第12話 事前準備②
「次はOFTONについて、今出てる事前情報から分かってることについて説明しとこうかな」
「たしか...これまでやってきたRPG系とはちょっと違うんでしたっけ?」
そういえば司もあんまり知らないんだっけ?最近ちょっと忙しそうにしてたし事前情報を調べる暇がなかったんだろうな。
「そうなんだよ。リンドウ、黒板持ってきて。まずステータス画面から説明するから」
研究室から黒板を運んでくれた
================
PN:
種族:
種族Lv:
職業Lv:
称号:
STR:
SIZ:
CON:
DEX:
APP:
INT:
POW:
スキルスロット
1:
2:
3:
4:
5:
6:
7:
8:
9:
10:
ポケット
1:
2:
3:
4:
5:
《装備》
頭:
胴:
右腕:
左腕:
腰:
右脚:
左脚:
アクセサリ
1:
2:
3:
4:
5:
重量適性:
================
「と、まぁこんな感じかな」
「なんだか難しそうですね」
桃花さんの意見ももっともだ。通常のRPG系のゲームにはない項目があったりするし、特に初心者には分かりづらいだろう
「ま、一つずつ説明してみるよ。分からなかったら質問して。
まず一つ目の『PN』。これはプレイヤーネームの略だからそのままプレイヤーの名前ね。
その下の種族もそのまま。デフォルトの種族は『遠方からの来訪者』。詳細は不明だけど世界観に合わせたものだろうね」
「ふむふむ」
ここは大丈夫だろう。問題、というか少し特徴的なのはこの辺りから。
「次は種族Lvと職業Lvについてだ。種族Lvは多分レベルが上がるごとに種族固有の能力を取得する感じ」
「デフォルトの種族って『遠方からの来訪者』って奴なんですよね?どういう能力になるとか分かってたりするんですか?」
「いや、その辺は流石に公開されてない。
種族レベルについて分かりやすい例を出すならプレイヤーがドラゴン系の種族になった場合Lv.50到達で火を吹けるようになるみたいな感じ。
あくまで推測だけどね」
「じゃあ職業レベルはどういうものなんですか?」
「そっちはちゃんと情報が公開されてる。職業Lvってのは職業に割り振れるレベルの上限らしい」
「上限?」
「ここら辺がこのゲームの特徴の一つでもあるんだけど。例えばLv.100のプレイヤーが二人いたとする。
二人のうち一人は剣士Lv.100でもう一人は剣士Lv.50+魔法使いLv.50で合計Lv.100」
「?」「あ、そういうことですか」「えっ?えっ?」「まーこれ最初こんがらがるよね」
「つまり、OFTONでは職業にレベルを割り振ることが出来るんだよね。
100のうち50を剣士という職業に割り振って、残りの50を魔法使いという職業に割り振る、みたいな。で、その時の割り振れるレベルの上限が...」
「職業レベル」
「そういうこと。あんまりメジャーなシステムではないからこんがらがる人も多いかも」
うんうんと唸る桃花さん他数名を見て少しだけかみ砕く時間を取ることにした。
#####
「次は称号か。といってもこれは公開されている情報がほとんどないからなぁ。
ネットでの考察だとステータスになんらかの補正が入るんじゃないかとか、称号固有のスキルがあるんじゃないかって言われてる」
「ステータスってこの3つのアルファベットが並んでるやつですよね?どういう意味があるんですか?」
「うちらも見覚えのない項目があって不思議に思ってたんだよねー」
桃花さんに同調するように来栖さんも口を開く。ゲーマ少女ズもあんまり馴染みのないシステムらしい。
「皆あんまり馴染みがない感じか...おけおけ、一つずつ説明するよ。
まずステータスってのはなにかって言うと...んー、プレイヤーの身体能力みたいなものを表してると思ってくれていい。
それぞれの項目は公開されている情報によるとこんな感じ」
そう言って黒板にそれぞれのステータスが何を表すのかを書いていく。
STR:筋量を表す。SIZと合わせることで物理的な耐性の目安となる。
SIZ:体内密度を表す。例えば、最大筋量や最大精神力はSIZによって上限が決まっている。
CON:体力を表す。スタミナやHPの目安となる。状態異常への耐性にもつながる。
DEX:アバターの操作精度と敏捷性を表す。
INT:知能や閃きを表す。魔術系統の習得に大きく関わる。
POW:精神力を表す。SIZと合わせることで魔法的な耐性の目安となる。
APP:NPCとの好感度の目安となる。プレイヤーの行動によって自動で上下する。
「えぇっと...」「んー?」「むずかしー」
「ま、こんがらがるよねー。
簡単に言うと、STRは筋肉、SIZは体格、CONは体力、DEXは器用さ、INTはIQ、POWはメンタルの強さ、APPは外面って感じ。
細かく言い出すと考察含めて切りがないから、まぁ最初はそんな感じで理解して貰えたらいいと思う」
「ほぇーなるほど」
「TRPGっていうゲームジャンルで使われるステータスが参照されてるっぽい。
興味があるならやってみるといいよ。事前準備が若干大変だけど慣れればそれも含めて面白いから」
