第六話 「шаблон(パターン)」

「Все в порядке, Белла!

(だ、大丈夫だ・・・ ベラ・・・!)」


「Ах, Андрей!

(あ、アンドレイ....!)」


「Хе-хе,Бон!? Скажи


 бон!?, Бон! Эй!?

(へへっ――― 


 "ボン"ッ!? "ボン"っつって!?、


 ――――"ボン"!よッ!?)」


「Вау вау вау вау вау!

(う、うわわわわわわわわわっ!)」


"ガタッ ガタタッ!"


冷却棟、研査室。


「Бон!? Бон!?

("ボン"っ!?、"ボン"!っだッ!?)」


「О вау вау вау вау,

(あ、あわわわわわわわわ....)」


「Ах Андрей!?

(あ、アンドレイっ!?)」


"ビュッ!"


N/Sの党志である、大男、


アントン・デレニエフが、この施設内で


尋問をするために連れて来た職員に向かって


拳を振り上げながら、怒鳴り声で


威嚇(いかく)していると、怖れを抱いたのか


アンドレイ、と呼ばれた男は


ビクビクと体を震わせながら


その場で口を空け、目を剥(む)く


「Э!? Ой, да!? Бон!? Бон


 Бон Бон! Привет!?

(えェッ!? ――――オイ、ッっ!?


 "ボン"、ッ!? "ボン"っつって


 "ボン"、"ボン"っ!、 よっ!?)」


「Эй эй эй эй эй эй эй

(ひ、ひわわわわわわわわっ)」


「Ах Андрей!? Андрей!?

(あ、アンドレイ!? 


 ―――――アンドレイッ!?)」


「Эй Антон,

(おい、アントン...)」


「ааа?

(・・・ああ~っ?)」


冗談半分で目の前にいるこの施設の


男の職員に向かって


アントンが怒鳴りつけていると、それを見ていた


ジュチ、コードネーム19が


アントンを窘(たしな)める


「Они же обычные люди


 верно?

(・・・彼らは、"一般人" だろう?)」


「что это,Э!? Бон!?  


 Бон!? Бон!?

(・・・それが何だってんだよ...


 エエッ!? "ボン"、!? 


 "ボン"!?、っつって "ボン"っよッ!?)」


「Ах ах,

(あ、あー...)」


"ドサッ!"


「Ах, Андрей!?

(あ、アンドレイ!?)」


恫喝に耐え切れなくなったのか、


アンドレイは、そのまま卒倒した様な状態で


白目を剝きながらその場に倒れ込む


「Кем вы работаете?

(・・・お前の仕事は何だ?)」


「Что такое? Ты что


 жалуешься!?

(・・・何だ~? 


 文句でもあんのかっ ああっ!?)」


自分の行動に口を挟んで来た


ジュチに、アントンが動物の様な表情を見せる


「Они обычные люди и не


 замешаны в незаконной


 деятельности или


 преступлениях.

(・・・彼らは、あくまでも"一般人"で、


 不法行為や犯罪に


 関わっている訳ではない...)」


「Хе!

(・・・ヘッ!)」


「・・・・」


特にそこまで強い尋問を


加える必要は無いと思っていたのか、


二人は互いに向かい合う


「О чем ты говоришь


 Если Цвефов


 ответственный за этот


 объект негражданин то


 конечно и эти


 подчиненные Цвефова


 тоже неграждане.


 Разве это не


 то что это??

(....何を言ってやがんだ、


 この施設の責任者のツベフォフが、


 "国民で無い"のなら、当然


 そのツベフォフの部下のこいつらも


 "国民で無い"


 そういう事じゃねえのかッ ええっ!?)」


「・・・・」


ある程度道理があると思っているのか、


何を考えているのか分からない、無表情のまま


ジュチは、アントンの話に耳を傾ける....


「Грубо говоря с тех пор


 как в последнее время


 начал появляться


 Интернет эти


 обычные люди


 увлеклись и их


 отношения становятся


 все громче и громче!?

