第19話 だから、俺は…

魔力吸収を使い、訳のわからない痛みを味わった俺に

「イイゾニンゲン!ソノママシンエンマリョクキュウシュウスレバ アンデッド二 ワレワレノナカマニナレルゾ!」

大喜びのデスロード。

エリーは「何をしたの?大丈夫?」

俺は「すまない、魔力吸収をしたらスゲー痛みが、」

心臓に蛇がいるような虫がいるようなおかしな痛みを感じている。

魔力は無色透明な物だと思っていたが色が付くんだ。

今回はアンデッド属性が付いている。

闇魔法がこれに当たるのか?

アンデッドは別なのかはわからないが…。

俺は念のため光魔法の使い、心臓を癒す。

光魔法のよって痛みと違和感が消えたが、

戦いを止めて俺を凝視するデスロード。

俺を心配そうに見るエリー。

警戒しながら監視するエルフ。


だけど、

俺は、

この状況を打開出来る。

何故ならこの状況は想定内だ!

無限の魔力は制御出来ない。

だったら、制御を諦める。

右手に魔力吸収。

吸収した魔力をそのまま左手に流し、

左手は魔力変換 物質化!

ここにある魔力を全て塊に変える!


発動!錬金転換!


暗闇の魔力が右手に集まる!

左手はから黒き鋼が生まれる。

右手から左手にかけて浮き出る黒きライン。

ラインに沿って走る激痛!

溢れる俺の悲鳴!

「痛い!痛い!いた~い!イターイ!」

俺の周りの暗闇が少し薄くなる。

薄くなると周りの闇が集まり更に広範囲で薄くなる。

デスロードは

「カッカッカ!ヤハリニンゲン!ワレラノナカマニナッテエイエンノ?」

喋りが途中で止まるとその目が暗く揺らめき。

「キサマ!ナニヲシテル!」

もちろん俺はアンデッドには成りたくない。

右から集まった魔力を左に受け流しているだけだ!

受け流しした魔力は物質化しているので黒光りしている鋼が出来ている。俺の悲鳴と共に。

誤算としては魔力が流れると耐性がない魔力は酷い痛みを伴う事だ!

しかしこれが有効だと判断がしたか俺に攻撃を始めようとするとローザンヌ様を筆頭に間に立ち。

「よく解らぬがよくやった!人間よ!そのまま続けよ!」

残りのエルフも俺の前に立つ。

迫り来るアンデッド!

防ぐエルフ!

泣き叫ぶ俺!

もういいよね?俺 頑張ったよね?

そう思ってしまうが

俺の背中に抱きつき、

「ありがとう。本当にありがとう。頑張って。あと少し。」

エリーは俺の事を励ます。

しかし俺にやめるなと暗に言っている。


はぁ。


実はエリーを抱いてるときに懺悔されたことが

ある。

「酷いことをして魔力水を作らせてごめんなさい。

エルフの都合で搾取してごめんなさい」

っと、泣きながら。

俺はそのまま頭を撫でながら謝るエリーを赦した。

頑張っていることも認めている。

悪いことをしているのも赦している。

謝りながら泣いているエリーは可愛いかった。

この子が笑えるように頑張る事を決めてしまった。

簡単には言えばこの子に惚れてしまった。

この子を欲してしまった。

打算もある。

ここで頑張ればきっとエリーは俺の物になる。

だから、

だから…、

だから!

俺は折れてはいけない!


だぶんこの時だろう、

俺のスキルに慈愛が生まれたのは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る