あれここギルドだよね、なんでカオスなの??

第28話 ギルドにて。

「わぁぁお」

「わーー」


ギルドなう。

なんでわーって言ってるかって?


ギルド内の治安が絶望だったからサッ☆

[きもい。うざ。なにその星マーク]

ぴえん。


まあそんなことは置いといてですね。

ギルド内の治安が悪いって、なんかテンプレの『酒飲んだおっさんが暴言吐いてくるたすけてぇぇ~』とかいう次元じゃない。


割と広々とした空間とお洒落なシャンデリア。

が。


―――パリィーン。パリィーン。


割れて散らかり放題でございます。


結構若めなお姉さんって感じの人が、荒れて酒瓶振り回してる。

なんかその人ハイになって笑ってんの。


[まったく状況が理解できないな。]

俺もだよまったく…


周りの人は(それこそテンプレの文句言ってきそうなじじい共)は黙って見てるしさぁ…


こういう場合はやっぱ止めに入った方がいいよな。

同じことを考えていたのか、ニアが止めに動いた。


「お姉さん、何やってるんですか! 落ち着いてください!」

「んぁ゛?」


ビリィッ


視線の圧が、急に。

ドスのきいた声で、睨むように見てくる。

ニアも少し怯えたかもしれないけど、すぐに睨み返す。


一つ思ったこと。



…え? なにこれ修羅場? 俗にいう修羅場ってやつか?? 修羅場っちゃってんのか??(わくわく)

[修羅場修羅場うるさい。お前が修羅場って言葉を言いたいだけだろ]

おぉ、さすが神。よくわかったねー


「あの嬢ちゃんはお前の連れか?」


ふと、ムキムキのおっきい人が話しかけてきた。

大盾を背負ってる。


「俺の連れですよ」

「そしたら終わったな、あの方は王女様だぞ」

「へ??」


おうじょしゃま…おうじょ…王女!?!?



「ニア待てよぉぉぉ!!」


いくらチートだのなんだの言ったって王女様に喧嘩売るやつはいない!

非常識すぎる!!


「あ? レマ! こいつ土下座させといたぞー!」

「終わったー!!」


すでに遅かったらしい。ニアの行動力えげつない。


「ごめんなさい」

「はっはっは! お前、名前は何て言うんだ!」

「ステンピア・ラヴ・ベルマーシャ」

「いい名前だな! じゃあベルって呼ぶことにする!」

「おい、何勝手にやってんだ」


ニアに耳打ちする。


『そいつ王女様らしいぞ』

『ほぇ?』

『ラヴがついてる時点でわかるだろ、王族は名前にラヴが入ってる』

『ぁわぁ…』


どんどん顔が青ざめていく。


無言でスッっと立ち上がったと思えば。


「すいませんでしたぁぁぁぁ!!!!」


ニアは全速力でスライディング土下座した。

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