(大体、最近インターネットが


 出だした辺りから、この"一般人"共は


 調子に乗ってどんどん態度が


 でかくなってるだろうッ!?)」


「・・・・」


"ポンッ"


「・・・・!」


すぐ側まで近寄ると、アントンは


すれ違いざまにジュチの肩に軽く手を添える


「Ты тоже член страны


 так что эгоистично


 показывать людям


 хорошее лицо но твоя


 логика на самом деле


 не работает.

(国の一員でもある、


 国民にいい顔するのは勝手だが、


 お前の"理屈"で、現実は


 動いてねぇんだよ・・・)」


「・・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


"ヒュオオオオオオオオオオ――――


「(・・・・)」


"カタッ カタタタッ!"


「это,Джон Кусутц,

(・・・・これ...イョンクスッツ....)」


「!」


「как узор,

(・・・模様、みたい...)」


「шаблон?

(模様?)」


"カタッ カタタタタタッ...."


Абсолютная-Ø、


閉ざされた世界―――


「Похоже на металл, не


 знаю что,И на


 поверхности металла


 есть какой-то


 особый узор.

(金属みたい... 何か分からないけど...


 そして、金属の表に、


 何か特定のパターンがある...)」


「шаблон,

(パターン....)」


相変わらず、自分の目の前にある、


被疑者であるツベフォフ エモイ コウノの


三人が消えて行った岩肌の前で、


レベデワがその岩の先に何があるか


それを考えていると、後ろで


パソコンを操作していたザファーが


ボソリと呟く


「・・・・」


"ザッ ザッ ザッ ザッ―――――、"


「?」


"スッ"


「это, это, рок,

(これ、この、岩....)」


「・・・・」


レベデワの横を通り過ぎると


パソコンを片手に、ザファーは反対の手で


すぐ目の前の岩肌に手を差し出す――――


「Этот камень из Сибири,


 ах Обычное подземелье


 вечная мерзлота,О


 подождите теперь


 в Интернете,

(・・・この岩は、シベリアの、あー


 地下によくある...、永久凍土って...


 あ、ちょっと待って、今、インターネットで...)」


「・・・・」


"カタタタタタタタタ...."


まるでこちらの様子を伺わず


自分の思う様に喋るザファーを、レベデワは


冷たい表情で見ている....


「Ах, слой Эдмы,

(あ、エドマ層....)」


「слой вечной мерзлоты с


 довольно высоким


 содержанием влаги


 верно?

(・・・永久凍土の層でかなり高い


 水分を含んでいる層の事でしょう?)」


「Скала обыкновенная


 подземная скала но за


 этой скалой что-то


 вроде стены и я не


 знаю что это за стена


 Но эта стена, она


 удивительно высокая и


 широкая,Кажется на


 этой стене есть


 особый узор редко


 встречающийся в


 природе,

(・・・岩は、地下の普通の岩だけど、


 この岩の先に、なにか壁みたいなのがあって


 何の壁か分からない...


 でも、その壁...すごい高さと、広さだけど...

 

 その壁の所に、自然の中にはあまり見かけない、


 特別な、"パターン"があるみたい...)」


「стена,

(壁・・・)」


"ヒョオオオオオオオオオオ――――"


電磁波や音波でこの岩肌の下にある


壁の様な物が検知、透過できない以上、


この岩の先に何かがある事は分かるが、


ザファーの言葉を聞いてこの岩の裏側に巨大な、


何か通常地上の世界では見かけない様な


特殊な"装置"の様な物があるのでは無いか


レベデワは、そう考えた―――――


「Значит на той стене


 есть, странный узор


 особенный узор?

(それで、その壁の所に...不思議なパターン、


 特別な模様があるって事なの?)」


「посмотри на это,

(・・・見て、これ・・・)」


"スッ"


ザファーが、自分の後ろに立っていたレベデワに


持っていたパソコンの画面が


見える様に近付いて行く


「трудно понять с


 черно-белым,это,

(・・・・黒と、白で分かりづらい...


 これって...)」


「・・・・」


パソコンのディスプレイに表示された、


どことなく、普段どこかで目にした事がある様な


"形"にレベデワが、かなり近い距離になった


ザファーの顔を覗き見る


「Шестиугольник.

("Shestiugol'nik(六角形)"だね)」


「Шестиугольник,

(シェスティァグーニャ....)」

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