冒険者登録したいんですけど。

俺たちはヘトヘトになりながらも到着し、俺はヨミとはギルドで待ち合わせをすることを決めて、祈祷場から取ってきた泣け無しの金を使って俺は宿に泊まった。

ちなみに、ギルドとはクエストを発注したり、それに対する報酬を払ったりし、加えて食事も提供してくれたりする。

俺は朝になって、ギルドに向かった。

「こんにちは。」

なんだがギルド内が騒がしい。こんなにいつも騒がしいものなのだろうか。

俺が周りを見回すとヨミがギルドの受付と話していた。

「我の名は、ヨミ。夜を統べるものである。その我がクエスト報酬受け取りに来てやった。」

「はい、報酬ですね。少し待ってください。」

ヨミと受付が話しているところに、ギルド内にいる他の冒険者達が話を始める。

「おい、あの痛いやつ知ってるか。なんか火魔法をいつも使ってるんだけど、その威力はマッチの火みたいなんだぜ。ほんと笑えるよな。」

「確かに笑えるな。」

「マジかよ。マッチだって!火起こしぐらいしか使いどころないじゃないかよ!」

冒険者達はヨミをバカにしているのか。確かにあいつは中々ヤバいやつだが。

俺はヨミの様子を見てみると、耳が真っ赤になっている。

「おいおい、あいつ火魔法でモンスター倒す前に自分の顔に火がついてんぜ。」

「顔真っ赤だな。」

「真っ赤っ赤だな。」

さすがに可哀想だな。

「おい、お前ら。」

俺がそいつらに注意しようとした時、

「お前たち、よくも我を愚弄してくれたな。我に恥をかかせたということは覚悟いいな。」

ヨミが魔法で風を手に収束させる。

「おい、アイツって風魔法使えたのかよ!」

「確かにあいつ、エルフだったわ。」

「あいつの魔法、マッチじゃなかったのかよ!」

おいおい、ヨミがマジギレしているぞ。もうぶっぱなしそうだぞ。

こんなとこで、魔法使ったらやばいだろ。

「おい、ヨミ。撃つのをやめろ。こんなところでやったら、周りの人に迷惑だろ。しかも、アイツらはたぶんお前に才能に嫉妬してるだろうよ。」

俺の言葉を聞いたヨミは、落ち着きを取り戻したようだ。

「ふっ、それは仕方ないことだな。我の才能は凄いからな。」

いつもの様子を取り戻したようだな。

「お待たせしてしました。では、報酬です。」

ヨミが報酬を受け取り、満足そうだ。

そういえば、冒険者登録をしないとな。

「すいません。冒険者登録したいんですけど。」

「はい、冒険者登録ですね。では、能力を測るために、水晶に手を当てて貰っていいですか?」

俺、これ見た事あるわ。神だから凄い能力なんだろうな。

俺が水晶に手を当てる。

「こ、こ、これは。」

受付の人が驚いてるようだな。当然だ。

「なんか凄いの?ゼロって。」

ヨミが聞いてくる。

「当然だろう。俺は神だからな。」

決まったな。

きっと今、みんなが俺に尊敬の念を抱いているだろう。

「完全に、冒険者の統計平均値ですね。寸分違わずど平均です。」

「ど平均だと!そんなはずは無い。俺神なんだぞ!もう一回やらせろ。」

もう一度やる。

「ど平均ですね。」

なんか、いちいち『ど』つけてくるあたりがムカつくな。

思い出した、下界に降りてくる時に、目立たないよう平均にしたんだった。

「ゼロも、設定に凝るのはいいけど、程々してね。」

俺、神なのに。

受付の人が気を取り直し、水晶見つめる。

「ええっと、称号は、プッ。」

こいつ笑ったな。

「プッ。」

やっぱり。

「なんですか、なんか俺の称号に文句あるんですか?」

俺は少しイラつきながら言った。

「いえ、すみません。中々珍しい称号でしたので。頑張ってあなたが得た称号ですもんね。プッ。」

コイツ、バカにしやがって。

受付はカードに諸々のことを、写して俺に渡す。

「どうぞ、ゼロ様、いや自称神様。」

コイツ、必死に笑いをこらえてやがる。

その受付の人の発言を聞いてさっきの冒険者達がまた話し始める。

「おい、聞いたかよ。自称神だってよ。」

「神だって?しかも自称かよ。」

「自称ってことは、神だってずっと言ってたって事かよ。」

アイツらがそう来るなら、俺にも考えがある。

「なぁ、ヨミ。アイツらまたお前のことバカにしてたぜ。」

ヨミがまた怒り出す。

続けて俺は言う。

「少し肌寒いから、マッチの火が欲しいなって。」

もちろんこんなことは言っていない。

「アイツら、われをまた愚弄したのか。もう許さない。」

アイツらもう終わりだな。

「ちょっと待ってくれ。ヨミ。俺たちはそんなことを言っていない。なぁ、そうだよな?」

他のやつも同調する。

そんなことで、負ける俺では無い。

「ヨミ、お前の悪口を言ってたあいつらと俺どっちを信じる?」

「ゼロ。」

また、ヨミは魔法の準備をする。

冒険者達はヨミの魔法を怖がって逃げていく。

「ヨミ、さすがだな。」

俺がそう言って、振り返ると、ヨミがあいつらに放った魔法が俺の眼前を通り過ぎた。

「危ねぇな!」

「ごめん、ゼロ。ってゼロの頭、プッ。」

「お似合いですよ、ゼロさん。」

なんで俺の頭を見て笑っているだろうか。なんか俺についてるんだろか。

「ちょっと、鏡を貸してもらっていいですか?」

「いいですよ。プッ。」

俺は鏡を覗くとそこには、前髪がパッツンになった俺がいた。

「おい、ヨミ!」

俺がヨミを文句を言ってやろうとした時には、ヨミはギルドから、居なくなっていた。

俺は本当に下界に降りたことを後悔していた。

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