続・学園編 8 アヌスの鏡

あたしはトイレを出ると最後のホームルームに

間に合うように教室を目指した 春日さんが教室に 戻っている事を祈りながら…


ガラガラ


教室の後ろの扉から中に入ると


ざわざわ


ホームルーム前は生徒達のお喋りで大体

ざわざわ している その中から


「あーっ ! カッシーッ」


一際大きな声で 山本さんが あたしを見て 笑顔で

おいで おいで の ジェスチャーをとっている


「……」


あたしは観念して 山本さんの お縄に着くと


「カッシー 悪いんだぁ 5限目終わって 慌てて飛び出してったぁ と思ったら 6限目 サボっちゃッて〜 チョット心配したよ」


山本さんは冗談まじりにそう言ってきた


「へへへ… チョット急用で ごめん 何か 心配かけちゃったみたいで…」


あたしは苦笑いしながらそう答える


「いいよ 理由は気になるけど 時間もないし 今は

聞かないであげるね」ハート


「…うん ありがと」


そう応えた あと あたしは続けて


「山本さん 聞きたいんだけど?」


「うん なーに?」


「春日さんの事なんだけど 何か知らない?」


「……」


何か少し考えた感じで


「…春日さん … て だーれ?」ニッコリ


「………」


あたしは血の気が引いた…


え? … 山本さんが…春日さん…の事を知らない

一体 何が… どうなってる… ?


あたしが真剣な表情をしていると


「カッシーどうしたの? そんな 真面目な顔

しちゃって?」


「…っ え? … あ …」

言葉が直ぐに出ない


「冗談だよ?」


「えっ! 今! 何て? 何でーッ?」


「何か真面目な顔で聞いてきたから イタズラしたくなっちゃって 心配かけた お返しだよ」テヘ

小悪魔の様な笑顔


「んーッ もーッ! 」 と

プンスカしてみせた


「バニラちゃんなら あそこだよ ほら」

山本さんが 指を指した先を見ると


そこには 自分の席に座っている 春日さんが居た


ホッ


「 良かった〜〜 」


「何が良かったの? かは 知らないけど」続けて

「そう言えば バニラちゃん 6時限目に遅刻して

戻ってきてたね その事と何か関係あるのかな?」


「うん まあ そんな感じかな…その事は また今度

春日さんに用事あるから チョット 行くね

山本さん ありがと」ハート


「うん」


あたしは山本さんの元を去り 春日さんの席に

向かおうとすると


ガラガラ


教室の前の扉が開いて


「はい 皆さん 席に着いてくださーい」


先生の横ヤリに阻まれて 自分の席に戻る事となる


「それでは朝に配った アンケート用紙を回収

します 書けた人は前まで持って来てください」


あたしは朝 アンケート用紙を記入して

机の中に入れたのを思い出すと


しめた!


席を立ち 用紙を前まで提出しに行った後 戻る時に春日さんの席の側まで行き


「春日さん 今日 5限目 どうしたの? 居なかった

よね ?」


……


「…… うん 体調悪くなって… 保健室行ってた…」


……


「…そっか …大事無かったなら 良かった チョット心配したよ」


「… うん …ごめんね…」


「ううん 全然 いいよ 気にしないで じゃあ」


と すぐ別れて自分の席に戻った


腑に落ちない点が あったが 春日さんが無事なら

それで良かった 詮索するのも野暮ってもの

だろう


ただ 1つ言える事は


春日さんは 嘘 をついている… そう感じた…




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る