「はーい」「分かりました」
話題は次に移り変わる。
「で、次がスキルスロットとポケットについて。OFTONは戦闘でも生産でも基本的にスキルスロットに設定してるスキルしか使えないって明言されてる。
そしてスロット内のスキルを他のものに交換したい場合は特定の施設かアイテムがいるらしい」
「それじゃあ、結構考えてスキルを選ばないといけないんですね」
「ん、そういうこと。ただ、救済措置的なのがあってそれがポケット。
ポケットに設定したスキルはスキルスロットの対応した番号のスキルと即座に切り替えができるらしい」
「...?」
「あー...つまり、1番のポケットになんかのスキルを設定しておけばスキルスロットの1番に設定してるスキルとポケットの1番に設定しているスキルを入れ替えることが出来るってこと。
この入れ替えは入れ替え自体のクールタイムがあるけど回数に制限はないんだって」
「あの...」
「はい、車井さん」
「クールタイム?ってなんですか?」
「スキルなんかを使うときって基本的に連続では使用出来ないようになっててね。次に使用できるようになるまでの時間をクールタイムって言ってる。
これからこういう系のゲームをいろいろやってみるなら結構頻繁に出てくる単語だと思うから覚えておいてもいいかもね」
「な、なるほど...!ありがとうございます」
「いーのいーの、気になることがあったらどんどん質問してくれていいから」
#####
「最後に装備関係だけど...あんまり説明するところはないかも。各部位ごとに装備してる防具が表示される感じだね。アクセサリっていうのはペンダントとか腕輪とかそういう系になるのかな?
装備品についての事前説明がなかったからなぁ、説明することがあんまりない。まぁ、防具によってステータスに補正が入ったりとかもしかしたら装備条件があるかもって考察はされてる」
「装備条件...?」
「例えば鉄でできた鎧系の防具を身に付ける時にステータスのSTRの数値が20以上必要です、みたいな感じで装備する上での最低条件みたいなものが設定されてるかもって話」
「な、なるほど...」
「その下の重量適性っていうのも装備品の重さと自分のステータスから計算して重いとか軽いとかそんな感じらしいよ。
重量適性が適正範囲外だとアバターの操作にマイナスの補正が入るんだって」
「マイナスの補正...」
「現実で考えると分かりやすいかも。ほら、めっちゃ重い服着てたら動きづらいとか、厚い場所で厚着してたら暑苦しいとか。多分そんな感じじゃないかな」
「かなりリアルな思考なんですね」
「リアリティの追及を頑張ったって話だったからね」
「まーでもぶっちゃけめんどくさいよね。着けたいように装備着けられないってことだし...そこら辺おにーさんはどう思ってるんですか?」
「そういう試行錯誤は嫌いじゃないよ。生産の時にも考えて作るの楽しいだろうし」
「えっ生産するんですか?!」
「いや、どっちもすると思うけど...片方しか遊ばないのもったいないし」
「あの...生産、ってなんですか?」
質問してくれたのは車井さん。もしかしたらモノ作りとかが好きな子なのかも...生産って言葉を聞いた瞬間、すぐ喰いついた気がする。
「生産っていうのは生産職っていう装備とかアイテムを作る人たちのことだね。
基本的に戦闘はせずにモノづくり中心で遊ぶ人たちのことだよ」
「な、なるほど...」
目がキラキラしだした車井さんは置いておいて、話を戻す。
「でも、どっちもするってなると中途半端になりません?」
「いーのいーの、別にトップ目指そうって訳じゃないんだし自由にやるよ...そういえば司はどうするんだっけ?」
そういえば、まだ司のプレイスタイルを聞いていなかったことを思い出したのでいい機会だと思って聞いてみる。
「私ですか?私は魔法系の職業につこうかなって考えてます。生産はやるつもりないですね」
「ふーん、まぁ素材集めとか付き合ってくれればいいか」
「装備作ってくれるなら普通に付き合いますよ。ていうかどうせクラン作るでしょ?」
「クランって何ですか?」
「クランはね、プレイヤー同士の集まりかな。一つの会社みたいな?リーダーと副リーダーがいてその人たちの下でクランの行動方針に沿ってわいわい騒ぐみたいな」
「会社、ですか」
「例えとして出しただけで、そんな堅苦しいもんじゃないから身構えなくても大丈夫。たしかクラン結成時の最低人数って3人だったよね?」
「えぇ、そう言ってましたね」
「てことだから、仲良し同士で集まったクランとかでもいいと思うよ。別に入るの必須って訳でもないと思うし、入らなくてもいい」
「ほぇー...なるほど」
「そんな感じかなぁ。他に聞きたいことある?」
「あっじゃあ――――」
結局、簡単な説明だけだから早く終わると思っていたけれど思いのほか時間がかかってしまった。
まぁ、これであの子たちが楽しく遊べるようになるなら大した問題ではないか。出来るだけ長く遊んでもらった方が色々都合がいいだろうし、ね。
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