2.旧友

2.旧友

3人は会場を後にした。タクシーに乗り込み行き先を告げた。


 いや〜久しぶりだったなあ。


 ずるいわ!もともと誰だか分かっていたってわけね。


少女はずっと溜め込んでいたイライラを露わにした。いつもは優雅にプライベートジェットで旅をしていたが、単独行動だったのでそうもいかない。しかも、エコノミークラスしか予約が取れず、出国前から機嫌の悪さは絶好調であった。


 悪い、悪い。僕の耳は一度聞いた声は忘れないからね。素人が多少声色を変えたところで同じことだよ。


左手の人差し指を立てながら、満面のドヤ顔を見せた。


 もうその自慢、何度目?同じこと何回も言うなんてパパももうオジサンね!


 おいおい、オジサンって、僕はまだ…。


 そんなことはどうでもいいわ。さっきの色んな事情って何かしら。おじいさんとおじさんが、国を跨いで追いかけっこする理由を教えてもらえる?


これでもかと不満を込めた言い回しで、語気鋭く詰め寄った。


 わかったよ。僕が悪かった。ちゃんと話そう。


タイミングが良いのか悪いのか、着信音が鳴った。


 どうやら、こっちの説明が先みたいだね。

 …はい。


 やあ、ロンド。君が出るなんて珍しいじゃないか。


 自分のせいで娘が叱られるっていうのに、黙って見ている親なんて最低だろ?


 ほう。何か叱られることをした心当たりでも?

 

 んー。人に会いに行っただけ…だからなぁ。


 そうやってまたはぐらかすんだな。まあ久しぶりに先生と会えて良かったじゃないか。ところで、捜査は進んでいるのか?


 まずまずかな。


 成果を出せば今回のことは不問にするよう、私から言っておこう。だが何もなしでは、さすがの私でもどうしようもない。頑張れよ。


 親会社様からの応援メッセージ、痛み入るよ。


 はは、相変わらずの口ぶりだな…元気そうでなによりだ。じゃあ。


黙ってそのまま終話ボタンを押した。

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