。
鶏モモ肉、マカロニ、玉ねぎ、塩、胡椒、ピザ用チーズ、パセリ、油、バター、牛乳、小麦粉。
マッシュルームが好きな人は加えると良い。
きのこ系が入っていた方が食感と香りがよいとされているので。
ここでは材料が無かったので省略する。
フライパンに油を入れて熱し、鶏肉を入れて肉の色が変わるまで、1分ほど弱火で炒める。
玉ねぎを加えて、それが透き通るまで炒め、マカロニを加えて油が全体にまわるまで炒めて取り出す。
フライパンの汚れを拭き取る。
キッチンペーパーが欲しい。
しかし、無いので清潔な布巾を使う。
バターを入れて熱して、薄力粉を入れ、粉気がなくなるまで混ぜながら中火で炒める。
牛乳をダマにならないように三回に分けて加える。
とろみが出るまで混ぜながら加熱し、塩を加えて味をととのえる。具を戻し入れて、混ぜる。
耐熱皿に具を入れて、チーズをのせ、オーブンで5〜10分くらい焼くか、または250度くらいに予熱したオーブンで約10分、チーズが溶け、表面にこんがり美味しそうな焼き色がつくまで焼く。
完成したら彩りにパセリを散らす。
料理人達に味見をさせる。
湯気の立つ、グラタンをふーふーして食べる。
「「美味しいです!」」「焼けたチーズ最高」「幸せ」
満場一致で美味しいと言う評価のようね。今回も問題無し。
この料理は聖者のお祭り当日にも使って欲しいと料理人に伝えておく。
当日は鶏肉の丸焼きもやって貰うから、具材の鶏肉をむきエビに交換してエビグラタンにして貰う。
昼食にお父様やお母様にも食べて貰って、好評で良かった。
「秋冬に頻繁に食べたくなる気がする」って言われた。
そうですね、まあ春にも食べたくなったら食べるけど。
さて、お祭り当日はもちろんライリーの皆とも軽くお食事してから、祭りを覗きに行く。
……屋台の料理を食べる余地を残しておかねば。
さて、城で着るドレスの色はどうしようかな、やはり白っぽいのが良いの?クリスマスを意識するなら赤かグリーンも良いけど。
お忍びは平民風だからあり物で適当にフードを被って……。
殿下にも見られる可能性がある方をあり物ってどうかとも思うけど。
いや、待て、またその服見た事有るって言われたら死ぬ。
いや、死なないけどかなりの心理的ダメージを受ける。
あり物をやや、改造する……?
中古の服屋とかも見てみたいな。ラテカラーの服とかどう?
カフェラテの色。可愛いよね。
プレゼントのお守りは、刺繍は時間がかかるからいっそ宝石にお祈りパワーを注いでしまおうと思っている。
安直だけど殿下の瞳の色が青だからサファイアかアクアマリンにしよう。
でも城に宝石商を呼び付けると絶対に凄いお高い感じのを勧められそうで怖いから、ちょっとお忍びで見に行こうかな、別に色の綺麗な魔石でも良いのが有ればそれでも良い。
殿下に渡すなら本当はお高いのが良いのだろうけど、何しろお守りなので、砕け散る可能性がある。
守って砕けて本懐を遂げる。
前回のお守り金貨は砕けず残ったけれど。
緊急で『お忍び買い物クエスト』発生〜。
クエストを受けたい護衛騎士を選ぶ。
希望者が複数だったのでジャンケンで勝者を連れて行く。
今回はピザ好きのナリオが勝った。
アシェルさんも来てくれると言う。
Sランクのアシェルさんが護衛に付いててくれるとお父様も安心するからとても助かります。
お父様とお母様のプレゼントも物色しなくては。
アシェルさんの亜空間収納があるなら、いっその事祭り用の食材も買い込んでしまおう。
宝石も買う事を想定するとやや良い所のお嬢さんに見える程度のワンピースを着て行こう。
ドレスコードで入店を拒まれたくない。
姿変えの魔道具をまた借りる。
遊び心でお父様の渋い赤い髪色に、落ち着いた深い緑色の瞳に変装。
お父様の瞳の色は私の明るい瞳の色よりも深い緑色だ。そっちに寄せる。
これに上品な紺のワンピースに白いレースの付け襟装備にコートで行く。
お父様カラーの変装を見てアシェルさんが「ティア、自分のお父様を好き過ぎるだろ」って笑いながら言った。
あたり前なんですけど!
この姿で転移陣のある庭園に向かう途中でお母様に見つかった。
「ジ、ジークの色……、ふ、ふふ……っ」
普段クールなお母様が笑いが抑えられずに肩を震わせている。
隣にいるお母様付きメイドも唇が見事に弧を描いている、つまり笑顔である。
「え? そんなにおかしいですか?」
普通に可愛いはずですけど?
「ご、ごめんなさい、ち、違うのよ、あまりに可愛らしい事をするから、微笑ましくて、お父様が大好きなのは知っていましたけど、ここまで……っ、ふふ」
まだ笑っておられる。そんなにツボに入ってしまったのか。
逆にお母様を笑わせたい時はこの姿になれば良いのか、でも二度目は流石にインパクトが弱いか。
「まあ、良いですけど〜。ちょっと出かけて来ます」
私は照れ隠しで、ちょっと拗ねたように口を尖らせて言った。
「気をつけて、変な人に付いていかないように」
「はい、心得ております」
実に母親らしい忠告をされて王都へ出発した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます