第36話 休息時間
クラスメイト達が絶叫系アトラクションの順番待ちだが、疲れ切った市川輝美はベンチに座っていた。
「市原さん。飲み物買ってきたよ」
「ありがとう、現道君。ごめんね、パシリみたいなことさせて」
「気にしないで」
優は高所恐怖症の為、絶叫アトラクションは辞退して、市原と一緒にベンチに座っていた。
市原は缶ジュースを飲み体力の回復を図る。
優は順番待ちをしている皆を見て言った。
「楽しそうだね、皆。僕は高い所が苦手だから無理だけど」
「私も絶叫系は苦手だわ。涼子は絶叫系が好きで何度も乗りたがるの。私は一回乗れば十分なのに何度も乗って、酔って大変だったわ」
「そうなんだ。白川さんも凄いね。それに付き合う市原さんも優しいね」
「……あの子ってばホラー系が苦手だけど絶叫系は好きなのよね。」
「みたいだね。楽しそうに待っているね」
「祭はホラー系も絶叫系も得意ね。探索者向けってヤツなのかしら? あと小動物が好きよ」
「そうなんだね。江戸川さんはクールっぽくて、女の子にもモテているけど、可愛いモノが好きだったんだね」
「君って小動物みたいって女子には評判よ。祭は小動物好きだしね」
「小動物って酷いな……」
市原は優の小動物見たいな態度に笑う。優は市原と会話している事に少し驚く。中学校時代では女子とほとんど話した事が無かったからだ。
「涼子は怖がりなのに探索者にって本当に思ったわ。危険だから止めた方が良いって説得もしたの」
笑っていた輝美は順番待ちが終わって乗り込む幼馴染の涼子と祭を見る。
「ダンジョンでは本当に驚いたわ。貴方が声を出してくれたから、いち早く正気に戻る事ができたの。貴方には感謝しているわ」
「そんな大げさな……」
「大事な事よ。ダンジョンが危ないって再認識したわ。本当にありがとう」
面と向かってお礼を言う市原に優は何も言えなくなった。自身はただ叫んだだけでこんな感謝されるのは生まれて初めてだと思っていた。
「特殊探索科の山田君と一緒の男子だからどんな性格なのかなって思っていたけど、今では小動物みたいに可愛いって皆が言っているわよ」
「……それって褒められているのかな?」
「もちろん褒めているわよ。現道君に助けて貰ったクラスメイトや広場に居た人達も感謝しているわ。一部除いてね」
一部除いている者達は連夜と竜吾達のDクラスの生徒達。彼等はモンスターに襲われたのは優の責任だと広めているが、事実を知っているAクラスを筆頭に反論している。
アトラクションを乗り終わった皆が優達の方に来る。
「体力も回復したし、次は何処に行くのかしらね。今度は現道君も一緒に遊べる場所に行きましょう」
ベンチから立ち上がって市原は優の手を取って一緒に幼馴染達の所に向かった。
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