第8話 準備万端!

「さて……じゃあ、やりますか」


 買い物を終えたショウは自室に戻ると、集めたアイテムを広げていく。


 まずは『魂のマフラー』と『無限の魔水晶』。二つのアイテムを机に置き、金槌を取り出した。


「【クラフト】」


 と言いながら2つのアイテムを金槌で叩く。


 すると……眩い光を放ち、赤く染まった魂のマフラーが完成する。


 ――よし、できた。


 これぞショウが求めてたアイテム。名を『無限魂のマフラー』。


 力を吸収するマフラーと、レベルアップする魔水晶の力を組み合わせた激レアアイテム。

 自身の生命力を奪うというマイナス効果は消え、代わりに装着者の能力を底上げするというチートアイテムとなったのだ。

 更にこのマフラー自身にもレベルが付与されており、エネルギーを吸い取るマフラーの効果でこの時点で既にレベル100。カンストしている。


 ちなみにこのアイテム、ただのクラフトでは製作不可能だ。それなりの代償というものが必要となってくる。


 だが、その為のユニークスキル【禁術】。何かを作る際の代償やコストを、このスキルが全て肩代わりしてくれるというなかなかのチートスキルである。


「後は……こいつらもクラフトしてみるか」


 偶然手に入れた『自在の鎧』、『コア・ディライヴ』。それとエネルギー鉱石、革のベルトを揃えていく。


「【クラフト】」


 金槌を叩きつけると、3つのアイテムがコア・ディライヴに入り込む。


「……よし、完成」


 これを使えば自在の鎧を即座に装着できる、オリジナルアイテム。

 ……決して変身ベルトではない。あくまでオリジナル、オリジナルアイテムだ。


 まあ、完全に棚からぼたもちだが……万全な体制に越したことはないだろう。


「後は……」


 最後に行うのはクラフトではないが、必要なこと。

 取り出したのはレベルアッパー10粒。手に持って、一気に飲み込む。


 現在ショウが所持しているスキルは【キャプチャー】のみ。これをレベルカンストのレベル10まで上げておく必要がある。

 本来なら、モンスターと完全契約できる。【テイム】を上げたいところだが……残念ながら、ショウにその習得は出来ない。

 だから、仮契約スキルを上げるしかないのだ。


「さて……ようやく準備が整った」


 後はどこまで出来るかテストプレイするのみ。ショウは部屋を出て行くと、早速プライ森林へ向かった。



***



「【キャプチャー】」


 ウイングバードに手をかざすと、水色の小鳥の輪郭が淡い緑の輝きを放つ。


「マーマレの実を取ってきて。4つ」


 ショウの指示を聞き、ウイングバードが空高く飛び立つ。


 ……待つこと10分。先程のウイングバードが、赤い小粒の実を4つ持ってきて、ショウの元へ降りてきた。


「ありがとう」


 お礼を言い、ウイングバードを放つ。


 ――10分、持ったな。まだ余裕がありそうだ。


 プライ森林に籠ること半日。色々と試してきたが……今、この森に生息しているほぼ全てのモンスターをキャプチャーすることに成功していた。

 レベルをカンストさせたことにより、使役できる時間もかなり伸びている。


 ――これならいける!


 ここに到達するまで3日間。

 他の人からすればあっという間だろうが……残された時間が2日になっているショウにとっては、本当に長い道のりだった。



 ――さあ、すべての準備が整った。


 明日はいよいよへ向かう。

 これが最後の鍵。



 ショウは死亡フラグを回避するため、とあるモンスターを使役しなくてはならない――を。

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