第29話 誰か俺の話聞いてくれよ(泣)

「ふふ、いいんですよ」

「ふぇ…?」


完全に涙目のニア。


「止めてくださっていありがとうございます」

「……!?」

「ちょ顔あげてください王女様!」


なんと王女が深く頭を下げてきた。

ニアは状況が理解できていないのか、ぽかーんって感じだね。


「いえ、暴走したわたくしを止めてくださった恩人ですから」

「へえ…あれ暴走だったんだ」

「そうですよ! あれが本性だと思わないでください!」

「お、おう。てか何があってあんなことになったんだ?」

「あれは三年前のことでした。」

「あれ、これ長くなる系の話? 帰っていい?」

「わたくしのもとに新しい配下がやってきました」


ちっ、無視かよ。

まあいい聞いとくか。


「その配下がうざくて!! もうほんとにうざくて!!」


えあれ、俺なんか大事なとこ聞き逃した?


[残念ながら聞き逃しゼロだぞ]


えぇぇ…


「わたくし頑張って耐えたんですよ! 三年間も! 偉いと思いません!?」

「わーそうだな偉い偉い」

「そうでしょう!? でもついに耐えられなくなって!」

「おう」

「わたくしに人殺しの罪をなすりつけてきたんです!」

「ふぁ!?」


人殺し!? 思ったより大事に巻き込まれそうな気がしてきた。

よし、退散しよう。


[くずじゃん…(ぼそっ)]


「あのー俺らこれから」

「それでさー! ちょっと冤罪晴らすの手伝ってくんない?」

「いや俺これから」

「いいよー!」


おいニアァァァァァァァ

何勝手に承諾してんだよ! やめろし!


まあしょうがない、ここで王女を助けておくのもテンプレっちゃテンプレか。

つかこの王女喋り方不安定すぎない?


「ありがとうございます! そしてお名前は?」

「ボク、ニアっていうんだー!」

「俺はr」

「こっちはレマだよ! よろしく!」

「おい喋らせろよ」

「よろしくお願いします、ニアさんと喋らせろよさん」

「ちょ、いやちが」

「うんよろしくー」


何この人たち

俺に人権は存在しないのか…?


[乙]


――――


この世から俺の人権と味方が消え去った瞬間だった。

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