第51話 紅葉ライトアップ
温泉地での儀式が終わったので我々はライリーのお城へ帰城。
殿下と子爵令嬢は一旦王都へ戻った。
子爵令嬢まで何故かお父様からの謝礼金は辞退された。
代わりに次の儀式の転移陣の使用時に、下男の同行者を一人連れて来る事を許して欲しいと言われて、特に問題無いので許可してあげると、かなり嬉しそうだったそうな。
はて……?
王都ではシエンナ姫誕生日のお祝い企画が進んで、夜間紅葉ライトアップの告知がなされた。
* * *
私は自室の文机の前に座り、お手紙を確認中。
シエンナ姫様からも感謝のお手紙が届いているし、ギルバート殿下からのお手紙にて、シエンナ姫のお誕生日当日の報告が細かくなされている。
通常の誕生パーティーが午前中王城内で行われた。豪華にして華麗。
会場内は赤いバラも、ふんだんに使われ、飾られていた。
シエンナ姫はワインレッドのドレスに身を包み、例の魔魚の鱗で作ったイヤーフックやブレスレット、おまけに婚約者の公爵家令息ルーク殿が根性で間に合わせた、虹色魔魚の鱗で作ったバレッタを身に付けて、お披露目をなされた。
婚姻色の出ている鱗のアクセサリーという響きのロマンチックさに、瞬く間に恋人や婚約者におねだりする素材として話題になり、大人気となった。
夜になって、王都の紅葉、カエデの木々を公園内で鮮やかにライトアップ。
……さぞかし綺麗だったのでしょうね。
ちょっと見てみたかったけど、高貴な方が多そうだし、行くのはやめたのよね。
私はここまで読んで、一旦手紙から目を離し、様子を思い浮かべた。
そしてライリーも来年から何処かで、紅葉ライトアップイベントをやりたいと思った。
再び視線を手紙に戻す。
出店も多く出店。
シエンナ姫と公爵家令息は大きな池の上に船を浮かべ、遊覧船から優雅にライトアップされた幻想的な紅葉を見た。
お酒を飲み、食事も楽しんだ。
せっかくの姫君の誕生祝いという事で、池の方にもいくつも船を浮かべ、灯りは十分に灯された。
水に映る炎の輝きも美しいだろうと、結局本物の火も使い、火事には十分気をつけて、とにかく豪華にしたと。
火の扱いに細心の注意をはらってくれたのなら、こちらも文句は無いわ。
紅葉のライトアップというアイディアだけでも大変良かったとか。
夜のイベントはあまり多くは無い分、一般客の平民の間でも、大変盛り上がり、経済も良く回り、国王夫妻も満足げだったらしい。
先に読んで隣に置いてあるシエンナ姫様からのお礼の手紙にもそう書いてあった。
……ふう。 私は息を吐いて、お二人からのお手紙を箱の中に大事にしまった。
シエンナ姫からのお手紙には、紅く色着いた葉の押し花が一緒に入っていた。
女子力を感じる。可愛い。
晩秋に後一回浄化を行い、後は自浄作用に頼る事になる。
最後の浄化の儀式だし、領民にも何か甘いものでも振る舞ってあげたいな。
洋梨とカスタードクリームのガレットとかどうかな?
沢山食材を用意して料理人のお手伝いも増員しないと。
食材といえば、冬支度の準備も問題なく進んでいるか、家令に進捗を聞こう。
薪は近くの森から調達出来るかな?
また冬になれば暖炉前で保存食を食べたり、ぬくぬく計画を実行したい。
私は椅子から立ち上がって、色んな準備を始める事にした。
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